国の責任で、すべての福島原発事故被災者と被ばく労働者に、健康手帳の交付、健康と生活の保障を!
8団体から「トリチウム汚染水の海洋放出の問題点に関する質問」を提出しました
4月21日、脱原発福島県民会議、双葉地方原発反対同盟、原水爆禁止日本国民会議、原子力資料情報室、全国被爆2世団体連絡協議会、原発はごめんだ!ヒロシマ市民の会、チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西、ヒバク反対キャンペーンの8団体は、経済産業省、原子力規制委員会、原子力委員会、外務省に、「東電福島第一原発トリチウム汚染水海洋放出の問題点に関する質問書」を提出しました。
4月17日に計画していた政府交渉は断念せざるを得なくなり、文書回答を求める質問書に作り直したものです。回答期限を5月13日としています。 8団体公開質問書(2020.4.21 pdf版)
東電福島第一原発トリチウム汚染水海洋放出の問題点に関する質問書
経済産業省 様
原子力規制委員会 様
原子力委員会 様
外務省 様
東電福島第一原発で発生し続けるトリチウム汚染水(多核種除去設備[ALPS]処理等によって生じたトリチウムなど大量の放射能を含む汚染水)について、2018年夏に福島、東京で開催された公聴会では海洋放出ではなく長期陸上保管を求める意見が相次ぎ、経産省の多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会(以下「小委員会」と表記)は長期保管も含め検討するとしました。
2019年9月、原田義昭環境相が「所管を外れるが、思い切って放出して希釈するしか方法がないと思っている」と述べたことに対し全国から海洋放出反対の声が上がりました。
しかし小委員会は今年2月10日、報告書で海洋放出が最も現実的との結論を出しました。これを受けて、東京電力は3月24日、汚染水を海水で薄めトリチウム濃度を1500ベクレル/リットルとして30年かけて海洋放出する等の素案を公表しました。
国策によって進めた原発の重大事故により、福島県をはじめ被災地の多くの人々が放射能汚染と被ばくを強いられ、生業や生活を奪われるなどの被害を被ったのです。政府はこの間、住民や労働者に被ばくを押し付け憲法に保障された生存権などの人権を踏みにじってきました。私たちはこうした国の政策の撤回を求めてきました。事故から9年余を経ても被災地に元の生活は戻っていません。
事故被災地の各地で事故前に比べ明らかに高い空間線量が続いています。東電福島第一原発の敷地境界では、未だに、「事故で敷地外へ放出されて今なお残存する放射能による放射線」および「汚染水タンク等から敷地外へ現在放出されている放射線」の合計空間線量として、法令で担保されるべき「年1mSv」を越える高い空間線量が実測されています。公衆の被ばく限度を守るべき法令に違反した状態が今も続いているのです。
国は、事故被害者にこれ以上被ばくを押し付けない人権優先を基本とする廃炉汚染水対策・復興政策をとるべきです。重大事故を起こした原発からこれ以上放射能を環境に放出すべきではありません。国と東電は事故の責任を認めないばかりか、意図的に高濃度の汚染水を「薄めて流す」などは故意の加害であり、言語道断です。
トリチウム汚染水の海洋放出の問題点について、各省庁、委員会様は、夫々の質問に誠意をもって、文書で5月13日までにご回答ください。
・経済産業省への質問
・原子力規制委員会への質問
・原子力委員会への質問
・外務省への質問
小委員会は2月10日、報告書で海洋放出が最も現実的との結論を出しました。
汚染水の増加を削減するために、地下水バイパス、サブドレン・地下水ドレンの排水が行われており、海洋放出のトリチウム濃度上限を1500ベクレル/リットルとするなどで運用されています。サブドレン・地下水ドレンの運用については、「サブドレン及び地下水ドレン以外の水は混合しない(希釈は行わない)。」ことが「サブドレン及び地下水ドレンの運用方針」および「運用の基本的な考え方」(参考資料−1)に明記されています。また、福島県漁連会長の野崎哲さんは「『ALPSを通した水は海洋投棄しない』という回答をもらったことによる決断」で「地下水バイパスやサブドレンの放出に協力してきた」と証言(参考資料−2および3)しています。これらは、高濃度汚染水の海洋放出に歯止めをかけ、総排出量を抑制する重要な確認事項です。現に、地下水バイパスやサブドレン・地下水ドレン等の排水について「希釈」は行われていません。
