喜友名正さんの悪性リンパ腫労災認定にかかわる 厚生労働省への新たな申し入れ
申入書(PDF) 質問書(PDF) 11.17厚生労働省交渉の報告
喜友名正さんの悪性リンパ腫労災認定にかかわる厚生労働省への申し入れ書
2008年11月4日
私たちは、喜友名正さんの悪性リンパ腫が、原発被曝労働者として初めて、労災認定されたことを心から喜び、関係者の多大なご尽力に感謝します。この問題には全国から高い関心が寄せられ、労災認定を求める15万6721筆の署名が寄せられました。
労災申請から3年、審査請求から2年、不支給決定を覆しての労災認定に至る中で、
ア.喜友名さんが放射線被曝線量限度ぎりぎりの過酷な被曝労働に従事し、使い捨てられたこと。
イ.遺族の労災申請に対して、りん伺なしの不支給決定がおこなわれたこと。
ウ.2004年の長尾さんの多発性骨髄腫労災認定を受けて例示疾病に白血病類縁疾患を追加するべきところ、今日まで放置されてきたこと。
など、多くの問題点が浮き彫りになりました。
喜友名さんが原発の定期検査の現場で過酷な被曝労働に従事し、使い捨てられたことが明らかになりました。私たちは具体的な労働実態の調査を求め、検討会でも追加調査されたと聞いています。厚生労働省は、個人の労災補償にとどまらず、過酷な被曝労働の実態およびそれがもたらされた原因を明らかにし、全国の被曝労働者の健康被害を防ぐための措置をとるよう事業者に指示することが求められています。
喜友名さんの悪性リンパ腫労災認定の特徴として、①長尾光明さんの多発性骨髄腫労災認定に続いて、白血病類縁疾患が労災認定されたこと、②労基署はりん伺せずに不支給決定したが、不服申し立ての中で支援者から問題を指摘され、本省協議(5回の検討会)を経て「自庁取り消し」となったこと、が挙げられます。
原発被曝労働者の労災申請に対して今回のような労基署の独善的な扱いが繰り返されてはなりません。
至急に、上記の2点を明示して喜友名さんの悪性リンパ腫労災認定とその経過を各地の労働局・労基署に伝え、今後の労災認定業務に反映することが求められています。
既に長尾さんの多発性骨髄腫労災認定の時、例示疾患に白血病類縁疾患を加えるべきことが指摘され、厚生労働省も検討を表明していたにもかかわらず今日まで放置されてきたことも背景として挙げられます。労災申請から3年、審査請求から2年、当事者の多大な心労と労力に対して、厚生労働省、労働局、労基署は謝罪すべきです。
原発被曝労働者の実情を知り、労災申請に親身に応じてくれる労基署は限られているのが現状です。労災申請を行いやすい環境を整えることが必要です。厚生労働省、労働局、労基署がその実現に取り組むことが求められています。
既に長尾さんの多発性骨髄腫労災認定の時、例示疾患に白血病類縁疾患を加えるべきとの要請に、厚生労働省も検討を表明していました。厚生労働省は、私たちの度重る要請に対して、例示疾患に白血病類縁疾患を加えることについて今年度内の検討会開催を約束されています。
今回の検討会報告は、悪性リンパ腫(特に非ホジキンリンパ腫)は白血病類縁疾患とみなすことができ、基発第810号の白血病の認定の基準として定められている放射線被ばく線量を参考として、判断を行うことが適当と考えられると、具体的な判断基準を示しています。改めて、認定基準の例示疾患に白血病類縁疾患の多発性骨髄腫、悪性リンパ腫を加えるべきことがはっきりしました。
喜友名さんの悪性リンパ腫労災認定問題を通して、被曝労働が危険な業務であることが改めて浮き彫りになりました。喜友名さんは氷山の一角であり、30万規模の原発被曝労働者がいます。被曝線量限度以下の被曝線量でも被害が出ます。放射線業務従事者には健康管理手帳が交付されていません。放射線被曝業務を健康管理手帳交付業務に指定し、離職後の無償の健康診断など健康管理が行われることが求められています。
申し入れ事項
1.喜友名さんの悪性リンパ腫労災認定とその経過を各地の労働局・労基署に伝えること。
その際、①2004年の長尾光明さんの多発性骨髄腫に続き、白血病類縁疾患の悪性リンパ腫を労災認定したこと、②労基署はりん伺せずに不支給決定したが、不服申し立ての中で支援者から問題を指摘され、本省協議(5回の検討会)を経て「自庁取り消し」となったこと、を明示すること。
2.原発被曝被曝労働者の労災申請に対して、今回のような労基署の独善的な扱いが繰り返されないよう通知・徹底すること。
3.今回の「りん伺なしの不支給決定」が行われた経過とその責任を明らかにすること。
4.申請から3年、審査請求から2年、多大な心労と労力に対して当事者に謝罪すること。
5.原発被曝労働者の実態を把握し、労災申請に親身に応じる等、申請が行いやすい環境を整えること。
6. 喜友名さんの過酷な被曝労働の実態およびそれがもたらされた原因を明らかにし、原発被曝労働者の健康被害を防ぐための措置をとるよう事業者に指示すること。
7.認定基準の例示疾患に白血病類縁疾患を追加すること。
8.離職者に健康管理手帳を発行し、無償の健康診断など、健康管理を行うこと。
9.検討会の検討経過と検討内容を公開すること。
以上
喜友名さんの労災認定を支援する会
(責任団体 *:事務局)原水爆禁止日本国民会議、原子力資料情報室*、関西労働者安全センター、反原子力茨城共同行動、原発はごめんだ!ヒロシマ市民の会、ヒバク反対キャンペーン*
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