東電が内部被ばくの追加推定結果を公表(2013/07/12)

* 2012年3月の東電からWHOへの報告(報告データは2012年12月6日、東電HPに公表)
  要点
  ・甲状腺被ばくについては、甲状腺被ばくの測定を実施した522名の結果がWHOに報告された。
  ・甲状腺被ばく等価線量は、1万ミリシーベルト超えた2名を含む167名が100ミリシーベルトを超えた。

* 東電はその後に行ってきた甲状腺被ばく線量の推定結果を2013年7月12日に公表した。
  内部被ばく線量修正の概要
   ・調査対象者数(母数) 19,592人(東電3,290人、協力企業16,302人)
   ・上方修正(最大値+48.91mSv)452人(東電30人、協力企業422人)
   ・下方修正(最大値-9.24mSv) 27人(東電 2人、協力企業 25人)
   ・甲状腺等価線量が100mSvを超えたのは1,972名
  注)母数の19,592人は平成23年12月16日までに福島第一原発の指定緊急作業に従事した人。

* 東電独自の上積み長期健康管理の対象者
  厚労省の長期健康管理に上積みして東電が独自に行っている上記の長期健康管理は、
   ①指定緊急作業による被ばく線量
   ②その後の東電原発での平成28年3月末までの作業による被ばく線量
  の合計により対象者が指定される。
   ・各種がん検診    実効線量が50mSv超100mSv以下
   ・甲状腺超音波検査 甲状腺等価線量が100mSv超

  修正による増加(2013年3月末の累積線量による)
   ・各種がん検診       + 30名(東電社員1名、協力企業 29名)
   ・甲状腺超音波検査  + 121名(東電社員2名、協力企業119名)

  修正後の対象者(2013年3月末の累積線量による)
   ・各種がん検診      1307名(東電社員534名、協力企業600名)
   ・甲状腺超音波検査  1972名(協力企業976名、協力企業996名)

  今後の作業従事によって対象者は更に増加することが予想される。
   東電独自の上積み健康管理は、対象者の指定に平成28年3月末までの作業による被ばく線量が反映されるので、対象者は今後更に増加する。

* 厚労省の緊急作業従事者の長期健康管理は対象が極めて限定的
  緊急作業従事者の長期健康管理は厚労省と東電によって分担されている形になっている。
  厚労省
    全労働者の被ばく線量、健康診断、各種検診のデータの管理
    緊急作業の被ばく線量が50mSv超え従事者の目の検査と離職後の健康診断の費用負担。
    100mSv超え従事者の各種がん検診費用負担。
  東電は、厚労省の長期健康管理に上積みして、独自に、
    実効線量が50mSv超え100mSv以下の従事者の各種がん検診
    甲状腺の等価線量が100mSv以上の作業者の甲状腺超音波検査
  を行っている。
  (線量はいずれも緊急作業の被ばく線量とその後の東電原発での平成28年3月までの被ばく線量の合計)
  厚労省による緊急作業従事者の長期健康管理は対象者が極めて限定的である。
  政府の「終束宣言」以降の被ばくは長期健康管理の対象者指定に反映されていない。

厚労省 東電
がん検診
(胃、肺、大腸、甲状腺)
167人 注1 1307人 注3
上記の結果による精密検査
(胃、肺、大腸、甲状腺、白血病)
甲状腺超音波検査 1972人 注4
目の検査 902人 注2
緊急作業従事者の長期健康管理の現状
注1)指定緊急作業従事期間の被ばく線量が100ミリシーベルトを超えた従事者 平成25年8月現在
注2)指定緊急作業従事期間の被ばく線量が50ミリシーベルトを超えた従事者 平成25年8月現在
注3)実効線量が50ミリシーベルト超え100ミリシーベルト以下の従事者 平成25年3月末現在
注4)甲状腺の等価線量が100ミリシーベルトを超えた作業者 平成25年3月末現在
注3、注4の線量は、緊急作業の被ばく線量とその後の東電原発での平成28年3月までの被ばく線量の合計による。
* 収束宣言以降の新規入域者は長期健康管理の枠外
  2011年12月16日の「終束宣言」以降に約1万人の労働者が新たに福島第一原発の現場に入り被ばく労働に従事している。
  彼らは過酷な被ばく労働に従事しているが、通常の原発被ばく労働の健康管理以上の措置はとられていない。

Copyright(c)ヒバク反対キャンペーン.All rights reserved.

福島事故がもたらした被ばく労働
分野トップ

イチエフ労働者の被ばく
分野トップ
イチエフ作業者の被曝(2018/05/31)
イチエフ作業者の被曝(2015/01/30)
イチエフ作業者の被曝(2014/08/30)
イチエフ作業者の被曝(2013/08/30)
イチエフ作業者の被曝(2013/02/28)
緊急作業者の被曝(2012/01/31)
緊急作業者の被曝(2011/11/30)
緊急作業者の被曝(2011/9/30東電発表)
緊急作業現場(2011/3/23東電発表)
東電が内部被ばくの追加推定を公表(2013/07/12)
厚労省が緊急作業者の内部被ばく見直し(2013/07/05)
東電、緊急作業者の被曝状況をWHOに報告(2012/12/06)
全ての緊急作業者の被ばく限度を引き下げよ(2011年10月)
主排気筒付近で、毎時10シーベルト以上
第一原発構内の放射線モニタリング

イチエフ労働者の被ばく労災補償、健康管理
緊急作業者3人目の白血病労災認定
緊急作業者の甲状腺がん労災認定
緊急作業者2人目の白血病労災認定
緊急作業者初めて白血病労災認定
厚労省、長期健康管理の実施状況を公表(2013/08/09)
原発被ばく労災補償の状況と課題(2012/9/30)
政府の緊急作業者の長期健康管理とその問題点(2011年10月)
緊急作業者全員の長期健康管理を!

関連資料
250mSv限度特令の改正案(2011/10/24)
基発1011第1号(2011/10/11)
電離則の一部を改正する省令
9月22日質問・要請書に対する回答
緊急作業従事者等の健康の保持増進のための指針
緊急作業者の長期健康管理検討会報告書
250mSv限度の電離則特例政令(2011/3/15)