1.高濃度のトリチウムを含むトリチウム汚染水(「ALPS処理水」)を海水で薄めて放出することはこれらの「確認事項」、すなわち、「サブドレン及び地下水ドレンの運用方針」および野崎福島県漁連会長の証言に反するのではありませんか。
2.告示濃度限度の6万ベクレル/リットルでの放出は敷地外へ放出される放射線を無視していて告示違反であり、運用目標の1,500ベクレル/リットルでの放出は「希釈しない」および「ALPS処理水は放出しない」との条件違反であり、結局、高濃度のトリチウムを含むトリチウム汚染水を海水で薄めて放出することはできないと私たちは考えますがどうですか。
3.原発から放射能をこれ以上環境に放出すべきではないとの福島県民の思いを尊重し、トリチウム汚染水の希釈・海洋放出の方針を撤回すべきだと私たちは考えますが、いかがですか。
4.海洋放出に対し、浪江町、南相馬市、石川町などの議会、福島・茨城の県漁業協同組合連合会及び全国漁連、福島の農業・森林組合がすでに反対表明をしています。故意の加害だとの指摘が出ています。国は、福島県内各地や茨城県はもちろんのこと、全国各地で国民の意見を広く聞くため「公聴会」を開くべきです。福島をはじめ多くの国民の意見を無視し、トリチウム汚染水の希釈・海洋放出をしないことを確約してください。
5.増田圭復興庁原子力災害復興班参事官(「原子力災害による風評被害を含む影響への対策タスクフォース」事務局担当)は、2018年7月5日の私たちとの交渉で、「放射線防護は厚労省の立場で、復興庁はその立場に立たない」と回答しています(参考資料−4)。全省庁を統括する復興庁が「放射線防護の立場に立たない」との立場をとるのは論外であり、私たちは本回答の撤回を求めています。
経産省としては、「この復興庁回答とは異なり、放射線防護の立場に立って、トリチウム汚染水対策などでの追加被ばく低減策を講じる」、「法令で担保されている、敷地境界での線量限度1mSv/年を遵守する」と明言して下さい。
6.小委員会では、陸上保管に関しては福島第一原発敷地内にタンク増設場所がないとの東京電力の一方的な主張で押し切られ、米サバンナリバーサイトで(グラウト)固化埋設の実例があるにもかかわらず、これを含めた陸上保管が十分検討されないまま不採用とされています。東電の主張は、敷地利用の当初の想定に基づくものに過ぎず、保管方法や発生汚染水低減策などについて十分検討されたものとは言えません。
小委員会報告書を差し戻し、原発から放射能をこれ以上環境に放出すべきではないとの福島県民の思いを尊重し、事故被害者にこれ以上被ばくを押し付けない人権優先の陸上保管案を真剣に検討すべきと私たちは考えますがいかがですか。
7. 意見聴取等について
(1)意見を聞いても「結論ありきの一方的・形式的な意見聴取」であれば、国民を欺くことになります。
(@)小委員会報告書の結論は、2018年夏の公聴会で圧倒的であった「海洋放出ではなく陸上保管を求める意見」に答えた内容ではありません。意見を聞いても「結論ありきの一方的・形式的な公聴会」になっているのではありませんか。
(A) 今回の説明会、意見聴取、意見募集はどのような位置づけで行われているのですか。 意見を聞いても「結論ありきの一方的・形式的な説明会・意見聴取」、十分な説明と議論なしで課題を風評対策に矮小化した短期期限(5月15日締切)の意見募集、等は国民を欺くことになります。建前だけでなく、福島県民をはじめ茨城県民など国民の声を政策に反映させる内実ある意見聴取、意見募集にするためには、大多数の納得が得られるまで、出された意見への回答と説明を尽くすべきであり、多数の反対意見を押し切って海洋放出や大気放出等の方針を決定すべきではないと私たちは考えますが、いかがですか。
