「喜友名正さんの労災認定を支援する会」の取り組み

* 11月30日、労災認定勝利報告集会を開催  報告レジュメ、案内ビラ
支援する会の発足集会に続き大阪の地で、沖縄から喜友名末子さんを招き、喜びをともにしました。
末子さんの労災認定報告に続き、支援の取り組みと総括の報告を受け、支援者のリレースピーチが続きました。さらに、検討会報告の問題点、喜友名労災が示した課題と今後の取り組み、11.17厚労省交渉、についての報告があり、被曝労働者の訴えを支援する緩やかなネットワークの構築、認定基準の拡大など今後の方向について論議しました。

* 11月25日、厚生労働委員会で、労規則35条検討会を年度内に開催と政府答弁
11月25日の厚生労働委員会で福島みずほ委員の質疑に対して石井淳子政府参考人が、労規則35条検討会を「本年度中に開催したい」と答弁しました。 →  詳細
私たちは労災認定基準の例示疾病リストに白血病類縁疾患を追加することを何度も厚生労働省交渉で要求し、そのための検討会を今年度内に開催するとの回答を得ていましたが、それが国会で確認されました。

* 11月17日、白血病類縁疾患を労災対象に追加することなど、9項目の厚労省交渉
原発被曝労働者の悪性リンパ腫労災認定は喜友名さんが初めてです。長尾さんの多発性骨髄腫労災認定に続いて白血病以外で労災が認定され、原発被曝労働者の狭い労災認定の間口を広める方向に更に一歩前進しました。
喜友名労災は多くの課題を示しています。11月17日、放射線被曝労災認定基準の認定例示疾患リストに白血病類縁疾患を追加することなど、9項目を厚労省に申し入れ交渉を行いました。 →   申し入れ書   取り組みの報告

* 淀川労基署から正式に「不支給決定取り消し・支給決定」が伝えられました。
 10月27日、淀川労基署から、2006年9月の不支給決定を取り消し、支給することに決定した」ことが伝えられました。
 全国のみなさんからの15万筆を超える署名と労災認定の根拠を示す資料を提出して地道に重ねた厚労省交渉などが大きな力となりました。みなさんとともに喜びを分かち合いたいと思います。
 同日午後に、喜友名末子さんは代理人の金高弁護士とともに沖縄県庁記者クラブで記者会見しました。故正さんの病気は労働災害によるものと確信し、この日を待ち望んでいた末子さんは「全国のみなさんの支援のおかげです。感謝の気持ちでいっぱいです。夫が亡くなって、止まったままだった私の時間が動き出した。体の底から力がよみがえってきた感じです。夫と同じように原発で働きがんなどの病気で苦しんでいる人がいれば、応援したい」と、喜びとこれからのことを力強く語りました。

* 厚生労働省、ホームページに検討会報告書(因果関係)を公開
 10月20日、厚生労働省はホームページに検討会報告書の「因果関係」の部分を公開しました。
 報告は、疫学調査の結果からは「1Gy以下では放射線被曝と悪性リンパ腫の関係があるともないとも言えない(要旨)。」と、有力な疫学調査の存在を評価しきれていないまとめとなっています。 →  検討会報告の問題点
 労災認定に当たっては、悪性リンパ腫が白血病類縁の疾患であり、疫学調査からも放射線によるリスクがあることを認め、白血病の労災認定基準線量を参考に判断すべき。」としています。
 喜友名正さんは白血病認定基準の3倍もの被曝であり、労災認定は当然です。

* 平均賃金決定申請が出れば支給決定する 労基署から連絡
 10月14日、16日、淀川労基署から、 「不支給決定を見直す方向となった(自庁取り消し)。発症とされた2003年12月当時の支給額による平均賃金決定申請を出してほしい。申請が出れば支給決定する。」との連絡がありました。
 ついに労災認定は目前となりました。喜友名末子さんは、「労災認定は当然。私の止まっていた時計が動き出した。職場で、みんなと抱き合って喜びました。声が明るくなったといわれる。自分1人ではできないこと。感謝の気持ちでいっぱいです。夫の実家に行き、みなで喜びたい。後に続く人を応援したい。」と語っています。

* 悪性リンパ腫、労災認定へ  大阪労働局、放射線業務で初
 「厚生労働省検討会がまとめた悪性リンパ腫を労災対象とするとの報告書が10日に大阪労働局に届き、大阪労働局は労災認定が妥当と判断し、近く労基署が近く労災認定し、遺族に支給を開始する。」と新聞報道されています。 労災申請から3年、労基署からの連絡が待たれます。

