HOME > 脱原発と結び福島原発事故被災者支援 > 2017/02/28第13回政府交渉報告

2017年2月28日、9団体政府交渉の報告

当日のプログラム
 12:30 打ち合わせ
 13:00 政府交渉 要請事項1〜3(内閣府防災、復興庁、環境省、厚生労働省)
 14:50 政府交渉 要請事項4、5(原子力規制庁、厚生労働省)
 16:00 交渉まとめと参加者意見交換

全国各地(川内、長崎、関西、東京、千葉、福島)から30名が参加し、政府側からは復興庁、内閣府防災、被災者生活支援チーム、厚労省、環境省、規制庁が出席しました。
90団体の賛同を得た「20mSv基準による福島原発事故被害者切り捨て政策の撤回、甲状腺医療費の生涯無料化、原発再稼働中止を求める要請書」を提出し、「質問書」に基づき、交渉を開始しました。
  ダウンロード  :  要請書    質問書
ところが冒頭、質問書の項目1「20mSv 基準による福島事故被害者切り捨て政策の撤回」の(1)「年20mSv の危険性について」に政府は何ら回答しませんでした。
この対応は、私たちの20mSv基準撤回を求める運動に対して無言の力で強権的に押し付ける政府の手法であり、断じて許せない行為です。政府は福島事故後、閣議決定でこのような原発事故被害者に対する高い被ばく基準を超法規的に押しつけ、帰還を強要し、支援を打ち切る施策をとり続けています。このことが先日の今村大臣の発言を招き、国の責任を放棄する施策の基となっています。
1の(1)に対する文書回答を要求し、交渉を続行しました。

政府回答と会場からの発言等 交渉要旨

1.(2)「自主避難者」に対する住宅費支援の2017年3月打ち切りを撤回し、支援を拡充せよ
「自主避難者」支援者からの発言:
・原発災害に対して特殊な住宅供給を考えるべき
・福島県で継続的に行われるという支援は、貧困対策にしかすぎない、所得制限とか様々な制限が沢山あり、受けられない人も沢山いる
川越で自主避難をしている方の支援活動を行っています。6年延長して来たと言われましが、これは一年ずつ少しずつ細切れに6年間延長されて来たもので、避難してきた人たちは一度も安心して眠れるような状況で、住宅を保障されてきたわけではありません。本当に来年はどうなるのだろう、来年はどうなるのだろうという中で6年間なのですよ。来年何処に住もうかとわからない所で暮らす、しかも子供を抱えて暮らすことの大変さという事を、避難している人達からきちんと受け止めるべきではないかと思います。それが一つですよね。心情の理解という事が全くないですよね。災害に対しての一年しか住宅の供給を定めていない法律を1年ずつ延長して6年になってきていますけど、6年もあったのになぜ一般的な被災者支援しか考えて来なかったのか、特別法でも何でも具体的に長期間放射能が環境中にある特殊な災害であるということ、一般的な災害ではなくて長期間放射性物質が空間にあるかもしれない、長期化するかもしれない、もしかしたら100年経っても帰れないかもしれない、そんな事故であるにもかかわらず。1年目、2年目は災害対策としての住宅供給でもいいですけれど、原発災害と言う事に対して特殊な住宅供給を考えるべきだったんではないでしょうか。それは役所のサボタージュだと私は思います。 あともう一つですね。4月からも福島県で継続的に行われるという支援は、貧困対策にしかすぎないです。所得制限とか様々な制限が沢山あって、受けられない人も沢山います。子供被災者支援法の中では避難する、しないは本人が決めるという事、そして避難する人も、避難しない人も国が保証するということが明記されているじゃないですか。だったらそのための具体的な対策を何庁が、復興庁もそうでしょうし、それから内閣府もそうでしょうけども、必ずその為の対応の施策を考えることが皆さんのお仕事ではないでしょうか。実際に一生懸命働くと福島県が設定している所得制限を超えるのですよ。避難者の人たちね、別に避難してきて、何の保障もない中で何の努力もしていない訳ではなくて一生懸命働いたり、資格を取って今まで働いていなかった人が仕事に出たりといった事をやっている訳です。その中で福島県の所得制限に外れてしまって、住宅支援が受けられない。その為に帰らなければいけないのか、それともこのまま貧困に耐えて避難するのか、その選択を加害者である国がせまるというのは、復興庁さん、特に復興の為の施策をする省庁だったらきちんとそういう法整備をするべきではないでしょうか。 実際に3月に住宅支援、最高6万円の住宅支援は切られることによって、民間借り上げ住宅の人達は、例えば東京は10何万円もかかる金額の契約をし直さなくてはならない、避難してきた人達がそんな所得がある訳ないじゃないですか。でもね、福島県の4月からの給付継続はもっと低い所得の人達が対象ですよ。一生懸命働いて、暮らしを何とか立て直そうとしている人達が二重、三重に支出をさせられている。福島の地元にもローンが沢山ある、そして今の自分の生活も、もし民間借り上げがこのまま自分の自主契約になるんだったら、10万円払わなければならない、この状況をちゃんと救済して下さいと言っている。