(2)事故で大量の汚染水を発生させた国、東京電力の責任を明確に示すべきです。
重大事故を起こした国と東京電力の責任を明確に示し、地下水の流れを変える大規模土木工事の代わりに成否不明の凍土遮水壁工事を強行し、結局役に立たず、大量の汚染水を発生させてしまった責任を認めることが出発点になると私たちは考えますが、どうですか。
(3)新型コロナウイルス感染下での説明会や意見を聞く場を中断するべきです。
新型コロナウイルス感染が日々深刻化する状況で、議論を深めることは無理です。感染が終息するまで、一旦中断し、沈静化した後に国民的議論を巻き起こすべきと私たちは考えますが、いかがですか。
そのため、海洋投棄や大気放出に依存しない「タンク容量拡大・増設計画」を練り直して実施し、「トリチウム以外の核種除去後の高濃度トリチウム汚染水の固化埋設・空きタンク再利用」などを早急に検討すべきだと私たちは考えますが、いかがですか。
参考資料−1
「サブドレン及び地下水ドレンの運用方針」(2015年9月、廃炉・汚染水対策チーム、東京電力(株)福島第一廃炉推進カンパニー)より
2.サブドレン・地下水ドレンの運用の基本的な考え方
サブドレン及び地下水ドレンの運用に当たっては、
(1)、(2)<省略>
(3) サブドレン及び地下水ドレン以外の水は混合しない(希釈は行わない)。
参考資料−2
第6回廃炉・汚染水対策福島評議会(2015.1.7)議事録<抜粋>
○野ア福島県漁業協同組合連合会代表理事会長
・・・改めて現状において、確実性のリスクのもとではトリチウム等の問題が残るALPS処理水は海洋放出を行わないというのをまず第一段階として、明確に示していただけるとありがたいなと思っております。以上です。
○糟谷廃炉・汚染水対策チーム事務局長補佐
・・・仮に、その選択肢を整理して、プラスマイナス整理をした上で、それぞれに関係のあられる関係者の方々に十分ご説明をし、ご理解を得ていくプロセスが不可欠だと思っております。そういう関係者の方の理解を得ることなくしていかなる処分もとることは考えておりません。
参考資料−3
「日々の新聞」第409号〜海の話し野崎哲さんに聞く〜(2020.3.15)<抜粋:原文のまま>
福島県漁連としては、これまで通り、海洋放棄には反対です。陸上保管を要望することで意見を集約するとにしました。その理由の第一は、トリチウムについてもっとかみ砕いた説明をしてもらわないとわからない、ということです。あれだけの量のトリチウムはそもそも自然界にはないわけで、それを意図的に海に流すということに対して納得できません。
次に、廃炉の課程でバイパス、サブドレンの放出に協力してきた、という経緯があります。それは「ALPSを通した水は海洋投棄しない」という回答をもらったことによる決断でした。汚染された地下水を海に流さないために凍土壁や海側遮水壁をつくるための協力だったわけですから、わたしたちにとっては前向きでした。汚染水を流さないための陸上保管だったはずです。
さらに鮮魚販売が中心の沿岸漁業はこの九年間、消費者の安心を得るために検査態勢を組みながら進んできたわけです。しかしまだ震災前の15〜16%に留まっています。これから出荷を制限する魚種もなくなって大きな増産に踏み込もうとしているととろに、「海洋放出」という決定が下されれば、漁業の先行きを考えても大きな痛手を被ることになります。
参考資料−4
2018年7月5日の私たちとの交渉における増田圭復興庁原子力災害復興班参事官(「原子力災害による風評被害を含む影響への対策タスクフォース」事務局担当)の回答
市民側:自然放射線は防ぎようようがない。だけど医療被ばくとか人工の放射線、これは下げることができる。だから、それが防護の対象でしょう。それを防護の対象として扱わないということが復興庁の立場なんですか。
復興庁:復興庁は厚生労働省と違って、放射線防護していくとかそういう立場ではないと思います。
市民側:復興庁は防護の立場に立たないということですね。今おっしゃっていることは。
復興庁:放射線量を浴びる量をできるだけ少なくするという考え、放射線防護の考え方自体全く否定するものではないです。現実問題として、医療で言えばですね、非常に高線量の放射線治療もあるわけです。
