福島県・県議会の国への要求と併せて、運動の力で福島原発事故の被災者の支援を勝ち取とることができました。全国の皆様、署名運動と政府交渉へのご協力ありがとうございました。
県民健康調査の甲状腺検査の結果生じている医療費負担の解消という限定された課題ですが、健康分野で「風穴」を開けることができました。
2011年9月に内閣府原子力被災者支援チーム回答「原子力事故被災者の健康確保について、最後の最後まで、国が前面に立ち責任を持って対応してまいる所存です。」を引き出して以降、はじめての具体的な成果です。
運動の力で福島原発事故の被災者の支援を勝ち取ったことは、被災者と被災者支援の運動に勇気を与えるものです。
今後必要と判断される場合は、経過観察で通常診療に移行する人を含めて、福島県の19歳以上の甲状腺医療費無料化が確実なものになるよう、更に政府に働きかけていきます。
この運動は、脱原発福島県民会議、双葉地方原発反対同盟、原水爆禁止日本国民会議、原子力資料情報室、全国被爆二世団体連絡協議会、反原子力茨城共同行動、原発はごめんだ!ヒロシマ市民の会、ヒバク反対キャンペーンの8団体が呼びかけ、取り組んできました。
<参考資料> ダウンロード
1. 環境省の「当面の施策の方向性」
環境省は、「当面の施策の方向性(案)」に対するパブリックコメントを踏まえて、2月27日、「当面の施策の方向性」を発表しました。 環境省ホームページ
その中で、「県民健康調査の甲状腺検査の結果、引き続き治療が必要である場合の支援を行うこととし、詳細について福島県と検討を進めます。」と表明しています。
「パブリックコメントに寄せられた主な意見」では、
意見:「『対象者に過重な負担が生じることのないように配慮しつつ』とあるが、『過重な負担』とは何か。」
に対して、
○福島県の県民健康調査「甲状腺検査」における、検査を受ける際の心身及び経済的な負担等を想定しております。いただいた御意見も勘案して、県民 健康調査「甲状腺検査」を受診した結果、引き続き治療が必要になった場合には、福島県と協力して支援を行うといった配慮を行ってまいる旨を追加して記載することといたします。
と環境省の考えを説明しています。
2. 2月24日の福島県議会答弁
甲状腺検査に係る医療費につきましては、これまで県民に負担が生じることのないよう国に強く要望してきたところ、今般国の新年度予算に県民健康調査を支援するものとして必要な経費が計上されたところであり、今後、具体的な支援方法等について検討を進め、新年度早期に支援を実施できるよう取り組んでまいりたいと考えております。
3. 財源とみられる環境省予算
放射線被ばくによる健康不安対策事業 総額7億8100万円(平成26年度は4400万円)
1.事業の概要(抜粋)
本事業では、福島県の県民健康調査をフォローアップするため、放射線による健康不安の解消を図る事業や付随する調査研究等について支援を行う
2.事業計画(業務内容)の4)県民健康調査支援のための調査研究・・・これに該当するとみられる。
住民の健康確保の不安の解消を図るため、放射線による健康への影響を網羅的に把握することを目的とした調査研究事業を支援する。
4.県民健康調査の甲状腺検査の結果から(2014年12月31日現在)
通常診療等 | うち、細胞診受診者 | うち、悪性ないし悪性疑い | うち、手術 | |
先行調査 | 1,329人 | 523人 | 110人 | 87人 |
本格調査 | 168人 | 22人 | 8人 | 1人 |