福島瑞穂議員の質問:  国はどれくらいの住宅を準備したのか
国はどれくらいの住宅を準備したのですか?具体的に。私自身は3月末の住宅支援打ち切りは問題だと思っています。福島県が先ほど、働きかけたと仰いましたが、国は3月打ち切りになる人に対して、どれだけの住居を具体的に準備して提供するのですか?……
今、100戸と言われましたが、……今何が起きているかというと、東京や様々なところで兎に角支援者と一緒に自治体を何とか動かして、少しでも支援が拡がるようにといった状況です。国がじゃあ、これだけ準備した、というのが見えないのですよ。今、公営住宅が100戸と言われたけれど、それから全体からみても東京は今、5000人?7000人?8000人ということですか、避難しているので、とても間に合わないのですよね。それについてはいかがでしょうか。
復興庁からの回答:
福島県が、いわゆる「自主避難者」で、この3月で公共貸し住宅に入居されている方で、3月で切れる方を、訪れていまして、路頭に迷う方がいないようにというか、住宅に困る方がいないように、戸別訪問して対応している所ですけれど、もともとの戸数がH27年12月に、1万2千239世帯いられたのですが、1年、2年かけて戸別訪問して相談にのってきた所、福島県の集計によりますと、移転先が確定済、移転済、また確定という所にある程度までは手続きが進んでいる所を含んでいますが、11321世帯が確定済、移転済となっており、今の時点で未確定のところは250世帯、まだお会いできていない所が436世帯、今の所、集計に間に合っていないという所が232世帯ということで、今明確に未確定となっている方が250世帯いられますが、この戸別訪問は、この時点で終了という事ではありませんので、ひとりでも路頭に迷う方がいらっしゃらない様に、また戸別訪問などを通じてしっかりと対応をして行きたい、また福島県とも協力して行きたいと考えております。今申し上げました数字につきましては2月17日時点ということで福島県が公表された数字ということになります。
会場からの質問:   国の社会的責任とは?
福島再生復興措置法の第一条にね、原子力政策を推進してきた事に伴う国の社会的責任を踏まえ、国が支援を行うと書いていますよね。その場合の国の社会的責任というのはどんな風に考えているのですか?しかも、その支援というのがどの様なものなのですか?避難とか賠償とかに関して支援を行うという風に書かれていますよね。この福島再生復興特別措置法というのは、復興庁さんが対策をとる上での基本となっている法律ですよね。
復興庁からの回答:
福島再生復興特別措置法につきましては、復興庁が所管する法律ではございますが、その第一条の記述がどういった意図でどういった事を含んで書かれているかという事につきましては、ちょっと担当の者でないと答えられないので………
会場から:どういうこと!!
復興庁:まあ、法律の解釈って、本当に難しいことがございまして、一語一語…
復興庁:先ほどの福島復興特別措置法の第一条の条文につきましては、支援につきましてもそれぞれの支援で、住宅の提供もあり、或いは賠償もあり、様々な支援があると思っておるのですけれど、それぞれの支援一つ一つにつきまして、明確にこれはこういった意味をさしていると、今、私の時点で明確に一概に申し上げることはできませんので、申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。