* 「検討会、喜友名さんの病気と放射線業務の因果関係を認める方針」とTV・新聞報道
 厚生労働省の第5回検討会が10月3日に開催されました。
 私達は厚労省に署名2006筆を追加提出し(累計15万6721筆)、検討会を見守りました。
 検討会は4時間で終了し、その結果は、「検討会は、喜友名さんの病気と業務の因果関係を認める方針を固め、近く報告書にまとめられる。」とTV・新聞各紙で報じられています。
 私たちは、1日も早く労災認定がなされることを望むものです。
 署名にご協力くださった皆様に深く感謝します。 なお、署名は労災認定されるまで継続します。

*9月11日、第2回中央行動  署名6万1246筆を追加提出(累計15万4715筆)
  ニュース5号    申入書    質問書    案内チラシ
 末子さん早期認定を訴える。 厚労省、10月上旬の第5回検討会でとりまとめへ
 交渉に先立つ「市民と議員の院内集会」には市民40名と議員4名が結集し、意見交換をしました。
 交渉には、厚生労働省から職業病認定調査官ら3名が出席しました。 喜友名末子さんは、「人が放射線を浴びること自体体に悪いことは厚生労働省もわかっていると思う。家族がどんなに苦しい思いをしているか考えてほしい。私たち家族は国が憎い。1日も早く労災認定をしてほしい。」と訴えられました。
 検討会の経過と今後の見通しについて、厚生労働省は次のように回答しました。
①疫学調査の文献レビューと疫学的評価、診断の根拠・病状の経過など医学的検討を平行して進めてきた。主として文献レビューに時間を要している。放射線の他には問題になっていない。
②労災補償制度の労働者保護の原則は認める。疫学調査のみではなく、総合判断する。
③次回検討会で、とりまとめを行う。報告書案の検討ができるよう努力する。開催は10月上旬の見通しである。
④このように多数の署名が集まったことは検討会委員にも伝える。
⑤認定基準の例示疾病の追加に関しては、検討会年度内開催に向け、検討対象とすべき疾病につき調査検討中である。

* 6月11日、署名追加提出と労働者保護の労災認定の申し入
◆3630筆を追加提出し、累計は9万3469筆となりました。
◆長尾裁判の不当判決に影響されること無く、労働者保護に基づく労災認定を行うことを申し入れ、確認の回答を得ました。
◆検討会は、第3回(6月12日)でも終わらず、それ以降も検討が続くことが分かりました。

* 5月9日、署名追加提出と新担当者への説明及び再確認の取り組み
◆1万7690筆を追加提出し、累計は8万9565筆となりました。 次回検討会までに10万筆を目標に拡大し、提出したいと考えています。
◆第1回検討会から5ヶ月も経過して第2回検討会が開催されたことについて説明を求めました。
   日程調整ができず、大幅に遅れた。
   第1回は出席委員が2名であり、今回改めて趣旨説明から行った。
   医学的事項の検討は第3回にも継続される。
   実態調査が不十分であり、追加調査を行っている。
   第3回検討会は6月に開催したい。

* 厚生労働省、5ヶ月後の第2回検討会でも医学的事項を継続して検討
 厚生労働省は4月24日、第2回検討会を開催しました。議題は、(1)個別労災請求事案に係る医学的事項について、(2)その他関連する事項について でした。昨年11月22日から5ヶ月も経過して開催された今回の検討会でも医学的事項が継続して検討されたのですが、理由や内容等の具体的なことは分かりません。

* 追加提出3,365筆、累計5万2431筆  署淀川労基署にも署名提出を伝える
 3月18日、3,365筆を厚労省に追加提出しました。署名の累計は5万を超えてきました。また同時に大阪でも、淀川労基署に署名用紙と提出状況の文書を手渡し、認定を求める支援者の声を届けました。

