> 2013/1/22第6回政府交渉報告

第6回政府交渉(1月22日)の報告と当面の課題

交渉の準備中に、被災住民の被ばくと健康保障に関する重要な動きがありました。
(1)双葉地方町村会が2013年1月15日、国に要望書を提出しました。その中に「生涯にわたる法的措置をとること」が盛り込まれています。
浪江町と双葉町が昨年6月国に要求した「被爆者なみ法整備(健康手帳の交付・医療と生活の保障)」を求める声は双葉郡全体に広がっています。
(2)原子力規制委員会の「住民の健康管理に関する検討チーム」の「議論の整理案(12/28)」には、
 @事故による住民の被ばくについて「他の要因による発がんの影響を超えて、放射線による発がんリスクの明らかな増加を証明するほどの被ばく線量は確認されていない。」
 A県民健康管理調査については「放射線被曝後の健康管理として適切なものである。」
と、福島事故の影響を過小評価し被災者の求めている支援施策を認めない方向が示されています。
木田委員(福島県医師副会長)が国の事業化などを提起したが整理案に反映されていなかったことから検討会は継続となっています。

交渉当日は福島、宮城、東京、神奈川、大阪、奈良、兵庫、長崎からあわせて48名が参加しました。
復興庁
(1)浪江町・双葉町の「法的根拠のある健康手帳の交付、医療費無料化、手当支給など被爆者なみの法整備」要求に関して
双葉郡町村会の国宛要望書(1月15日提出)に「生涯にわたる法整備」が盛り込まれ、「被爆者なみ法整備」を求める声は双葉郡全体に広がっています。
浪江からの参加者が余分な被曝をさせた国の責任を追及しましたが復興庁は認めませんでした。政府は要求に正面から応えていないとの指摘に「要求に応えている」と言い張りました。
(2)子ども被災者支援法の基本方針策定に関して
@いつまでに策定するか「エンドポイント」は決めていない。
A支援地域の指定基準の候補のうち5mSv/年と10mSv/年は非公式に自治体に聞いたもの。
復興庁が検討のそ上に上げている「1mSv/年、5mSv/年、10mSv/年、福島県が含まれる程度」のうち5mSv/年と10mSv/年は非公式に自治体に聞いたものだと答えました。
5mSv/年では支援地域が面積で1mSv/年の約6分の1と大幅に限定されます。「非公式に聞いてそれを検討のそ上に乗せることは恣意的である。検討から除け。」と要求しましたが、復興庁は拒否しました。
B地元住民の声を聞くことについて、平場の意見聴取はこれからである。
環境省
要求:国の責任で、全ての被災者に健康手帳を交付し、生涯に渡る健康管理、医療費無料化などの医療保障、生活保障をおこなうこと。
回答:環境省は健康管理について責任を持っている。県民健康管理調査がしっかり行われるように取り組んでいる。手帳については環境省の方で設計や公布は出来ない。子供被災者支援法全体に係ることで、復興庁の方で基本方針とともに具体的なことが提示されることになっている。
要求:県民健康管理調査を国の事業とし、国の責任で医療保障と結んで行うこと。
回答:原子力規制委員会で結論が出ていないので回答できない。
環境省は住民の健康管理に責任を持っているのだから見解を述べよと求めましたが結論待ちであると繰り返しました。
厚労省
要求:昨年9月厚労省が「労災補償の考え方」を公表した胃がん、食道がん、結腸がんを労規則35条別表の労災対象疾病リストに追加せよ。
回答:追加できない。労災申請や認定の集積が必要である。
要求:原発で100mSv以上被曝した労働者の中にこれら3つのがんで30名が死亡している件、遺族に労災関連情報を知らせ、遺族補償の時効5年を過ぎても労災申請を受け付けよ。
回答:時効は適用する。一般的には放射線を浴びるとがんやその他の疾病が増えるということが知られていたので「胆管がん」の場合とは異なる。

再質問書

回答の不十分点や交渉の場で出た質問等について再質問書を提出します。

今後の課題

・全体課題
「すべての被災者被曝労働者に国の責任で、健康手帳の交付、生涯に渡る健康診断、医療費の無料化、医療の確保、生じた被害の補償、生活保障を!」を全体課題として、双葉7町村が2月7日の議員連盟主催のヒアリングで示した要求事項を支持し、下記の具体的な課題の実現に取り組んでいきたいと考えています。

1.被災者への健康手帳の交付、医療費無料化
2.支援対象地域の限定を許さない。
  5ミリ/年は復興庁が非公式に特定の自治体から聞き出したものであり、検討のそ上からの削除を求める。
3.県民健康管理調査を国の事業とし、国の責任で医療保障と結んで行わせる。
4.周辺県の被災住民への健康手帳の交付と定期健康診断の実施
5.浪江町・双葉町から双葉町村会に拡大した政府への「被爆者なみ法整備要求」を支持し、上記の実現を目指す。
6.被曝労働者の課題
  全ての緊急作業者に長期健康管理のための「手帳」の交付。
  全ての原発被曝労働者に「健康管理手帳」の交付。
  労規則35条別表の労災対象疾病リストに胃がん・食道がん・結腸がんを追加し、労災補償を進めよ。

脱原発と結び被災者支援

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