危険手当不払など搾取と違法行為

違法行為、搾取の横行
福島労働局が2011年3月から15年6月までに724事業者の監督指導を行った結果、409事業者に何等かの労働基準法、労働安全衛生法違反が認められた(違反率 56.5%)。
文書によらない雇用契約、危険手当・残業代の不払い、内部被ばく測定の時間に対する賃金不払い、就業前の宿泊費用立て替えでその後労働者を縛るといった不当行為が後を絶たない。
下請け企業が健康保険、厚生年金保険、雇用保険などの社会保険に加入せず、労働者が必要な給付を受けられないという実態が蔓延している。

社会保険未加入問題の根本的解決が必要
国土交通省が、建設業の元請企業に向けた「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」に元請企業に社会保険未加入企業との契約締結を禁止する条項を盛り込むなどの改訂を行い、2017年4月から実施される。
下請企業が社会保険負担分として元請企業等に上乗せ請求した場合、工事の代金を差し引かれてしまうのではないかという懸念があり、下請企業が労働者の寮費や食費を一方的に引き上げ、保険費用に充てる事例が増えている。
解決には下請け企業の指導と「社会保険費用分を下請け企業が元請けに請求できる仕組み」の構築と元請けの誠実な対応義務付けが必要である。

2016年1月から12月までの監督指導結果
廃炉作業を行う事業者(監督実施事業者数 348) 除染作業を行う事業者(監督実施事業者数 1,020 )
○労働基準関係法令違反 160事業者 違反率46.0%
  安全衛生関係19.2% 労働条件関係59.6%
○違反件数 273件
  安全衛生関係 36件 労働条件関係 237件
○労働基準関係法令違反 586事業者 違反率57.5%
  安全衛生関係47.0% 労働条件関係71.2%
○違反件数 982件
  安全衛生関係 497件 労働条件関係 485件

18歳未満の被ばく労働従事
労基法は原発作業などの危険な業務に18歳未満が就労するのを禁止している。
しかし、18歳未満のイチエフ被ばく労働・除染労働で違反事例が起きている。
17歳の少年が事故直後の2011年4月6日?11日、鹿島(東京)の下請け企業の作業員として、2、4号機のタービン建屋に穴を開ける作業に従事した。この間の累積被ばく線量は1・92ミリシーベルトだった。放射線業務解除の際に発覚した。
15歳の少年を除染労働に従事させたとして、土木建設会社の専務の男性が逮捕された。少年は2014年中学校を卒業。4月にハローワークで、労基法違反の疑いが持たれている男が専務を務める会社を紹介され、足場を組み立てる作業員として就職した。6月、急に「福島に行ってもらう。足場関係の仕事だ」と言われ、不安を抱いたが母親には「原発関係ではないし、事故現場の近くでもない」と話した。

ポイ捨てされる下請け被ばく労働者

下請け作業員のほとんどは高線量作業で線量がオーバーすれば生活保障がなく「ポイ捨て」される、という被ばく労働特有の実態がある。
福島第1原発や除染で被ばく労働に従事した労働者が多数全国に散らばっている。

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