住宅無料施策の3月打ち切りについて
復興庁:住宅政策の打ち切りと言いますか、保障供与の件につきましては福島県と内閣府さんと合意の上で決まったものという風に考えております。
内閣府:また、何度も繰り返しで、大変恐縮ですが、応急仮設住宅の供与期間の延長につきましては福島県に於いて検討され、そしてそれを内閣府防災と協議した上で、決定というプロセスを経ています。……我々として内閣府防災、防災の中でもいろいろな部署があります。我々、今回、皆さんとお会いしているのは、救助法におきます応急仮設住宅の供与につきましても他の皆さんとの面談という風に理解しておりますので。
福島の参加者:打ち切りをテーマにもう一回周辺と協議をするつもりはないのか?
内閣府:災害救助法の実施主体は福島県になります。応急仮設住宅の供与の延長等については福島県から協議があり、我々が同意したという形になります。仮に福島県からそのような延長だとかそのような相談が再度あれば適切に対応して参りたいと考えております。
参加者:防災の方で検討されたときは福島県だけではなく、政府の方も打ち切りという事ではなかったのですか?政府は続けようと言ったけど、福島県がやめようと言ったから打ち切りになったのですか?政府には協議の責任があるのではないですか?
内閣府:あくまでも災害救助法の実施主体は都道府県になりますので、福島県が国に協議をした。それに対して国が同意をしたと。

2. 国の責任により甲状腺医療費を生涯無料化し、甲状腺に係る健康手帳を交付せよ
(1)福島の甲状腺検査と甲状腺医療費無料化の国の責任を明確にし、それに基づく財源を確立せよ
(2)医療情報の提供を甲状腺医療費支援の前提としないこと
上記の質問の回答として環境省は、根拠として挙げている見解(下記の@)を示し、甲状腺の医療費の減免を行わないと明言しました。そして一方でとして、支援事業としての「福島県のサポート事業」を行う理由(下記のA)を述べました。
@の内容
・福島県の県民健康調査は甲状腺検査を含め甲状腺の状態を把握し、子供たちの健康を守ることを目的としており、受診者の希望を確認の上で実施されている事業である。
・見つかった甲状腺ガンの医療に関しては個別の症例ごとに実施前の状態や本人、保護者の希望を勘案し、専門医によって適正に医療が行われている
・甲状腺の検査の結果の評価は専門的知識が必要で、医師等専門家の意見が重要です。
・国連科学委員会は福島での事故の線量が大幅に低いため、チェルノブイリ事故で観察された多数の放射線による甲状腺がんの発生を考慮に入れる必要はないと評価している。
・環境省「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」の中間とりまとめでは先行検査で発見された甲状腺がんは原発事故由来であることを積極的に示唆する根拠は現時点では認められない。
・福島県が催した検討委員会でのとりまとめについて先行検査でこれまでに発見された甲状腺がんについて、放射線の影響とは考えにくいと評価されている。
Aの内容
 県民の健康管理について国としても福島県の県民健康調査に財政的、物質的支援を行うとともに、県民健康調査に携わる人材育成の支援を実施するなど、同調査が長期にわたり円滑に実施できるように福島県に対して必要な支援を行っている。 (2)のB〜Dの設問である、情報提供を医療費無料化の前提としない事に対する回答は、福島県が行う甲状腺検査サポート事業は福島県が実施するこの甲状腺検査に於いて医療が必要なしこりが見つかった方に対して医療にかかる経済的負担を支援しつつ、診療情報をご提示頂くことで、甲状腺検査の充実を図る事業です。なおご提供頂いた資料情報については収集・集計されその結果を県民健康調査の基礎資料とすることとなっている。
福島県からの参加者の発言:
この問題について県の県民健康調査官とかなりやり取りをしている。実際、原発の爆発事故がなければやる必要のなかった調査です。必要があって、検査され、甲状腺がんが発見された、発見された以上は治療まできっちりすべきだ。福島県は19歳以上になると医療費は有料となるが、非常に負担が大きいので無料化して欲しいとの運動の成果で形式的には無料化になった。だが、情報提供が前提である。医療費の無料化ではないと言っている。実質上無料化ではない。我々が言いたいのは手続きが煩雑すぎて、1000円程度なら申請していない。これではサポート事業にならない。要求は国の責任で医療費を無料化して欲しい。ただ今は、事務の簡素化を要求しており、窓口での取り扱いを、お金の支払いをしないようにして欲しい。それは、手続きであり、技術的な問題だからやれるでしょう。どうなのですかと問うている。寄り添う事がサポート事業です。窓口で負担なく1000円単位でも受ける人への支援であり、何とか技術的に解決できないですか。
環境省からの返答:
こちらの方から県の担当の方に、こういったやり方もあると、情報提供をさせて頂いた。(2月3日の交渉前、前段の要請後行われた)国の中の施策の一つの物を情報提供しました。それを含め、今、県の方で検討していると聞いている。国が提言する立場にない。

