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クリアランス制度の導入中止を求める申入書  /  質問書

◆申入書(PDF版Word版一太郎版)   ◆質問書(PDF版

◆申し入れ  11月10日(水)午後1時~ 衆議院第一議員会館 第2会議室
  あわせて対政府交渉(原子力安全委員会、原子力安全・保安院)を行います


        クリアランス制度の導入中止を求める申入書

               内閣総理大臣 小泉純一郎 様
              経済産業大臣 中川昭一 様


貴省を中心に来年の通常国会でのクリアランス制度導入に向け、原子炉等規制法の改悪などの準備が始められています。 クリアランス制度が導入されれば、原発から出る廃棄物や、廃炉に伴う膨大な量のコンクリートや鉄材のうちクリララン スレベル以下の放射性廃棄物は放射性物質ではない廃棄物として一般の産業廃棄物処分場に捨てられるか、埋め立て、建 材、日用品などに再利用されることになります。その結果、廃棄物処分場の労働者や周辺住民、更には国民全体にヒバク が押し付けられます。 クリアランス制度は、生活圏から完全に隔離すべき放射性物質に国民をさらすことによって原発の経費を削減するという 人命無視・企業利益優先の制度です。国民の命と健康に責任を持つべき国がこのような制度を推進することは決して許さ れることではありません。クリアランス制度に対しては、放射線被曝の危険性が過小評価されていること、可能性が低い として被曝経路の一部が切り捨てられていること、放射線に敏感な乳児・小児の被曝がほとんど検討されていないこと、 経済優先のクリアランス制度では「検認」の手抜きが予想されること、クリアランスレベル以上の放射能が混入した場合 に末端まで追跡できる保証がないことなど、多くの問題点が指摘されています。再利用をうたい文句にしていますが、放 射性物質を再利用しなければならない原発推進にこそ問題があります。私たちは次のことを経済産業省に申し入れます。

    申し入れ事項   クリアランス制度の導入を直ちに中止すること


* 賛同して下さる方(個人または団体)は、下記のヒバク反対
  キャンペーン、クリアランス担当にご連絡下さい。

〒666-0115 兵庫県川西市向陽台1-2-15    建部 暹
Tel & Fax 072-792-4628  E-mail hibaku-hantai@nyc.odn.ne.jp


   「クリアランス制度の導入中止を求める申入書」に係わる質問書

              内閣府    原子力安全委員会  様
              経済産業省 原子力安全・保安院 様


 ある濃度以下の放射性廃棄物を一般の産業廃棄物とみなすクリアランス制度の導入が進められています。JCO臨界事故に続き美浜3号炉事故でも示された「企業が経済性優先で安全性を切り縮め国はそれを阻止できない」という状況が続く中で、更に、当然のごとくにクリアランス制度が追加されることは認めがたいことだと感じています。私たちは、これがそもそも経済性を優先し人命を軽視する考え方のもとに進められているのではないか、クリアランスレベル値の設定においては被曝とその影響が過小に評価されているのではないか、「検認」の信頼性への疑問、リサイクルと原発は相反するのではないかなど様々な問題があると受け止めています。私たちは、人口密度の高い日本ではクリアランス制度はなじまず、放射性物質は厳格に管理すべきであると考えます。これらの点に関して、以下の質問にお答え下さい。


1. クリアランス制度の経済的評価に関して

    9月2日大阪で開催されたクリアランス制度シンポジウムにおいて、クリアランス制度の目的の1つは経済性で
   あるとの回答がありました。クリアランス制度の導入により廃炉に伴う費用のうち低レベル放射性廃棄物の処分費
   用(輸送費用を含む)をいくら削減できると試算・承知されていますか。具体的に数値を示してお答え下さい。


2. クリアランスによる放射線被曝の影響について

    クリアランスレベルの線量の目安値10マイクロシーベルト/年の根拠は、ICRPのPub.43にさかのぼることがで
   き、次の①~③から規制除外線量10マイクロシーベルト/年が提案されています。
   ①個人が自分の行動を決定する際に考慮に入れないリスクレベル(10-6/年のオーダー)
   ②10-6/年のオーダーのリスクレベルが100マイクロシーベルト/年のオーダーの年個人線量
     に相当する
   ③現在あるいは、将来において複数の規制除外された線源から被ばくする可能性を考慮して(10分の1に)低
     減する
   参考:「放射性固体廃棄物の浅地中処分における規制除外線量について」
       (昭和62年12月放射線審議会基本部会)

(1) 我が国の法体系では、がん・白血病などの確率的影響は放射線被曝量に比例すると扱われています。クリアラン
   スの線量目安値は10マイクロシーベルト/年とされていますが、これによる放射線被曝の健康影響はどのように
   評価されますか。なお、ICRP1990年勧告では致死的がんの確率は、低線量率では1シーベルト当たり5×
   10-2とされています。また、例えば国連科学委員会(UNSCEAR)はICRPよりも高い確率を採用しています。
   


(2) 実際には上記のリスクから更に、現在あるいは将来において複数の規制除外された線源から被曝する可能性を
   考慮する必要があります。その結果、クリアランスによるリスクは個人が自分の行動を決定する際に考慮に入れ
   ないとされるリスクレベル(10-6/年のオーダー)とどのような関係にあると判断されますか。


3. DS161の一般免除レベル値との関係で行われている原子力安全委員会のクリアランスレベル値再評価について

(1) 原子力安全委員会により「主な原子炉施設」、「重水炉・高速炉」、「核燃料使用施設」についてのクリアラン
   スレベル値が算出・公表されてきましたが、それは対象を成人グループに限定した計算結果でした。乳幼児を含
   めた評価を行うべきだとのパブリックコメントに対して、乳幼児を対象に加えても影響はないとする説明が繰り
   返し行われてきました。
   9月7日のクリアランス分科会資料(暫定値)によると、再評価では58核種の内13核種については乳幼児の
   被曝が成人埋設作業者の被曝よりも高く決定経路になっています。この点を確認してください。

(2) 乳幼児が被曝するとその健康影響は成人に比べ3倍程度高いことを(1)に加えて、再評価すべきだと考えます
   がどうですか。

(3) 上記の2点から、原子力安全委員会のクリアランスレベルは大幅に下方修正するべきだと考えますがどうですか。

(4) 58核種中40核種ものクリアランスレベル値がDS161の一般免除レベル値より高い値となっています。
   10トン程度の物量に適用する原子力安全委員会のクリアランスレベル値が1桁少ない1トン程度の物量から適用
   されるDS161の一般免除レベル値よりも高いのはなぜですか。

(5) 原子力安全委員会のクリアランスレベル値が高すぎることは明白です。クリアランスレベル値は1桁低くすべきで
   はないのですか

(6) クリアランスレベル値が大幅に引き下げられると、クリアランス制度を設けてもかえって検認などの費用が嵩むの
   ではないですか。


4. 人口密度の高い日本ではクリアランス制度はなじまないのではないか。

    人口密度の高い日本ではクリアランス制度はなじまないと考えます。また一旦規制体系から除外すると、万一想
   定外の大量の放射性物質がその中に紛れ込んでいた場合にもそれが公衆を直撃することを防げません。放射性物質
   は厳格に管理することを基本とすべきだと考えます。この点、どうでしょうか。

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