トリチウム汚染水海洋放出の問題点に関する政府交渉(2021年7月26日)報告

     政府交渉(2021年7月26日)報告の詳細    質問書(2021/7/26)
 2021年7月26日に脱原発福島県民会議等、8団体主催で政府交渉を行いました。
 今回の交渉は、4月13日の「ALPS 処理水の処分に関する基本方針」の政府決定(海洋放出の方針決定)を受け、8月に「基本方針の着実な実行に向けた関係閣僚会議」の「当面の対策の取りまとめ」が出される前に、改めて海洋放出の問題点を指摘し、方針決定に強く抗議し、ぜひとも撤回を求めようと取り組みました。

 政府は、4月13日の方針決定当日に、やっと、4000 件を超えるパブコメの結果を公表しました。
 その報告書「御意見に対する考え方」(パブコメ報告)では、「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」という漁業者らとの約束に対して「今回の政府決定は約束違反ではないか」との国民からの批判意見は紹介するだけで、まともに答えていません。
 そればかりか、高濃度のトリチウム汚染水を 1500 ベクレル/L 未満に薄めて海に流すことは、現在実施している「サブドレン等の排水濃度の運用目標と同じレベル」であるとし、国内法令や国際条約を「厳格に遵守した」方法であるかのように繰り返し述べるなど、国民を大きく欺く内容が貫かれています。

 交渉では、「トリチウム汚染水」の海洋放出の問題点を改めて全面的に明らかにし、方針撤回を求め、2年後の海洋放出を必ずや阻止する運動に繋げようという決意で、このパブコメ報告を作成した「廃炉・汚染水・処理水対策チーム」(以下、「チーム」)及び、その上位にある「原子力災害対策本部」に対して、9項目の質問を投げかけて行いました。

 残念ながら、前回(昨年末)同様、コロナウイルス感染拡大のために東京をはじめ全国各地で緊急事態宣言が出される中、参議院議員会館の交渉会場での参加は8団体関係者(9名)に限定し、希望者はZoom 参加(約10名)という形で行わざるをえませんでしたが、約2時間半にわたり交渉を行い、政府を追及しました。
 冒頭に、脱原発福島県民会議を代表して佐藤龍彦さんが「復興は重大事故を起こした国・東電の責任をベースにすべき。海洋放出の方針決定は漁業者らとの約束を反故にするもの、県民世論の無視、不信感が募るばかりだ。10年の苦しみの中からやっと本格操業を、という時に海を汚されれば、漁業の将来展望がなくなる。まずは方針撤回から。」と訴えました。

 引き続き、政府側からの回答を一通り受けた上で、主に、質問1漁連をはじめ関係者との約束を破棄して方針決定したこと、質問2国内法令に違反していること、質問3国際条約に違反していること、質問9公開討論会の開催要求の4点に絞って、徹底的に追及しました。
 質問1:大前提となる重要な問題ですので、かなりの時間を費やし、「漁連をはじめ関係者との『重い約束』を守れ」と、何度も強く迫りました。  しかし経産省の担当者は、海洋放出の方針決定ありきで、2年後の放出開始までの期間に「理解を深めていただく」よう努力を続けるとの一点張りで、約束違反であることを認めないばかりか、さらには約束があったことすら曖昧にするという答弁に終始しました。
 また、ALPS 処理水には、「タンクに貯蔵し、希釈・放出しない」と定めた運用基準を超えるトリチウム濃度の「地下水ドレン」水が約 6.5 万トンも混入していることを追及しました。
 政府は、ALPS 処理したら地下水ドレンとは異なる「処理水」になるので、サブドレン・地下水ドレンの運用基準は適用されない旨の返答を繰り返しました。
 質問2:法令を所管しているのは規制庁であって経産省は答えられない、また、東電からは「2015 年度末に発災以降に発生した瓦礫等からの放射線や放射性物質の追加的な放出による敷地境界における実効線量(追加線量)の評価値は、年間1mSv 未満になった」と聞いているとして、まともに答えようとしませんでした。
 「パブコメ報告」を書いた「チーム」として責任持って規制庁と相談し、改めてちゃんと回答するよう求めました。
 質問3:これまでの交渉で外務省は「ロンドン条約・議定書は海洋への投棄の禁止であって、処理水の放出は禁止対象ではない」と主張していましたが、今回は、「陸上施設からの廃棄物等の海洋への放出はこの条約・議定書の規制対象ではない」ので、ALPS 処理水の海洋放出は禁止対象にはならないと、論点を変更してきました。
 また、パイプラインからの放出は、「汚染源の一つであるが、条約で禁止している投棄ではない」、パイプラインが条約の禁止対象である「人工構築物」に含まれるかどうか締約国会議で議論されたが明確な結論に達していない、等と述べて逃れようとしました。
 いずれも私たちの質問へのちゃんとした返答になっておらず、後日の再回答を求めました。
 質問9:一方的に「理解」を求める説明会や言いっぱなしのご意見を伺う会でなく、問題点に沿った公開討論会を、福島と全国で行うように強く求めました。
 しかし、経産省の担当者は、福島みずほ議員から「『もんじゅ』では公開討論会を開いた例がある」と詰め寄られたにもかかわらず、「持ち帰って検討します」とすら答えませんでした。

質問2と質問3で求めた再回答要請には、9月25日現在、何の回答もありません。改めて文書回答を強く求めたいと思います。
 政府は、漁業者をはじめ国民との約束などなかったかのように、国民が理解しようがしまいが、2年後には海洋放出を開始するとの強行姿勢をますます強めています。
 私たちも、反対の声を一層強めなければなりません。海洋放出の問題点を改めて明確にし、福島県の漁業者をはじめ生産者とともに「原発のない福島を!県民大集会」が呼びかけている新たな署名を広げ、福島県、全国、全世界から多くの声を集め、「トリチウム汚染水海洋放出」の方針を撤回させましょう!

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