3. 国の責任による福島事故被害者への健康手帳交付など被爆者援護法に準じた法整備を行え
健康手帳の交付を求める運動は福島でも多くの取組がされています。自治体として検討を重ね、浪江町など独自の健康手帳を発行している所が10自治体近くあります。国会で小宮山厚労省大臣から「原爆被爆者の健康手帳に準じたものの検討は排除せずに検討する」との回答を得ています。
今回の交渉で厚労省は、以前の小宮山大臣の頃の回答を知ってはいるが、「被爆者援護法の基本精神と目的がございますので、その観点からいうと今回の原発事故に対する健康対策に当てはめるのは非常に難しいと考えている」との回答に終始しました。最後に当然、今回の交渉で言われた意見は持ち帰り、担当幹部に報告するとの返答を得ました。

第2部 冒頭で原発立地点から原発再稼働中止を求める意見表明がされた。
川内原発再稼働は許せない、原発さよなら四国ネットワークより、福井(原子力発電に反対する福井県民会議、福井県平和・環境・人権センター)よりのメッセージ …報告最後に掲載

4. 放射線障害防止法の技術的基準に関する法律の改訂に関して
質問:放射線審議会の権限と機能を強化する放射線障害防止法の技術的基準に関する法律の改訂が、今国会に提出されています。これは、政府の方針を強引に貫徹する安倍内閣の手法の一環で、(原子力規制庁)独自の判断で調査・審議することが可能になり、関係省庁に対して、基準値を定める法令改正などを促すこともできるようになります。福島原発事故で滞っている原発推進のICRP2007年勧告の国内法全面取入れにつながると考えられます。このような改定は認めることができませんが、その見解を求めます。
規制庁回答:放射線障害防止法の技術的基準に関する法律は放射線審議会の設置の根拠となっている法律ですが、この改正案が今国会で成立しましたら、放射線審議会に従来の関係機関から諮問を受けて答申するという機能を超えまして、新しい技術的基準について放射線審議会自らが調査・審議して関係行政機関に提言する機能が新しく追加されるということはご指摘の通りです。

質問:参考レベルや公衆の緊急時の避難基準が2007年ICRP勧告にある。これを国内法に導入したいというのが規制庁の考えですね?
規制庁回答:参考レベル、恐らく避難の基準とかがご質問の念頭にあると思うのですが、放射線審議会で諮問を受けて答申するものは法令または法令に基づく基準が諮問の対象、提言の対象という事になって参ります。実際に避難の基準の基準値はこれ自体は原子力災害対策本部による決定、これは政府決定によりなされるもので、直接法令に基づくものではありません。必ずしも参考レベルの導入を目的にするものではない。

質問:ICRPの2007年勧告の参考レベルの基準は法令に基づく基準にはならないと考えていますか?
回答:法令に基づく基準という事については、今後の扱いについては改めて検討という事になる。
(参考)第三条  放射線障害の防止に関する技術的基準を策定するに当つては、放射線を発生する物を取り扱う従業者及び一般国民の受ける放射線の線量をこれらの者に障害を及ぼすおそれのない線量以下とすることをもつて、その基本方針としなければならない。

