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原発被曝労働者と労災補償、健康管理手帳

長尾光明さんの多発性骨髄腫と喜友名正さんの悪性リンパ腫
* 長尾光明さんの多発性骨髄腫 白血病以外で初めての労災認定   経過   資料
長尾さんは、1977年10月から4年3ヶ月間、福島第一原発2・3号機、浜岡原発1・2号機、新型転換炉ふげんで、配管工事や現場の監督をし、70mSv被曝しました。
離職10年後頃から体調不良となり、離職17年後の1998年に多発性骨髄腫を発症しました。
2004年1月に長尾さんの多発性骨髄腫が白血病以外で初めて労災認定されました。
原発労働者が生きている内に労災認定された初めてのケースです。
厚労省は、認定基準に白血病類縁疾患の多発性骨髄腫を追加すると表明しながら、放置しました。
それが、喜友名さんの労災申請が淀川労基署により門前払いされた背景となっています。

* 喜友名正さんの悪性リンパ種 原発被曝労働者で初めての労災認定   経過   資料
喜友名正さんは、1997年9月から6年4ヶ月間、泊、玄界、伊方、高浜、美浜、大飯、敦賀の加圧水型原発、六カ所再処理工場で、非破壊検査に従事し、99.76mSv被曝しました。
2004年1月に体調不良で退職し、2005年3月悪性リンパ腫により53歳の若さで死亡しました。
遺族の末子さんがが2005年10月に淀川労基署に労災申請、労基署は2006年10月独断で不支給決定しました。
2006年10月に末子さんが審査請求をした頃から、反原発運動の間でこの事実が知られるようになりました。
2007年6月、支援者が「りん伺」に戻せと申し入れ、厚労省の検討会5回を経て、2008年10月に労災認定されました。

多発性骨髄腫、悪性リンパ腫を労災対象疾病リストに明記させよう
* 労規則35条検討会に向けた申し入れ、交渉 2月20日(金)15時~16時 参議院議員会館第4会議室
放射線被曝労働者の労災補償について、対象疾病の例示リストの追加を検討する労規則35条専門検討会が年度内に開催されます。私たちは、長尾さんの多発性骨髄腫、喜友名さんの悪性リンパ腫の労災認定を勝ち取る中で、白血病類縁疾患の多発性骨髄腫、悪性リンパ腫を労災認定疾病リストに追加すること、検討会開催を要求してきました。
厚生労働省は6年ぶりに35条検討会を開催すると表明しています。この間に、包括的規定により、長尾さんの多発性骨髄腫、喜友名さんの悪性リンパ腫が労災認定されました。...続き
    申し入れ書     添付資料    質問書

放置された被曝労働者  件数、症例とも極めて少ない労災補償
ウラン採掘、原発・再処理等は過酷な被曝労働、多数の被曝労働者を必要としその犠牲の上に成り立っています。日本の原発で被曝労働に従事した労働者は30万人規模に達するが、その労災補償例は申請・認定数および疾病の種類が極めて少なく、被害は放置されています。

これまでに確認されている原発・核燃料施設労働者の労災補償申請・認定の状況は、JCO臨界事故による急性障害3件を含めて、申請18件、認定9件です。
例えば、イギリスでは原子力施設労働者の補償申請は1986年から25年間に1400件でそのうち114件が認定されています。
これと比べると、日本の被曝労働者が放置されている事は歴然としています。

原発・核燃料施設労働者の労災補償申請・認定状況

申請日
決定日
結果 疾病名 期間
被曝線量
労基局
労基署
施設名 備考
75.3.19
75.10.9
不支給 皮膚炎   敦賀 原電敦賀 配管加工
岩佐嘉寿幸さん
82.5.31 不支給 白血病性悪性リンパ腫   松江    
88.9.2
81.12.26
支給  慢性骨髄性白血病  11ヶ月
40mSv
富岡  福島第一  配管腐食防止作業 
92.12.1
94.7.27
不支給 急性骨髄性白血病   神戸西    
92.12.14
94.7.27
支給  急性骨髄性白血病 87.7-92.12
5年5ヶ月
神戸西  玄界・大飯・高浜 定期検査作業 
93.5.6
94.7.27 
支給  慢性骨髄性白血病 81.3~89.12.8
8年10ヶ月
50.63mSv
磐田  浜岡
 
