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厚生労働省交渉で、労働現場の調査を要求 (2007年9月26日)

厚生労働省、検討委員会への申入書
2007年9月26日
喜友名正さんの労災申請に関する「りん伺」と再検討にあたり、以下の事項を申し入れます。
1.労働現場の環境や労働状況の調査に関して
 放射線業務の線量限度は5年間で100ミリシーベルト、1年で50ミリシーベルトとされています。
線量限度以下なら健康影響が出ないということではなく、線量に比例して確率的影響が生じます。
 喜友名さんは原子力発電所等の定期検査の現場で非破壊検査に従事し、線量限度に近い被曝状況が何年も続き、体調不良による退職までの6年4ケ月間の被曝線量は99.76ミリシーベルトに達しています。従って、喜友名正さんの労災申請の審査に際しては、放射線被曝の健康影響があり得るとして、調査を入念に行い、それに基づいて検討されるべきです。
ところが、労基署の説明によると、悪性リンパ腫はウイルスによるとの判断で、喜友名さんが従事した労働現場の環境や労働状況の調査を行わず、原子力発電所への問い合わせすらも行っていないとのことです。また、今回の「りん伺」に際しても特段の追加調査は行っていないとのことです。
(1)労働現場の環境や労働状況の調査は労災行政にあたっての基本事項です。今回の悪性リンパ腫の労災申請に対してそれが守られていないことを確認してください。
「りん伺」もせず例にないとして却下したことと合わせて、今回の悪性リンパ腫の労災申請に対する労基署の杜撰な対応がより明らかになりました。このようなことが繰り返されることのないようにしてください。
(2)今回の悪性リンパ腫の労災申請に対する労基署の杜撰な対応の一因に、厚生労働省が関係機関に、長尾光明さんの多発性骨髄腫を労災認定(2004年1月)したこと、および、それをふまえた白血病類縁疾患の扱いについて、周知してこなかったことがあります。
厚生労働省から関係機関へ周知徹底することを求めます。
(3)改めて、喜友名正さんの労働現場の環境、労働状況などの調査を入念に行う事を求めます。
(4)労働現場の環境、労働状況の調査など基本的な資料が無い状況では責任ある検討は難しいと考えられます。調査が行われ資料が整うまでは検討会を開かないことを求めます。

2.喜友名正さんの過酷な被曝労働の実態に関して
公表されている2001年度以降の統計資料と喜友名さんの放射線被曝記録から、喜友名さんが当時の被曝線量が最も高い約100人に入る過酷な被曝労働に従事していたことがわかります。
喜友名正さんが被曝労働に従事していた1997年~2004年当時は年間被曝線量が増加しており、日本の軽水炉一基あたりの年間被曝線量が先進国中で最大であると国際的な指摘を受けた時期に一致しています。その大きな原因として原発の老朽化に伴う、大型機器の交換、各種ひび割れ検査などがあげられています。喜友名さんは老朽原発の維持・運転の犠牲となったのです。
定期検査の現場でどのようにして喜友名さんの過酷な被曝が生じたのか、今後の被曝低減に資するためにも、具体的に明らかにされるべきです。
(1)喜友名さんが被曝労働に従事した全期間(1997年9月~2004年1月)について、喜友名さんの被曝労働がどれほど過酷なものであったかを、原発労働者全体の統計と比較して明らかにする事を求めます。
(2)喜友名さんの被曝記録によると、定期検査の計画線量を超過もしくは超過した恐れのある事例が多数あります。これらの事例について具体的に調査することを求めます。

3.医学・疫学的な事実、世界の被曝補償制度の観点から
下記の医学・疫学的事実、世界の被曝補償制度のすう勢から、喜友名さんの悪性リンパ腫は労災認定されるべきです。
(1)悪性リンパ腫は白血病類縁の血液の悪性疾患であり、放射線起因性があります。
(2)原爆被爆者の追跡調査をはじめ放射線被曝と悪性リンパ腫の関連を示す多くの疫学調査があります。
(3)喜友名さんの被曝線量は、電離放射線に係る疾病の業務上外の認定基準(基発第810号1976年11月8日)に規定された白血病の認定基準線量(5ミリシーベルト×従事年数=31.7ミリシーベルト)の3倍以上にも達しています。
(4)悪性リンパ腫はヒロシマ・ナガサキ原爆被爆者の原爆症補償、風下住民・退役軍人などアメリカの核実験被曝者の補償、マーシャル諸島住民の被曝補償、アメリカの核開発関連施設労働者の補償、イギリスの原子力産業の職業病補償などで広く認定対象となっています。日本の原発被曝労働者の労災補償はこれらのすう勢を参考に改められるべきです。

4.代理人等から提出済みの意見書、追加提出される医師・代理人の意見書、及びこの申入書を含めすべて検討会の資料に加えてください。さらに、それらの意見を検討会に反映し、尊重してください。

5.検討会でどのような資料に基づき、どのように検討されたのか、意見書はどのように反映されたのか、検討資料、検討経過、検討結果を公開してください。

以上
喜友名正さんの労災認定を支援する会
(責任団体) 原水爆禁止日本国民会議、原子力資料情報室、関西労働者安全センター、
反原子力茨城共同行動、原発はごめんだ!ヒロシマ市民の会、ヒバク反対キャンペーン

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