以上の放射線障害の防止に関する技術的基準の第3条である基本方針は堅持して検討されるという事を確認してこの質問項目は終了した。

5. 国の責任で被ばく労働者の安全を守り、健康・生活を保障せよ
(@)原発被ばく労働者の雇用条件、労働条件の問題点
フクシマ原発労働者相談センターから、被ばく労働者を雇用する事業所の法令違反(労働条件を書いた契約書が労働者に渡っていない等、また法令違反が多いこと)について厚生労働省の認識を質問された。
厚労省回答:通常の建築などの現場と比べて多いというわけではない。
相談センター:福島第一原発の労働現場は高線量の作業現場であり、過酷な被ばく労働を強いられている。計画線量の上限が特にないなど、今後、きっちりと資料を用意して政府に反論していきたい。(計画線量が15mSv/日の例もあるなど、公表されているイチエフの過酷な被ばく労働の状況を、ヒバク反対キャンペーンのホームページに掲載しています)
(A)健康管理手帳の交付、健康・生活保障
厚生労働省の長期健康管理の「手帳」交付対象(緊急時作業で50mSvを超える被ばく)外の労働者の白血病が労災認定されたことから「手帳交付を緊急時作業従事者全員に拡大せよ」との我々の要求に対し、昨年8月23日の政府交渉で厚生労働省は「持ち帰る」と回答した。それについて今回、厚生労働省は「既存の長期健康管理の再検討の必要はない」と回答した。すべての緊急時作業従事者への「手帳」交付、及び、すべての被ばく労働者への健康管理手帳の交付を粘り強く追及していきたい。
(B)被ばく線量限度の引き下げ
現在、被ばく労働者の被ばく限度は「年50mSv、5年間100mSv」の高線量であり、年50mSvはICRP1977年の勧告で導入されました。その後、原爆被爆者の調査結果で被ばくのリスクが10倍高いと評価されたにもかかわらず、変更されることなく現在もこの線量限度で労働者は働かされています。このことに厳重に抗議し、10分の1以下への引き下げを要求しました。昨年8月と今回の2度の交渉を通じ、残念ながら厚労省はこの問題に対する認識すら持っていないことが判明しました。今後廃炉作業など被ばく労働者の被ばく量が益々多くなることが予想されます。さらに運動を強化していきたい。

原発立地点からの意見表明
                                     2017年2月28日
内閣府防災、復興庁、環境省、環境省、厚生労働省、原子力規制庁 様

