8団体公開質問書(2020.4.21) 政府文書回答(5.13) 8団体再質問書(6.18)
4月に予定していた政府交渉は新型コロナウイルス感染拡大により延期し、7月3日に実施しました。
政府から経済産業省、外務省、原子力委員会、原子力規制庁合わせて10名が出席しました。
市民側は29名が会場参加、9名がオンライン参加しました。
冒頭に福島の参加者2名が意見表明しました。
◆脱原発福島県民会議共同代表の角田さんは、国の進め方は結論ありきだと批判し、関係者の聞き取りをもとに、トリチウム汚染水の海洋放出は被災県民に対する新たな加害行為で許せないと「海洋放出絶対反対」を主張しました。
◆漁を休んで交渉に参加した新地町漁民の小野さんは、今もって試験操業であること、価格が風評により安いこと、最も利害のある漁業関係者に説明しないこと、漁連など多くの県民が反対していること、漁師を引き継ぐ子や孫に対する親としての責任など、苦悩と怒りをぶつけ、なんで海に流すのかと問い詰めました。
ALPS処理水を薄めて放出する案に対する交渉の主な争点と政府回答
経済産業省との交渉
質問(1)みんなが反対しているのになぜ海洋放出するのか。 回答 ・トリチウム汚染水の海洋放出案に対する反対が多数とは言えない。 多数の参加者が、2018年夏の公聴会、福島県の市町村議会の意見表明などをあげて、反論した |
質問(2) 原子炉建屋への地下水流入を減らすためのドレイン等からの地下水排出時の漁民との約束に違反 ①「地下水以外で希釈しない」(運用方針に記載されている)に違反 ②2015年1月の第6回廃炉・汚染水対策福島評議会における、福島県漁連会長のALPS処理水についての質問に対する糟谷補佐の答弁「関係者の方の理解を得ることなくしていかなる処分もとることは考えておりません」に違反 回答 ・ドレイン水とALPS処理水は違う。 ・海洋汚染の拡大を防止する「希釈しない」との運用方針の意義を認めず。 「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」との言質を迫った ・資源エネ庁は、「糟谷補佐の言葉もございますけども」とし、中長期ロードマップの記載「液体廃棄物については、地元関係者の御理解を得ながら対策を実施することとし、海洋への安易な放出は行わない。海洋への放出は、関係省庁の了解なくしては行わないものとする。」にすり替えた。 |
質問(3) サバンナ・リバー・サイトにおけるトリチウム処分については検討されていない。再検討すべき。 回答 ・含まれている放射性物質が異なる。地下埋設については検討している。 |
質問(4) 経済産業省は2018年の公聴会の意見に対して「放射性物質の海洋投棄がロンドン条約で禁止されている」と回答している。事故による汚染水は責任者の東電と国の責任で陸上保管すべき。 時間切れで、解答なし。 |
質問(1)放射性物質の故意の放出はロンドン条約に違反 回答 ・船舶等からの投棄に限定し禁止されている。 ①ロンドン議定書で「内海における自国の裁量により投棄を禁止できる」と定められている、②締約国会議でパイプラインによる放流が問題になっている、③パイプラインによる放流は禁止すべきとのロンドン条約事務局の見解、をそれぞれ認めたが、最初の回答を繰り返した。 |
質問(1)1993年の原子力委員会決定「今後、低レベル放射性廃棄物の処分の方針として、海洋投棄は選択肢としないものとする」に違反 回答 ・原子力委員会決定文中にある「海洋投棄」については、固体廃棄物や固化した廃棄物を海洋に投棄して処分することを指すことから、福島第一原発 トリチウム汚染水の海洋放出は、「海洋投棄」に該当しない。 1993年当時、ロシアによる汚染水の日本海投棄に政府は反対したこと、委員会決定の10日後にロンドン条約で放射性物質の海洋投棄が禁止となったことなどを指摘し、回答を批判したが、同じ回答が繰り返された。 |
質問(1)トリチウム以外の核種の2次処理の必要性を否定する委員長発言をはじめ原子力規制委員会の数々の緩和策に対する批判 回答 ・薄めて流す際には、特定原子力施設に指定された際の指示事項「2013年度末までに追加被ばく線量評価値の1mSv/年以下」を守ればよい。 ・「汚染水に含まれるトリチウム以外の核種を再浄化する必要はないとの更田委員長の発言を撤回するつもりはない。」と初めて明確に拒否した。 ・「薄めて流せば、環境への影響はない」という点は、通常の温排水等の調査で判断した。 |