市民側:復興庁は福島の復興を考えているのですか。
復興庁:避難指示を解除いたしました。除染が終わったところについて避難指示解除をして、住民の方々、戻っていただいている方も徐々に増えてきています。ただ、そういったところが、いわゆるICRPでいうところの追加被ばく線量年間1mSvの基準を満たしているかというと、それは満たしていないところも結構あります。それについてはですね、除染で避難指示解除の基準で20mSvというのがありますけれども、実際はもっと低くて5mSvとかそういったレベルまで下がってきております。避難指示解除するのかということについては、地元とよくご相談したうえでやっていることです。ですから、そういう長期間にわたる避難をしてると、まあ、村としてのコミュニティーがもう崩壊してしまうので、若干平常時に比べると放射線量が高いけれども、そこへ戻って村の復興を進めたいというご意向っていうのも一方であるということですので、そういったところについて、必ずしも平常時の年間lmSvに落ち着かないと避難指示解除はできないとか,まあそういったことは復興庁としては考えていない。ということでございますけれど、だからといってどんどん高い放射線量を被ばく、あびてもいいか、そういったことは全く思っていませんで、そこらへんは個別、個別で判断してきている。
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質問1
事故を起こした東電福島第一原発は特定原子力施設に指定されています。指定の際に、措置を講ずべき事項の11番目として、「○敷地周辺の線量を達成できる限り低減すること。○廃炉の過程で生じる放射能汚染物に由来する敷地境界線量の評価値を2015年度末までに1mSv/年未満にすること。」が求められています。
東京電力によれば、敷地境界線量の評価値は2016年3月時点で0.96mSv/年と評価されています。そのうち地下水バイパス・サブドレン等の海洋放出に0.22mSv/年が割り当てられています。サブドレン等の海洋放出については、「希釈は行わない」と運用方針に明記されたこと及び「ALPS処理水は海洋投棄しない」との確認のうえ漁協が苦渋の決断として受け入れられたものです。
東京電力は3月24日、「地下水バイパス・サブドレン等の海洋放出に割り当てられた0.22mSv/年」に基づく「トリチウム濃度1,500Bq/L」を準用し、トリチウム汚染水(ALPS処理水)を薄めてトリチウム濃度1,500Bq/Lにして放出する素案を示しています。この案には下記の3つの重大な問題点があります。原子力規制委員会の見解を示してください。
(1)これは、「サブドレン及び地下水ドレン以外の水は混合しない(希釈は行わない)。」との「サブドレン及び地下水ドレンの運用方針」(参考資料―3)に反します。従って、トリチウム汚染水を薄めて放出することはできないと考えますが、どうですか。
(2)原子力規制庁は私たちとの2018年12月20日の交渉で、「敷地境界線量の評価値が1mSv/年に満たない残りの分を使える」かのように主張しています。しかし、「『ALPSを通した水は海洋投棄しない』という回答をもらったことによる決断」で「地下水バイパスやサブドレンの放出に協力してきた」との野崎哲福島県漁連会長の証言(参考資料−4および5)に基づけば、「地下水バイパス・サブドレン等」とは別に、トリチウム汚染水としての枠取りを新たに設定することも許されないと私たちは考えますが、いかがですか。
(3)タンク内のトリチウム汚染水には、サブドレン・地下水ドレンのトリチウム濃度が1,500Bq/Lを超えた場合に建屋へ移送され、建屋内汚染水と共に処理されたものも含まれます。従って、これを海水で希釈して海洋へ放出することは、結局のところ、「サブドレン及び地下水ドレンの運用方針」を反故にすることになります。それは同運用指針をなし崩し的に撤回し、あらゆる汚染水を希釈放出する方針につながっていくと私たちは危惧しますが、いかがですか。
質問2