福島第一原発事故への国の対応を見ると川内原発再稼働はゆるせません
I女性会議 鹿児島県本部 道免明美

 こんにちは。私は鹿児島市に住んでいます。何かもうここに立っただけでも悲しくなってきますのですけれども。私の家からは桜島が見えて、とてもきれいな所にすんでいます。それで庭のブルーベリーを摘みながら、学校に行く子供たちを見ながら、ああ事故がなくて良かったと思っています。そして年を取ったらもうマンションに入りたいなあと思っていますけれども、私たちの家はどんどん価値が下がっています。そして友達は私の実家の方は廃屋になっているので、事業しないかと言いますが、原発から30キロ前後だねということで、誰も私の実家を買ってくれる人はいません。そして私たちは私が今日、鹿児島から来たのは皆さんが行政のトップにいらっしゃる、そういう方と話ができると思って大変喜んで来ました。ところがさっきの皆さんの対応を見ていてああ全く一緒だと思いました。鹿児島で三反園知事が誕生しましたけれども、前知事は原発は60年使うと言っていました。しかし、大変な熊本の地震でした。熊本の方も心配していらっしゃいましたけれども、そういう鹿児島にも災害は起きますけれども、そういう鹿児島にも災害は起きます。それから私は桜島を眺めて暮らしていますけれど、鹿児島の火山、そういう、またねー原発がある鹿児島。今の知事は鹿児島を本当に子供たちを幸せにしたい。素晴らしい自然がある、太陽の光、美味しい水、今は水も買わなければならなくなりましたけども、原発さえなければという風に毎日思って暮らしています。それでは皆さんに今日、聞いて頂きたくて拙いものかもしれませんけれど、読み上げたいと思います。
 福島第一原発事故への国の対応を見ると、川内原発再稼働は許せません。川内原発は福島事故後、停止していましたが2015年8月と10月に全国に先駆けて再稼働しました。前伊藤鹿児島県知事は「60年までの運転延長を容認する」と発言していましたが、2016年7月の知事選で三反園知事が勝利しました。これは原発の立地点である川内市でも伊藤知事よりも三反園知事の票が多かったためです。三反園知事は「運転から30年を超えた1,2号機は40年が基本、廃炉に向けて努力する」と明言しています。福島事故を教訓に原発は停止すべきだという声は全国的に大きくなってきています。関係自治体の鹿児島市の市長もそれまでは全く伊藤知事と一緒でしたけれども三反園知事と同じように3号機の建設を認めないと言っています。それから新エネルギーに切り替えていくという事も明言しています。鹿児島は黒豚、黒牛とそういったものが沢山あります。だけどシイタケボックス?とかそういったものを作っていけばエネルギーが出来ていくので黒豚をもっと飼いたいのに、そういった事を行政が後押ししてくれれば新しいエネルギーが幾らでも出来る訳です。
 現在国が行っている「20mSv以下なら大丈夫」と「自主避難者」への住宅提供を打ち切り、避難区域を解除し、被害者を切り捨てる政策は決して許せません。これを聞いた時は本当に愕然としました。私が事故があれば多分20mSvの所にそのまま、私は何処も行くところがないので残ると思いますけど、皆さんが「帰れ」と言わなくても、動く事もできないと思います。育ててきた作物を子供たちに送ることができますか。ホウレンソウやダイコンや汚染された作物を作ることができるでしょうか。自治体は破壊されています。
もし次の事故があれば国は他の地域(例えば鹿児島)でも同じことをするのかと、ますます怒りの声と不信感は大きくなるでしょう。また、熊本地震の際、原発を止めず、十分な情報が国民に知らされませんでした。住民の安全より「原発稼働」を優先したことも国への不信感を大きくしました。
川内原発で事故が起きたら5キロも30キロも関係ありません。川内市民の飲み水となる川内川は満潮時には海水が川に上がってきます。実際川内の水道水で塩分が出た事があるんです。そして30キロ圏の鹿児島市郡山町には鹿児島市の水源地があります。いったん事故が起きれば、これらの水源が汚染され、水も飲めない、あるいは内部被ばくを強いられる結果となります。再稼働にあたっては、このような水源汚染などのリスクが高いことは何ら考慮されていません。
福島事故によって環境に放出されている放射線による健康被害対策、住宅の確保などが十分にされていない現状を見ていると、その対策抜きに再稼働などあり得ません。また川内原発の避難計画も問題があります。30キロ圏における屋内退避などは地震による家屋の倒壊、台風、雪の日の道路凍結などの可能性を全く考慮しておらず、実効性は皆無でした。東京の立派なマンションに暮らしている皆さんには想像もできないでしょうが、年老いたおじいちゃん、おばあちゃん、屋内退避でも誰が迎えに来るかどうかわからない、食料もいつ届くかわからない、そういう所で暮らしている人達に屋内退避というのは本当に現実性がない避難計画、防災計画だと思います。鹿児島の夏で屋内退避なんかして、皆、クーラーつけるでしょう。知らないのでどんどん放射能を取り込みますよね。換気扇も回すでしょう。そういった細かい全く想像力のない皆さんの対応は本当に腹が立ちます。防災計画、避難計画は全く無駄だと思います。
ヨウ素剤の取り扱いについても、事前に必要な人には配布すべきです。原発の近くを仕事や帰省で通ることもあります。私は福島の友達から聞きました。そして福島の友達は言っていました。自分の施設のおじいちゃん、おばあちゃんを連れてにげていたら、避難所に行ったらあなた達の入るところはない、また次の所に行ったら断られたと。そしたら何故逃げなければいけないのか、本当に困ったと言っていました。そして行政に言ったら「もう手放してください」と言われたそうです。家族でないし、家族と思っていた高齢者をですねそんなに簡単に手放すことはできないと。この間やっと仮設に十分でないながら移すことができたと言ってました。皆さんそういう声は届いていないんでしょうか?良心は何処へ行ってしまったのかなーと思います。
ヨウ素剤を服用して良いか事前の検査は事故のない時に実施しなければ事故が起きてからでは遅いのです。また原発労働者の作業環境を重視し被害を最小限にするためにも重要免震棟は必要です。
国が福島原発事故の収束と被害者への賠償、子ども被災者支援法の実効ある運用をおこなっていない今、どの原発の再稼働も許されません。
(提出された意見表明文を読み上げられた際の口頭補足を含む)

原発立地点からの意見表明
原子力規制委員会・原子力規制庁 御中
                                     2017年2月28日
すべての原発再稼働を中止せよ
再稼働認可を撤回し、適合性審査を中止せよ
原発さよなら四国ネットワーク 文責:小倉正

