住民の健康と安全を守り、生じた健康被害は補償することを求める要請書 ⇒ ダウンロード
政府はチェルノブイリ原発重大事故にもかかわらず、原発推進政策をとり続け、ついに東京電力福島第一原発重大事故を招きました。広大な土地と海洋が放射能で汚染され、多数の住民と事故終息をめざす作業の従事者が日々放射線被曝を強要されるという最悪の事態を引き起こしました。
東京電力福島第一原発重大事故は様々な課題を突き付けました。
私たちヒバク反対キャンペーンは、双葉地方原発反対同盟、原水爆禁止日本国民会議、原発はごめんだヒロシマ市民の会、反原子力茨城共同行動、原子力資料情報室と共同で、2011年5月2日に、政府に「住民の健康と安全を守り、生じた健康被害は補償することを求める要請書」を提出しました。
要請書では、政府に①国の責任による県民の健康保証と健康手帳の交付、②住民に被ばくを強要する被ばく基準の撤回と除染等の住民の被ばく低減措置、③緊急作業の被ばく限度の引き下げと全従事者への健康管理手帳の交付を求めています。
要請書に対する88団体と2912個人の賛同を背景に政府交渉を行いました。
この要請書をベースに、2000年代の長尾労災、喜友名労災、JCO臨界事故関連の課題に協力して取り組んできた諸団体が発展的に福島原発事故関連の課題に取り組んでいます。
その後新しい団体も加わり、2022年3月現在、脱原発福島県民会議、双葉地方原発反対同盟、原水爆禁止日本国民会議、全国被爆2世連絡協議会、原子力資料情報室、原発はごめんだヒロシマ市民の会、原発の危険性を考える宝塚の会、チェルノブイリ・ヒバクシャ救援・関西、ヒバク反対キャンペーンの8団体となっています。
福島第一原発事故関連の分野では下記の課題に取り組んできました。
・脱原発と結び東電福島第一原発事故被災者支援、国の責任による健康手帳の交付
・避難指示地域の医療等減免措置延長・対象地域の拡大
・国の責任による甲状腺医療費の無料化、生涯保障
・福島事故がもたらした被ばく労働の問題点
・年20mSv基準の避難指示解除の撤回
・リスクコミニュケーション強化戦略反対、放射線のホント・放射線副読本の撤回
・東電福島第二原発の廃炉
・ICRP2007年勧告の国内法制化反対
・公衆の被ばく限度年1ミリシーベルトの法的根拠
・モニタリングポスト大幅削減反対
・除染土壌再利用政策の撤回
・トリチウム汚染水の海洋放出を許すな
国の責任による甲状腺医療費の無料化の実現、モニタリングポスト大幅削減の撤回の課題、公衆の被ばく限度年1ミリシーベルトの法的根拠を明らかにする課題については、福島の皆さん、全国の皆さんと協力して成果を上げることができました。
東電福島第二原発廃炉の課題は「福島に原発はいらない」という県民の強い意志により実現されました。
残りの多くの課題では政府の政策を転換させるまでには至っていません。
事故から年数が経過するにつれ、リスクコミニュケーション強化戦略など福島原発事故被害の過小評価と被害者の切り捨て政策が進められています。復興政策は事故被害者の補償とは反対の方向を向いています。
私たちはこうした政府の方針に反対し、引き続き課題に取り組んでいきます。