* 認定をめぐる私たちと厚生労働省の意見の相違点
 厚生労働省の第2回検討会の開催は大幅に遅れて、4月以降になる見通しです。
 以下に私たちと厚生労働省の意見の相違点を要約します。引き続き署名を拡大し、厚生労働省に認定を迫っていき
 ましょう。
1.過酷な被曝労働の認識と現場調査
  私たちは喜友名さんが過酷な被曝労働に従事していたことを指摘し、繰り返し厚生労働省に現場調査を求めてき
  ました。その結果、厚生労働省は11月に一部の実態調査を行い、また、最近新たに追加調査を行っています。
  しかし、具体的にどのような調査が行われたのかは明らかではありません。
  私たちは、どのような現場でどのような労働に従事していたのか、喜友名さんに関する全ての作業計画・環境・
  労働記録を遺族に公開することを求めています。
2.悪性リンパ腫と放射線被曝との相当因果関係
  ①悪性リンパ腫が白血病類縁で放射線起因性があることについては、厚生労働省も認めています。
  ②私たちは喜友名さんが白血病認定基準の3倍以上被曝しており、認定されるべきと主張し
     厚生労働省は、白血病認定基準とは別であるとして疫学調査を重んじています。
        99.76mSvで悪性リンパ腫が増加すること(*)が疫学調査で示されているか
          (注) どの程度を必要条件としているのかは明らかにされていない。
  放射線被曝による悪性リンパ腫の増加を示す疫学調査は多数存在します。
  私たちは白血病認定基準を広く被曝労災の認定基準にしていくべきと考えますが、
  「疫学調査を重んじる厚生労働省の考え方であっても喜友名さんの悪性リンパ腫は
  認定される」という私たちの検討結果を厚生労働省・検討会に提出しています。
   12月13日申入書  添付資料    追加申入書  添付資料

* 3月6日、署名3万6655筆を提出、厚労省・検討会に労災認定を迫る
 喜友名末子さんを先頭に、3月6日、全国から寄せられた3万6655筆の「喜友名さんの悪性リンパ髄を労災認定せよ」の声を背景に厚労省に労災認定を迫りました。
 それに先立つ「市民と議員の院内集会」には、国会議員・秘書10名を含めて、50名の参加があり、末子さんの決意表明に続き、支援の発言が多数続きました。参加者の多くが交渉にも参加されました。
 喜友名末子さんおよび金高弁護士(代理人)の意見陳述(要旨)
 末子さんは、「私は反対したが、夫は国がちゃんと管理しているから大丈夫だといって働き続けた。家族の幸せ、夫の命を奪われて時間が止まっている。夫の無念を晴らしたい、労災補償は当然だと思って申請したのに却下された。今回再検討されることになったので、是非とも認定を求める。」ときっぱり主張されました。
 提出された追加陳述書には、被曝線量が限度を超えそうになるたびに沖縄に帰り途絶えた原発労働収入の代わりにアルバイトをしていたことが具体的に書かれています。また、「国は、危険な場所で人が働くことを許している以上、それによって健康被害が生じた場合には、当然、本人や遺族に対して、誠意をもって対応していただきたい、そのように思います。そして、私のような悔しい思いを、これ以上誰にもさせないように、きちんと徹底していただきたいと思います。」と訴えておられます。
 厚生労働省は、「思いといいますか、それを申し述べていただきましたので、それは十分受け止めて持ち帰らせていただきたい。」と追加陳述書を受け取りました。
 金高弁護士の「りん伺案件であるのに門前払いされた。他に挫折している人がいるのではないか。」との指摘と参加者からの関連発言に対して厚生労働省は、「今回は認定基準上の対象疾病ではないのでそれに基づくりん伺ではないけれども、電離放射線という請求なので、より慎重な検討をすべき事案ではないかとは思う。今回、あるいは今後も新しい事例が出たら、地方局、監督署に対してこういう事例がありますということを周知していきたい。新しい疾病として別表に加えるかどうかの検討会を来年度開催する。」との趣旨を回答しました。
 私たちは改めて、危険な現場で働いて放射線と関係のある病気になった労働者を救済するのがこの労災補償の原点である。放射線が原因で無いと言う具体的な証明が無い限り認定すべきである。白血病認定基準の3倍も被曝しているので認定するべきである。喜友名さんの被曝した100ミリシーベルトで悪性リンパ腫が増加するというしっかりした疫学調査が存在する。これを無視することは補償の精神に反すると主張しました。
 厚生労働省は「病気によっては100パーセントこれが原因とわかるものばかりではない。100パーセントの立証を求めているものではない。」と認定の考え方の一部を答えました。
 喜友名末子さんは、「放射線を浴びて働いた人は、すぐ出るか後になって出るか、ガンや病気になる危険がある。退職者が無料で健康診断を受けられるようにしてほしい。」と追加要求を延べられました。
追加申し入れ事項(要旨)
新たに以下の追加調査を求めました。厚生労働省は①については原発労働と捕らえている、②については必要なものは調査すると回答しました。その後、②に関する追加調査が行われているようです。
  ①喜友名さんは定検非破壊検査に従事したが、多量の被曝は原発の労働環境による。
    原発作業様式の現場追加調査を求める。
  ②私たちの調査では、喜友名さんが定期検査の開始以前から従事している事例が6件ある。
    実態調査を求める。
  ③喜友名さんに関する全ての作業計画・環境・労働記録を遺族に公開せよ。
再確認事項
 今後の検討がよりよい方向に進むよう、昨年6月から3回の交渉を重ねてきた中で見解の一致を見ている点、まだ一致を見ていないが伝えている私たちの主張点あわせて下記の8件を再確認しました。
  ・悪性リンパ腫は白血病類縁の疾患であり、放射線起因性がある。
  ・私たちは放射線被曝による悪性リンパ腫の増加を示す疫学調査についてその要点を示し、
   文献レビューによらずしっかり検討することを求めている。
  ・悪性リンパ腫の被曝補償は世界の趨勢である。
  ・喜友名さんの被曝線量は白血病認定基準の3倍を超える。
  ・喜友名さんは過酷な被曝作業に従事していた。
  ・提出した申入書、添付資料をすべて検討会の資料として配布する。
  ・私たちは検討経過と資料の公開を求めている。
  ・多発性骨髄腫、悪性リンパ腫などを例示に加えることについて検討会を開く。
      案内チラシ   3月6日追加申入書   追加資料

