(4)不支給決定と不服申し立て
妻の末子さんは当然労災認定されるものと思い、2005年10月に大阪の淀川労基署に労災申請しました。
淀川労基署は本省への「りん伺」(資料を添えて上級庁に意見を求めること)を行わず、2006年9月に独断で不支給決定を下しました。労基署から代理人の金高弁護士への最初の説明は、「認定基準の例示にない」からというものでした。
喜友名正さんの悪性リンパ腫と同じく白血病類縁疾患で「例示にない」長尾光明さんの多発性骨髄腫の場合には、福島の富岡労基署が厚生労働省に「りん伺」し、厚生労働省で3回の検討会を経て、2004年に労災認定されています。しかし淀川労基署は、このことは全く参考にしませんでした。
労基署では十分な審査が行われていなかったことが推察されます。後で厚生労働省が喜友名正さんの悪性リンパ腫の業務上外について再検討した際には5回もの検討会が開催されました。
末子さんは不支給決定に対して、2006年10月に審査請求を行いました。この頃代理人から原子力資料情報室に相談があり、各地に支援が広がりました。