原子力施設等の敷地から外部に放出される放射線や放射性物質について、原子力規制委員会告示(「核原料物質又は核燃料物質の製錬の事業に関する規則等の規定に基づく線量限度等を定める告示」,最新改定2017.12.22第14号)は敷地境界での一般公衆の被ばく線量が1mSv/年を超えないこととし、個々の核種についての1mSv/年に相当する濃度(「告示濃度」)を定めています。この1mSv/年の制限は、「公衆の被ばく線量限度1mSv/年」を担保するための制限値です。
原子力規制委員会告示は原発事故等による敷地外への放射能放出がなされていないことを前提にしています。しかし原子力規制委員会はこのことを無視し、原子力規制委員会はこれまで「告示濃度」を守っていれば海洋放出は問題ないとの見解を示してきました。この見解は下記に示すように法令違反もしくは法令の趣旨に添わないと考えます。
(1) この見解は、「事故で敷地外へ放出されて今なお残存する放射能による放射線」および「汚染水タンク等から敷地外へ現在放出されている放射線などの他の要因による放射線放出や放射能放出」を無視しており、法令(告示)違反であることを認めてください。
(2)福島事故で敷地外が放射能で汚染され、福島県民は1mSv/年前後の追加被ばくを強いられており、この現状を無視し、それが存在しないかのように振る舞い、「敷地境界で新たな追加被ばく線量が1mSv/年を超えなければ良い」としてトリチウム汚染水の放出枠を新たに設定するというのであれば、本来、原子力委員会告示が担保すべき「公衆の被ばく線量限度1mSv/年」を一層担保できなくなります。
告示濃度を新たな放射線放出・放射能放出に対してだけ機械的に適用して被ばく線量の積み増しを容認するのは法令の趣旨に沿わないと私たちは考えますが、いかがですか。
質問3
東京電力は、トリチウム汚染水にはトリチウム以外の62核種が告示濃度限度を超えて含まれていることから、ALPSまたは逆浸透膜装置(水以外のイオン・塩類を透過しない濾過膜)で二次処理を検討中だと弁明していますが、更田原子力規制委員長は2018年10月5日の記者会見で、二次処理は「告示濃度制限が守られる限り、絶対に必要なものという認識はない。」「科学的には、再浄化と(より多くの水と混ぜることで)希釈率を上げるのに大きな違いはない。告示濃度制限は非常に厳しい低い値に抑えられている。」(2018.10.5記者会見、福島民友新聞2018.10.6)と発言し、トリチウム以外の核種も含めて、告示濃度限度まで薄めればよいとの認識を披露しています。
(1)この発言は明らかに原子力規制委員会告示違反であり、撤回すべきだと私たちは考えますが、いかがですか。
(2)この発言は、「告示濃度限度を超える高濃度の汚染水でも希釈すれば海洋放出できる」という違法な抜け穴を原子力規制委員長自らが電力会社に指南しているかのようにも受け取られます。その意味でも、本発言は全面的に撤回すべきだと私たちは考えますが、いかがですか。
参考資料−1 地下水バイパスの排水基準について 2014.2.3 東京電力株式会社
参考資料−2 敷地境界線量(評価値)の目標達成について 2016.2.25 東京電力株式会社
参考資料−3
「サブドレン及び地下水ドレンの運用方針」(2015年9月、廃炉・汚染水対策チーム、東京電力(株)福島第一廃炉推進カンパニー)より
2.サブドレン・地下水ドレンの運用の基本的な考え方
サブドレン及び地下水ドレンの運用に当たっては、
(1)、(2)<省略>
(3) サブドレン及び地下水ドレン以外の水は混合しない(希釈は行わない)。
参考資料−4
第6回廃炉・汚染水対策福島評議会(2015.1.7)議事録<抜粋>
○野ア福島県漁業協同組合連合会代表理事会長
・・・改めて現状において、確実性のリスクのもとではトリチウム等の問題が残るALPS処理水は海洋放出を行わないというのをまず第一段階として、明確に示していただけるとありがたいなと思っております。以上です。
○糟谷廃炉・汚染水対策チーム事務局長補佐
・・・仮に、その選択肢を整理して、プラスマイナス整理をした上で、それぞれに関係のあられる関係者の方々に十分ご説明をし、ご理解を得ていくプロセスが不可欠だと思っております。そういう関係者の方の理解を得ることなくしていかなる処分もとることは考えておりません。