* 署名を広げよう!学習集会( 2月17日 ) 済み
  主催:喜友名正さんの悪性リンパ腫労災認定を支援する会
         集会に寄せられたメッセージ
  各地で学習会、街頭署名などに取り組みましょう(講師派遣します)。

* 第一次署名提出12,411筆(12月13日、厚労省交渉)   署名は継続中
 交渉には、厚生労働省から労災補償課の鈴木係長、安全衛生課の橋本係長他計3名が出席し、支援する会側からは9名が参加しました。 当日提出の署名4175筆に加え、兵庫自治労からの8000筆を含む8236筆を12月20日に追加提出しました。
 疫学調査その他資料と共に申入書提出
 交渉では、①第1回検討会(11月22日開催)で労働現場の調査を指示することになったとの回答でしたが、その内容は明らかにされなかったので、私たちの要求する内容を含む労働現場の調査を改めて要求しました。②新たに疫学調査の資料等を添付した申入書を渡し、厚労省はこれらを検討会資料として配布することを了承しました。
         ◇質問書  ◇12月13日申入書  ◇申入書添付資料

原発で働き「悪性リンパ腫」で死亡した喜友名正さんの  労災認定を求める全国署名
                    趣    意    書
 喜友名正さんは、1997年9月から2004年1月までの6年4ヶ月間、主として定検中の原子力発電所(泊、伊方、高浜、大飯、美浜、敦賀、玄海)、六ヶ所再処理施設で非破壊検査に従事し、放射線管理手帳の記録によると合計99.76ミリシーベルトの放射線を被曝しました。これは当時の最も被曝線量の高い約100人に入る過酷なものです。 喜友名さんは、体調不良による退職後、白血病類縁の血液のガンである「悪性リンパ腫」に襲われ、2005年3月に53才の若さで死亡されました。
 遺族が2005年10月に淀川労基署に労災申請しましたが、例にないとして2006年9月に却下され、遺族は不服申し立てを行いました。
 2007年6月、支援者による「りん伺」なしの事実上の門前払いは不当との追及に、厚生労働省はこの件を「りん伺」に戻し、再検討する対応をとりました。 (りん伺:資料を添えて、上級機関に判断を求めること)
  厚生労働省、淀川労基署に一日も早く労災認定をするように求めていきたいと思います。
   (1)悪性リンパ腫は白血病と類縁の血液の悪性疾患であり、放射線起因性があります。 ヒロシ
    マ・ナガサキ原爆被爆者の原爆症補償、風下住民・退役軍人などアメリカの核実験被曝者
    の補償、マーシャル諸島住民の被曝補償、アメリカ・イギリスなどの職業病補償で広く認定
    対象となっています。
   (2)放射線被曝と悪性リンパ腫の関連を示す多くの疫学調査があります。
   (3)喜友名さんの被曝線量は、電離放射線に係る疾病の業務上外の認定基準(基発第810号
     1976年11月8日)に規定された白血病の認定基準線量(5ミリシーベルト×従事年数=31.7
     ミリシーベルト)の3倍以上にも達しています。
 以上のことから、喜友名さんの悪性リンパ腫が労災認定されるべきことは明らかです 喜友名さんの悪性リンパ腫を労災認定させることは、長尾さんの多発性骨髄腫労災認定(2004年1月)に続き、日本の狭い原発被曝労災の門をこじ開け、40万人ともいわれる原発被曝労働者の補償を前進させる上で大きな意義を持っています。 全国署名運動への皆さんのご協力をどうかよろしくお願い申し上げます。
2007年7月 喜友名正さんの労災認定を支援する会
(責任団体)    原水爆禁止日本国民会議、原子力資料情報室、関西労働者安全センター、
            双葉地方原発反対同盟 反原子力茨城共同行動、原発はごめんだ!ヒロシマ
            市民の会、ヒバク反対キャンペーン
(事務局・連絡先) 原子力資料情報室、ヒバク反対キャンペーン

