長期化するイチエフ被ばく労働

政府は2011年12月16日に「緊急時作業」を解除したが、その後も高線量下での、汚染水処理、建屋内の線量調査・水位測定・写真撮影、構内の除染・フェーシング、不要タンク解体、原子炉建屋カバー設置、4号炉燃料プールからの使用済み燃料取り出し、凍土遮水壁建設、等が続いた。
2012年1月から2016年3月までに、新たに東電社員1,430人、下請け25,939人、計27,369人が被ばく労働に従事した。
さらに、原子炉格納容器内のデブリ調査のための、除染・壁の穴あけ・デブリ調査などの作業、燃料プールの燃料取り出しのための、建屋カバー除去・除染・取り出し装置の設置などの作業が行われている。
2016年4月からの新しい放射線管理期間では、2019年3月末までに東電社員2,108人、下請け18,675人、計20,783人が従事している。
表3 緊急時作業従事者とその後の従事者(2019年3月まで)
期間 事故発生から2016年3月末まで 2016年4月~
2019年3月
緊急時作業従事者
2011年3月~12月
その後の新たな従事者
2012年1月~2016年3月
合計
東電社員 3,282人 1,430人 4,712人 2,108人
下請企業 16,305人 25,939人 42,244人 18,675人

2016年12月現在でもほとんどの地点が毎時数十~数百マイクロシーベルト(自然放射線の100~1000倍)のオーダーで毎時2.6mSv といったホットスポットも残っている。
建屋内は今もなおレベルが桁違いに高く、非常に危険な環境である。

(1)下請け労働者が高線量被ばく
現場では、従事者数が増え続け、2015年2月~3月に平日1日の従事者が7000人を超えた。
その後徐々に減少し、2019年4月以降は3000人台で推移している。
出典:廃炉・汚染水対策チーム会合/事務局会議(2019年05月30日)資料2-1「廃炉・汚染水対策の概要」
       〃              (2020年01月30日)    〃
表4 平日1日あたりの従事者数の推移(2013年4月~2019年10月 実績数)
期間 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年
1月   3730人 6570人 6370人 5850人 4930人 4190人
2月   4020人 7130人 6720人 6110人 4970人 4400人
3月   4270人 7450人 6360人 5940人 4740人 3980人
4月 2950人 4450人 6940人 5790人 5470人 4140人 3440人
5月 3060人 4840人 6800人 5940人 5590人 4260人 3610人
6月 3130人 5490人 6900人 5910人 5530人 4250人 3610人
7月 2990人 5730人 6740人 5980人 5460人 4260人 3630人
8月 3130人 5800人 6690人 5850人 5380人 4260人 3660人
9月 3290人 6440人 6670人 5740人 5230人 4210人 3730人
10月 3220人 6220人 6830人 5920人 5150人 4050人 3790人
11月 3410人 6600人 6450人 5960人 5090人 4160人 3990人
12月 3540人 6890人 6430人 6010人 5050人 4270人 4070人



高線量下の被ばく労働が長期化し、下請けが被ばく労働を担うという事故前と同じ状況になってきている。






事故発生から2016年3月末までの5年間では、従事者4万7千人のうち20%を超える1万人が20mSv以上被ばくし、その86%を下請け労働者が占めている。
次の線量管理期間の2016年4月以降では、下請け労働者1万8675人の7.8%の1463人が20mSv以上被ばくしている(2019年3月末現在)。
表5 20mSvを超えて被ばくした労働者
所属 2011年3月~2016年3月 2016年4月~2019年3月
所属 従事者 20mSv超え 比率 従事者 20mSv超え 比率
東京電力 4712人 1431人 30.4% 2108人 35人 1.7%
協力企業 42244人 8646人 20.5% 18675人 1463人 7.8%
合計 46956人 10077人 21.5% 20783人 1498人 7.2%

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