計測装置点検作業 
96.5.27 不支給 再生不良性貧血   富岡    
97.5.16 不支給 慢性骨髄性白血病   富岡    
98.12.22
99.7.30 
支給  急性リンパ性白血病  87.12~97.1
約12年
129.8mSv
日立  福島第一、
東海、島根 
日立市電機メーカー作業員
装置点検従事
人間ドックで発見
99.10.20
99.10.26
支給 急性放射線症 1~4.5Sv

水戸
 


JCO東海事業所 


臨界事故被曝  
99.10.20
99.10.26
支給 急性放射線症 6.0~10Sv
99.10.20
99.10.26
支給 急性放射線症 16~20Sv
99.11.20
00.10.24
 
支給  急性単球性
白血病 
88.10~99.10
約12年
74.9mSv
富岡  福島第一・第二
東海第二
 
配管・架台・構造物等の溶接作業に従事。
自ら受診

03.1.31
04.1.19 
支給 多発性骨髄腫 77.10~82.1
4年3ヶ月
70mSv
富岡 福島第一、浜岡 濃縮廃液系配管・格納容器内定検作業
りん伺。本省の検討会3回
02.?.?
03.3.12
04.3.26 審査
07.7.4 再審査

不支給

肺ガン


77.12-78.7

2.9 mSv
東京・亀戸 福島第一 応力腐食割れの対策の
準備作業
小田原敦彦さん

05.10. 28
06.9.4
06.10  審査
06.7 本省協議
08.10.27

不支給


支給
悪性リンパ腫



97.9-04.1
6 年4 ヶ月
99.76mSv

大阪・淀川 泊、伊方、
美浜、高浜、
大飯、敦賀、
玄界、
六カ所再処理
定期検査時の非破壊検査
喜友名正さん
支援者の指摘を認め、本省で検討に。検討会5回。
自ら不支給決定を取り消す
06.2.15
?.?.?

不支給
急性リンパ性白血病
福島・富岡
放射線管理業務等に従事
06.?.?
?.?.?

不支給
急性リンパ性白血病
福島・富岡

電気計装関係の検査・点検工事等に従事

注)この表は、双葉地方原発反対同盟の「脱原発情報」№52号掲載の表に追加して作成したものです。

日本の原発被曝労働者の総被曝線量は、約3000人・シーベルトで、これによる晩発障害は、ガン・白血病による死亡に限っても300人と推定されます。
厚生労働省は「これを評価する立場にはない。」と被害の深刻さを認めようとしません。「被曝限度を超えない程度の被曝線量では健康への深刻な影響はない。」として離職後の健康管理とそのための健康管理手帳の交付の必要性を認めようとせず、また、被曝労働者の救済に役立てるために必要な労災申請とその結果に関する基礎資料の開示も拒否してきました。
2005年に公表された国際がん研究所の報告によれば、20ミリシーベルト以上の被曝グループは有意に全がんの死亡率が高まっています。被曝労働者は被曝限度以下でも被害を被っているのです。また、国際的に認められている原則的な理解では、より低い被ばく線量であっても被害は線量に比例して生じます。
日本の原発被曝労働者の疫学調査資料によれば、調査対象の男性274,560人のうち、20mSv 以上の人数は、35,031人で、全体の12.8%です。このことは、健康管理手帳の必要性の大きな根拠となります。

日本の原発被曝労働者の被曝線量

線量(mSv ) <10 10+ 20+ 50+ 100+
人数< 217,572 21,957 20,644 9,062 5,325

原子力発電施設等放射線業務従事者に係る疫学的調査(第Ⅲ期、放射線影響協会)より
調査対象は男性274560人、被曝線量20mSv以上の労働者は35031人で全体の12.8%

例示疾病の追加が当面の課題の1つです。
被曝労働者は退職後の健康管理手帳交付の対象になっていません。交付対象とさせることは今後の大きな課題です。

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