* 厚生労働省交渉で、労働現場の調査を要求(2007年9月26日)
厚生労働省、検討委員会への申入書   (PDFファイル
2007年9月26日
喜友名正さんの労災申請に関する「りん伺」と再検討にあたり、以下の事項を申し入れます。
1.労働現場の環境や労働状況の調査に関して
 放射線業務の線量限度は5年間で100ミリシーベルト、1年で50ミリシーベルトとされています。
線量限度以下なら健康影響が出ないということではなく、線量に比例して確率的影響が生じます。
 喜友名さんは原子力発電所等の定期検査の現場で非破壊検査に従事し、線量限度に近い被曝状況が何年も続き、体調不良による退職までの6年4ケ月間の被曝線量は99.76ミリシーベルトに達しています。従って、喜友名正さんの労災申請の審査に際しては、放射線被曝の健康影響があり得るとして、調査を入念に行い、それに基づいて検討されるべきです。
ところが、労基署の説明によると、悪性リンパ腫はウイルスによるとの判断で、喜友名さんが従事した労働現場の環境や労働状況の調査を行わず、原子力発電所への問い合わせすらも行っていないとのことです。また、今回の「りん伺」に際しても特段の追加調査は行っていないとのことです。
(1)労働現場の環境や労働状況の調査は労災行政にあたっての基本事項です。今回の悪性リンパ腫の労災申請に対してそれが守られていないことを確認してください。
「りん伺」もせず例にないとして却下したことと合わせて、今回の悪性リンパ腫の労災申請に対する労基署の杜撰な対応がより明らかになりました。このようなことが繰り返されることのないようにしてください。
(2)今回の悪性リンパ腫の労災申請に対する労基署の杜撰な対応の一因に、厚生労働省が関係機関に、長尾光明さんの多発性骨髄腫を労災認定(2004年1月)したこと、および、それをふまえた白血病類縁疾患の扱いについて、周知してこなかったことがあります。
厚生労働省から関係機関へ周知徹底することを求めます。
(3)改めて、喜友名正さんの労働現場の環境、労働状況などの調査を入念に行う事を求めます。
(4)労働現場の環境、労働状況の調査など基本的な資料が無い状況では責任ある検討は難しいと考えられます。調査が行われ資料が整うまでは検討会を開かないことを求めます。

2.喜友名正さんの過酷な被曝労働の実態に関して
公表されている2001年度以降の統計資料と喜友名さんの放射線被曝記録から、喜友名さんが当時の被曝線量が最も高い約100人に入る過酷な被曝労働に従事していたことがわかります。
喜友名正さんが被曝労働に従事していた1997年~2004年当時は年間被曝線量が増加しており、日本の軽水炉一基あたりの年間被曝線量が先進国中で最大であると国際的な指摘を受けた時期に一致しています。その大きな原因として原発の老朽化に伴う、大型機器の交換、各種ひび割れ検査などがあげられています。喜友名さんは老朽原発の維持・運転の犠牲となったのです。
定期検査の現場でどのようにして喜友名さんの過酷な被曝が生じたのか、今後の被曝低減に資するためにも、具体的に明らかにされるべきです。
(1)喜友名さんが被曝労働に従事した全期間(1997年9月~2004年1月)について、喜友名さんの被曝労働がどれほど過酷なものであったかを、原発労働者全体の統計と比較して明らかにする事を求めます。
(2)喜友名さんの被曝記録によると、定期検査の計画線量を超過もしくは超過した恐れのある事例が多数あります。これらの事例について具体的に調査することを求めます。

