第9回政府交渉(2014年2月14日)の報告
2月14日、脱原発福島県民会議、双葉地方原発反対同盟、原水爆禁止日本国民会議、原子力資料情報室、全国被爆二世団体連絡協議会、反原子力茨城共同行動、原発はごめんだ!ヒロシマ市民の会、ヒバク反対キャンペーンの8団体の呼びかけで第9回政府交渉を行いました。
当日は雪が多く交通機関の乱れもあったが、福島、長崎、大阪、兵庫、東京などから29名が参加し、3時間近くにわたり政府を追及しました。 詳細な報告
今回の政府交渉の目的と意義 質問書(PDF)
今回、下記の2つを目的として対政府交渉に取り組みました。
(1)事故3年を迎えようとしている現在まで、住民と労働者が被ばくを強要されていることに抗議し、政府に国の責任で健康手帳交付と被災者の健康・生活保障を求めること。
(2)環境省が、「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」を設置し、線量把握・評価、健康管理、医療に関する施策のあり方等を専門的な観点から検討しているので、これまでの対政府交渉を踏まえて関連する被災者の要求を政府に突きつけること。
「労働者と被災住民への被ばくの強要に抗議し、国の責任による健康手帳交付、健康と生活の保障を求める要請書」を提出 要請書(PDF)
冒頭に、47団体が賛同した上記の「要請書」を提出しました。皆様、賛同ご協力ありがとうございました。
前回9月24日の第8回交渉時に提出した「子ども被災者支援法の基本方針の撤回と再策定等を求める要請書」への賛同団体は55団体だった。今回は、福井・和歌山・四国・京都から新たな賛同団体が加わったが、賛同団体数全体としては前回から減少した。交渉の意義などを広めきれていなかったことが反省点としてあげられる。
要請書の提出に際しての「福島現地からの訴え」(要旨)
私は浪江町出身の避難住民です。福島の現状は要請書の中に事細かく網羅されています。しかし未だに政府・国の責任が果たされていない。
津波や地震による家屋の倒壊で亡くなった直接の事故死者数よりも原発事故からの避難等で亡くなった方の数が遥かに上回ってきている。
私たちの浪江町の仮設住宅の中でも夫婦別々の生活の中で亡くなった男性は犬2匹を連れておきながら、3日も4日も見つけてもらえなかった。そんな状況が福島の家族の中では起きている。
全国或いは海外にも避難せざるを得ない浪江町民は現在660の自治体に世話になっている。家族がバラバラにならざるを得ない状況、何故このような状況にしたのかという事は国の責任です。
自らが逃げているのではなく、私達は避難させられている。私達は帰りたいのです。元の故郷に戻すこと、私たちの生活を取り戻すこと、これは皆さん国の努力で解決できると思います。
早急な検討を含め、誠意ある対応をよろしくお願いします。
<交渉結果>
1.国の責任による被害者への健康手帳の交付と医療・生活の保障を行えと要求
・環境省は、国の責任を認めようとはせず、「福島県を通じて健康管理を財政的、技術的に支援を行っている」との答弁に終始した。
・福島県で現在行われている18歳以下の医療費支援は子育て支援事業である。(これは何処の県でも行われている一般的な自治体の事業である)交渉の参加者は国が原発推進策を行った責任から、国の責任で原爆被爆者援護法に準じた施策として健康・生活の保障を行うべきと主張した。
・環境省は、健康手帳の交付要求に対して県民健康ファイルを対置した。これに対して参加者は、私たちの要求している健康手帳には国の責任さらに国家補償の要素があり、国しか出せないものである。記録のためのファイルでは置き換えられないと反論した。
・環境省は、周辺県については、医学の専門家の意見が非常に大事。福島県外に於いてはWHO,国連科学委員会の公的機関に於いてもガンなどの健康影響の増加が認められないと評価されており、当面、周辺県についてはそういうことで、福島県の県民健康管理調査を着実に実施することが一番重要と回答。今後環境省の専門家会議で検討されることを先に結論ありきの回答で、国の責任については無回答であった。(各地から参加された方々の発言の要旨参照)
・具体的課題の1つとして、小児甲状腺2次検査の結果、保険診療による治療や経過観察が必要となった人で、県による医療費支援がない19歳以上の医療費を国が負担せよと追及した。環境省は「自己負担はない」との答弁を繰り返し、交渉は入口で留まった。主催8団体はこの門前払いを許さず、「国の責任による福島県の19歳以上の甲状腺に係る医療費無料化要請書」への賛同を募り、追及する。
(賛同は個人及び団体。第一次締め切り5月7日。詳細は別紙の「要請書」及び賛同呼びかけを参照)
2.被ばく強要に抗議し、年1ミリの早急な実現を要求
・20ミリ以下だったら帰れというのでは全くないとの規制庁の回答。年1ミリシーベルトを長期目標とした国の責任については回答者が欠席。時間もなく、今後文書でやり取りをすることを約束した。
3.被曝労働者の健康・生活保障も国が前面に立って責任を持てと要求
・政府は、緊急事故時の対応時期は2011年12月15日の収束宣言で終了し、その後の作業労働は他の原発と同じ基準で線量管理が出来ると前回交渉と同様の回答を繰り返した。私達は、収束宣言以降も作業従事者をデータベースに登録せよ、長期の健康管理のために「手帳」を交付せよとせまった。
・事故は収束しておらず汚染水問題等深刻な事態は継続していること、廃炉に向けた過酷な被曝労働が始まっていることを問題にした。
・厳しい労働現場、危険手当・賃金のピンハネ、被ばく線量があるレベル(例えば年20ミリシーベルト)を超えた場合に解雇されるなど、被曝労働者、被災者をはじめ参加者が現状を訴え、国の責任を迫った。
・経産省は、皆さんの意見を持ち帰り、しっかり検討させて頂くと回答した。また厚労省は、原発内で働く方々の健康被害、労働条件などに取り組んでいくと約束した。