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「放射線のホント」の撤回、再改定版「放射線副読本」の撤回、福島原発事故関連課題
12.20政府交渉の報告

「放射線のホント」の撤回を求める署名 第1回提出
  脱原発福島県民会議約1万筆をはじめ、総数2万1234筆
12.20政府交渉要請書を提出。53団体が賛同
 ☆12.20政府交渉質問書(PDF)  ☆12.20政府交渉案内(PDF)
 ☆「放射線のホント」撤回署名ニュース第3号(12.20政府交渉報告)
脱原発福島県民会議をはじめとする9団体は、2011年5月の「住民の健康と安全を守り、生じた健康被害は補償することを求める要請書」をベースに、「19歳以上甲状腺医療費無料化」、「緊急時被ばく限度250ミリシーベルトへの引き上げ反対」などの全国署名運動と14回の対政府交渉を行ってきました。
2018年12月20日、「放射線のホント」の撤回、再改定版「放射線副読本」の撤回、福島原発事故関連課題で第15回政府交渉を行いました。
事前の12月6日に東京で「政府交渉に向けた討論集会」を開催し、福島からの4名を含む22名が参加して、質問書をもとに追及点を議論しました。
12月20日の政府交渉には、福島、東京と関東周辺、大阪、兵庫、奈良、広島から計46名が参加し、下記の課題で追及しました。
・復興庁        復興庁パンフレット「放射線のホント」の撤回
・文部科学省      再改定版放射線副読本の撤回
・原子力災害対策本部  年間20mSv規準による被害者切り捨て政策の撤回
・原子力規制庁     モニタリングポスト撤去方針の撤回、ALPS処理水の海洋放出計画の撤回

「放射線のホント」撤回署名2万1234筆 を提出・・・署名は今後も継続(第3次集約3月31日)

冒頭に、福島で集まった約1万筆など、各地から寄せられた計2万1234筆の署名を復興庁に提出し、「放射線のホント」の撤回を求めました。しかし、復興庁は撤回を拒否しました。
全国各地に署名を拡大し、「放射線のホント」の撤回を迫りましょう。皆様の周辺で広げてください。
(原子力資料情報室の移転の関係で、第2次1/31と第3次3/31を合わせて集約させていただきます)

「要請書」(賛同53団体)を提出

交渉に際して、「放射線のホント」の撤回、再改定版放射線副読本の撤回、福島原発事故関連課題の実施を求める「要請書」を各省庁に提出しました。1週間の短期間でしたが、53団体の賛同を得ました。

福島原発事故の被ばくは「公衆の被ばく限度年間1mSvの法令に違反」と追及。

「福島原発事故の被ばくが公衆の被ばく限度年1mSvの法令に違反すること」を認めない政府の姿勢が改めて明らかになりました。
 @「放射線のホント」が100mSv以下の放射線被ばくの健康影響を「検出困難」として無視している
 A避難指示解除の線量基準が年間20mSv以下とされている
 BALPS処理水が海洋放出されれば追加被ばくが生じる
などの追及に対して、復興庁、原子力災害対策本部は「公衆の被ばく限度を定めた法令はない。線量告示は公衆の被ばく限度が年1mSvであることを示すものではない。」と法令違反を否定しました。
公衆の被ばく限度年1mSvは法的根拠があります。引き続き、「福島原発事故被ばくは公衆の被ばく限度年1mSvの法令に違反だ」と追及します。
参考1(公衆の被ばく限度は)規制体系の中で担保することとしている(放射線審議会の意見具申:1988年6月)」
参考2「周辺監視区域外における一般公衆の被ばく線量が年間1mSv以下となるように放射能濃度等の限度を定めているものであり、・・・。また、お尋ねの「福島県内で、避難指示が出されず原発事故以降も住民が居住を続けている地域又は避難指示が解かれ居住が認められている地域」は、いずれも周辺監視区域外に該当する。(山本太郎議員質問主意書に対する政府答弁書:2013/12/10)」

「福島原発事故の被ばくは不当な被ばく。被害者と加害者の存在を認めよ。」と追及。

復興庁は、前回に続き「福島原発事故の被ばくは不当な被ばく」と認めませんでした。しかし、被害者と加害者の存在については完全否定することはできず、「係争中なのでコメントは差し控える」と回答しました。
被害者と加害者の存在を認めず、国の責任を抜きにしては、復興はできないと批判しました。福島の参加者は、「責任も被害も加害も認めない、こんな回答を聞くために交渉に参加したのではない。非常に残念。被害者の声をきちんと聴いて被害者のためになることをしていただきたい。」、「福島では加害者、被害者は普通のとらえ方」と追及しました。
復興庁は、署名者・交渉参加者の声を無視して、「我々に課せられたのは『風評払拭・リスクコミニュケーション強化』のミッション。放射線のホントはその範囲で作成した。」と撤回を拒否しました。引き続き署名を拡大し、それを背景に追及していきます。

モニタリングポスト撤去方針の撤回、ALPS処理水に海洋投棄計画の撤回を追及。

原子力規制庁は、モニタリングポストについては「来年度予算は今年度と同規模を要求している。撤去しないことも含めて検討する。」と回答しました。 ALPS処理水については「経産省小委員会で『公聴会で出た保管すべきとの意見』を排除せず検討する」と聞いていると答えました。
原子力規制庁自身の見解としては、「告示濃度」を守ることが「安全」の条件と回答しました。住民が年1mSv以上被ばくしているのでその上被ばくをもたらす海洋放出は認められないと追及しました。

年間20mSv基準による福島原発事故被害者切り捨て政策の撤回

2017年2月の政府交渉で「年間20mSv基準による福島原発事故被害者切り捨て政策の撤回」質問は回答者不在でした。2017年5月の再質問も一部回答にとどまり、昨年7月5日の交渉で「原子力災害対策本部が責任をもって回答する」と確約させました。ところが、文書回答は2017年5月の回答そのままで、全くの責任放棄です。再度文書回答を要求しました。
2014年11月に国連人権理事会で、日本政府はドイツ政府の勧告を受け入れました。しかし、その後何らの措置も講じていないと再三指摘されています。
この問題に関する資料を付記した質問に対して、
・原子力災害対策本部の出席者は事実を理解していない回答を繰り返しました。
・文書回答で「長期的に1mSvを目指す」とされているが長期的とは何年かとの質問に対して回答はありませんでした。
参考:ドイツ政府の勧告
特に許容放射線量を年間 1 mSv以下に戻し、避難者及び住民への支援を継続することによって、福島地域に住んでいる人々、特に妊婦及び児童の最高水準の心身の健康に対する権利を尊重すること。

放射線副読本再改定版の撤回

・質問に対する文科省の文書回答は、質問に即した回答ではなく、今回の質問とは別の他の団体からの質問に対する回答を再利用したもので、全く誠意のないものでした。
・「戦略」に示された以外の文科省独自の改定はあるのかとの質問には、「今回の再改定は『戦略』に示された通りでそれ以外を示すのは困難」と、再改定はすべて「戦略」通りであることを認めました。

脱原発と結び被災者支援


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