喜友名さんの原発被曝労災問題は、2007年10月から何度も全国紙・地方紙・テレビ等で、原発被曝労働者の記事としてはこれまでに例のない大きな扱いで、1年以上にわたり、さまざまな角度から報道されました。
支援する会が結成されこの問題が全国化した段階で、毎日新聞(2007年10月14日)、沖縄タイムス(2007年10月18日)、琉球新報(2007年10月16日、10月21日)で詳しく報道されました。朝日新聞(青森版、2008年1月4日)では核燃施設の維持のために被爆労働者を確保する構想について喜友名さんの問題を通じて警鐘を鳴らしています。
全国署名の拡大、2度の中央行動を含む7回の厚生労働省交渉など支援の広がり、長尾訴訟の不当判決などが、沖縄タイムス(2008年9月12日)、東京新聞(2008年3月2日、6月10日、9月13日)で詳細に報道されました。
労災認定が確実になった段階で、検討会で労災認定の方針が決定された記事(2008年10月4日)、大阪労働局が労災認定が妥当と判断した記事(10月14日)、労基署が正式に労災認定を伝えた記事(10月28日)がほとんどの全国紙・地方紙で報道されました。個別に、2008年10月5日琉球新報で、2008年10月19日に毎日新聞で、で報道されました。テレビでは2008年10月3日~4日にNHKで報道されました。
労災認定後も、朝日新聞(青森版、2008年12月3日)、東京新聞(2008年12月29日)で今後の課題などが取り上げられています。
これらの報道を通じて、原発被曝労働者の健康被害の問題、原発推進のもたらす問題点に光が当てられました。
(8)被放射線曝労働が危険な業務であることを改めて示した
喜友名さんの悪性リンパ腫労災認定問題を通して、被放射線曝労働が危険な業務であることが改めて浮き彫りになりました。喜友名さんは氷山の一角です。喜友名さんよりも多く被曝した原発被曝労働者は5000人を超えています。(2002年末時点)。被曝労働者は線量限度以下でも被害を被っています。国際がん研究所の報告(IARC2007年)によれば、白血病を除くすべての癌と被曝線量は統計的に有意な正の相関がある(P=0.02)ことが明らかになっています。従って喜友名さんより低い被曝線量であっても被害は顕在化してきます。日本の原発被曝労働者の総被曝線量は3000人・シーベルトを超え、その健康被害は癌・白血病死だけでも300人を超える規模です。内部被ばくによる被害も加わりますが詳細は不明です。日本の原発被曝労働者は40万人ともいわれますが、表面化した労災補償は多くありません。原発被曝労働者の労災申請は喜友名さんを含めこれまでに18件あり、そのうち認定されたのは10件です。2004年の長尾さんの多発性骨髄腫労災認定までは白血病5件とJCO臨界事故の急性障害3件でした。長尾さんの多発性骨髄腫に続いて白血病以外の労災が認定され、原発被曝労働者の労災認定の狭い門を開く方向に更に一歩前進しました。