 伊方原発は規制基準審査に適合したとして再稼働されていますが、この度の審査は、そもそも規制委員会の発足当初に示された「当面の安全目標」(セシウム137の放出量が100兆ベクレルとなる規模の事故の発生確率を百万年に1回以下にする)を満足するかどうかを、確率論的リスク評価の結果に基づいて審査し、太鼓判を押したものではありません。
 この事は愛媛県の伊方原発環境安全管理委員会原子力専門部会の場でも、なぜ当面の安全目標を審査しなかったのか、と問われて規制庁からの説明者が答えられなかったことです。(このことが、田中委員長がよく「規制基準適合審査であって、安全審査ではない」と発言しているその理由だと推測しています。)
 その代わりに電力会社が最悪のシナリオだと考える一つの過酷事故のケースについて、確率がこれこれ、放出量はこれこれという評価をチェックして、合格だとしているはずですが、これはいわば仮免許のような話です。
 四国電力は数年後には実用化すると言っていますが、おそらくは全ての電力会社が「確率論的リスク評価」を実用化できて審査を通ると確信できた後に初めて、最初に述べた「当面の安全目標」について審査を開始するものと思われ何年先になるか分かりません。当面は電力会社に過酷事故発生時の責任を丸投げしている、無責任な審査態勢となっています。
 当団体はすでに2015年5月18日に規制庁伊方事務所を通じて、このような基準適合性審査には意味がないので直ちに止めるべきだ、という要請書を送っていますがそのことへの回答もありません。
 昨年12月15日に田中規制委員長は初めて伊方町を訪問し、高齢の入院患者らにとっては一刻を争う事態ではないので、避難をせず屋内退避をするよう発言しました。
 しかし、この想定の元となるシミュレーションは、東電福島原発事故の1/100の規模であるセシウム137が100兆ベクレルの汚染が放出された事態において、5km境界の被ばく線量が屋外では基準以上、屋内なら基準以下になると評価したものにすぎません。つまりフクシマの1/100以上の汚染放出となる場合=電力会社が過酷事故対処に失敗した場合には、地元住民はその評価レベル以上の、安全ではない被ばくを屋内で強制させられることとなります。
 この試算はつまり、日本では、IAEAが提唱する5層の深層防護の内の5層目の「原子力防災」が、4層目の「過酷事故対処策」が成功した場合にだけ有効な対策となっているということを意味しています。深層防護とは、前段の砦が突破された場合を想定して最後の砦を築くことですから、一つ前の層での防衛が成功した場合だけを想定していては深層防護にはなりませんし、当然有効でもありません。
 日本ではこの5層目は深層防護になっていない、ということで、国際水準の安全哲学に劣るものと言わざるをえません。安倍首相は世界で最も厳しい水準の安全対策を行っている、と公言しているのですから、せめてIAEAの云う5層の深層防護を満足しているべきです。そうでないのなら現状が劣っていることを認め、より厳しいものができるまで再稼働を止めさせることが原子力規制委員会のなすべきことです。

政府交渉参加者へのメッセージ
   福島原発事故によりヒバクを余儀なくされた皆様の権利を守るために政府交渉に参加された皆様に心より敬意を表します。
 政府や電力会社は、私たち日本国民に対して「絶対事故を起こさない」として原子力発電所を建設・稼働させてきたはずです。
 しかし、2011年3月11日の東日本大震災と巨大津波において福島第一原発が巨大事故を起こしてしまいました。
 日本は、世界最大の地震国であるにもかかわらず、原子力発電所の建設と稼働を続けてきた政府と電力会社の責任なのです。
 言い訳は、聞きません。
 今回の原発事故は、「絶対事故は起こさない」と言い続けてきた政府と電力会社が起こさせた事なのです。
 その結果、故郷を追われ、生活を奪われ、家族との関係まで厳しい状況に追い込み、放射能による内部被ばくや放射線による外部被ばくにより、健康を侵され、生命までも削り取られているのです。
 福島県を含め多くの皆さんが、「返せ!」「元の暮らしを返せ!」と言われているのです。
 そのことから言えば、今回提出する要求は極めて小さな要求です。
 このようなことを要求しなくても充足するのが、政府であり電力会社が果たすべき責任です。
 是非、これら最低限の要求をすべて充足させるために頑張りあいましょう。
 15基もの原子力発電所を抱えている福井県民も皆さんと同じです。
 お互いに協力して頑張りましょう。
                                     2017年2月28日
原子力発電に反対する福井県民会議     代表委員  中嶌哲演
福井県平和・環境・人権センター      議長   勝美義治

脱原発と結び被災者支援


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