3.医学・疫学的な事実、世界の被曝補償制度の観点から
下記の医学・疫学的事実、世界の被曝補償制度のすう勢から、喜友名さんの悪性リンパ腫は労災認定されるべきです。
(1)悪性リンパ腫は白血病類縁の血液の悪性疾患であり、放射線起因性があります。
(2)原爆被爆者の追跡調査をはじめ放射線被曝と悪性リンパ腫の関連を示す多くの疫学調査があります。
(3)喜友名さんの被曝線量は、電離放射線に係る疾病の業務上外の認定基準(基発第810号1976年11月8日)に規定された白血病の認定基準線量(5ミリシーベルト×従事年数=31.7ミリシーベルト)の3倍以上にも達しています。
(4)悪性リンパ腫はヒロシマ・ナガサキ原爆被爆者の原爆症補償、風下住民・退役軍人などアメリカの核実験被曝者の補償、マーシャル諸島住民の被曝補償、アメリカの核開発関連施設労働者の補償、イギリスの原子力産業の職業病補償などで広く認定対象となっています。日本の原発被曝労働者の労災補償はこれらのすう勢を参考に改められるべきです。

4.代理人等から提出済みの意見書、追加提出される医師・代理人の意見書、及びこの申入書を含めすべて検討会の資料に加えてください。さらに、それらの意見を検討会に反映し、尊重してください。

5.検討会でどのような資料に基づき、どのように検討されたのか、意見書はどのように反映されたのか、検討資料、検討経過、検討結果を公開してください。

以上
喜友名正さんの労災認定を支援する会
(責任団体) 原水爆禁止日本国民会議、原子力資料情報室、関西労働者安全センター、
反原子力茨城共同行動、原発はごめんだ!ヒロシマ市民の会、ヒバク反対キャンペーン

  質問書

* 支援する会発足集会(2007年9月24日、アピオ大阪)で全国署名など取り組みを確認
        案内ビラ     喜友名末子さんの訴え     集会レジメ

* 喜友名正さんの労災認定を支援する会 への参加を募っています ...個人および団体
        参加呼びかけ     申込、問合せ → hibaku-hantai@nyc.odn.ne.jp

* アピール採択・・・ヒバクを許さない集い(2007年8月5日、原水禁世界大会広島)
 8月5日、 被爆地広島で開催された被曝62周年原水禁世界大会・広島大会ひろばの「ヒバクを許さない集い(Part8)で、Kさんの労災認定問題について報告があり、アピール「原発被曝労働者Kさんの労災認定を支援しよう」が採択されました。    報告    アピール

* 不支給決定(2006年9月)をりん伺に戻し再検討する・・・厚労省回答(2007年6月)
  原発被曝労働者、JCO臨界事故被害者の課題で政府へ申し入れ
 6月8日、 「原発被曝労働者への健康管理手帳の交付、JCO臨界事故住民健康診断の長期継続」等を求め、57団体・185個人の賛同を得て、政府への申し入れ・交渉を行いました。 この取り組みは、反原子力茨城共同行動、原発はごめんだヒロシマ市民の会、双葉地方原発反対同盟、原子力資料情報室、ヒバク反対キャンペーンの5団体の呼び掛けによるものです。
   申し入れ・交渉の報告   交渉資料   申し入れ   質問書・文書回答・再質問
 悪性リンパ腫で死亡した原発被曝労働者Kさんの遺族からの労災申請が、例にないとして門前払い同然に却下されたことについては、この交渉で最も白熱した議論となりました。
  厚生労働省から、一歩前進した下記の回答を得ることができました。
   ①例示にない疾病の労災申請には、包括的救済規定を守る。
   ②悪性リンパ腫は、広く海外の被曝補償及び日本の原爆症補償に於いて認定対象である
   ③悪性リンパ腫は、放射線起因性があり、白血病類縁の疾患である。
   ④例示に有るなしにかかわらず、判断が困難な場合はすべて「りん伺」の対象
   ⑤この件について把握していないので、調査する。

  りん伺にもどし、再検討をいたします...労災認定のための大きな一歩が実現
 交渉での追及に続いて6月19日、
    「手続き上の不備があり、審査が十分行われなかった事を伺わせる。りん伺に戻し、再検討することを求める」
との要請を行いました。
 6月20日、厚生労働省から、
    「大阪と連絡をとったところ、ご指摘の通りでした。要請の通り、りん伺にもどし、再検討をいたします。」
との回答を得ました。
 昨年9月に淀川労基署が下した不支給決定を取り消して労災認定させるための大きな一歩を踏み出すことができました。
 喜友名さんの労災認定を勝ち取るために、支援の拡大・強化に今後ともご協力下さい。・・・続きを読む

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