参考資料−5
「日々の新聞」第409号〜海の話し野崎哲さんに聞く〜(2020.3.15)<抜粋:原文のまま>
福島県漁連としては、これまで通り、海洋放棄には反対です。陸上保管を要望することで意見を集約するとにしました。その理由の第一は、トリチウムについてもっとかみ砕いた説明をしてもらわないとわからない、ということです。あれだけの量のトリチウムはそもそも自然界にはないわけで、それを意図的に海に流すということに対して納得できません。
次に、廃炉の課程でバイパス、サブドレンの放出に協力してきた、という経緯があります。それは「ALPSを通した水は海洋投棄しない」という回答をもらったことによる決断でした。汚染された地下水を海に流さないために凍土壁や海側遮水壁をつくるための協力だったわけですから、わたしたちにとっては前向きでした。汚染水を流さないための陸上保管だったはずです。
さらに鮮魚販売が中心の沿岸漁業はこの九年間、消費者の安心を得るために検査態勢を組みながら進んできたわけです。しかしまだ震災前の15〜16%に留まっています。これから出荷を制限する魚種もなくなって大きな増産に踏み込もうとしているととろに、「海洋放出」という決定が下されれば、漁業の先行きを考えても大きな痛手を被ることになります。
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原子力委員会は1993年11月2日、「我が国としては、今後、低レベル放射性廃棄物の処分の方針として、海洋投棄は選択肢としないものとする。」との決定を行っています。
小委員会報告書の「海洋放出が最も現実的」との結論から導かれる「東電福島第一原発トリチウム汚染水海洋放出」は、この決定に反しています。原子力委員会として東電福島第一原発のトリチウム汚染水を海洋放出に反対する見解を示すべきだと私たちは考えますが、いかがですか。
参考資料
1.低レベル放射性廃棄物処分の今後の考え方について(第16回ロンドン条約締約国協議会議に向けて)1993年11月2日 原子力委員会決定・・・原子力委員会月報11月号(第38巻第11号)
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2018年夏に福島、東京で開催された東電福島第一原発のトリチウム汚染水(ALPS処理水)処理方法の公聴会では海洋放出ではなく長期陸上保管を求める意見が相次ぎました。その後、経済産業省の小委員会では、陸上保管に関しては福島第一原発敷地内にタンク増設場所がないとの東京電力の主張で押し切られ、十分検討されないまま不採用とされています。東電の主張は、敷地利用の当初の想定に基づくものに過ぎず、発生汚染水低減策などについて十分検討されたものとは言えません。
陸上保管の追求を放棄し、原発から放射能をこれ以上環境に放出すべきではないとの福島県民の思いを無視した、小委員会報告書の「海洋放出が最も現実的」との結論から導かれる「東電福島第一原発トリチウム汚染水海洋放出」は国連海洋法条約、ロンドン条約などに抵触すると考えます。
1.国連海洋法条約(海洋法に関する国際連合条約)に関して
国連海洋法条約は第192条において、「いずれの国も、海洋環境を保護し及び保全する義務を有する。」としています。また、第194条第1項において、「いずれの国も、あらゆる発生源からの海洋環境の汚染を防止し、軽減し及び規制するため、利用することができる実行可能な最善の手段を用い、かつ、自国の能力に応じ、単独で又は適当なときは共同して、この条約に適合するすべての必要な措置をとるものとし、また、この点に関して政策を調和させるよう努力する。」としています。
(1)「東電福島第一原発トリチウム汚染水海洋放出」はこれらの項目に抵触すると私たちは考えますがどうですか。
(2) 外務省として、陸上埋設・保管案を含めたトリチウム汚染水の海洋投棄以外の選択肢を徹底的に検討することを経済産業省に求めるべきだと私たちは考えますが、いかがですか。
2.ロンドン条約に関して
1995年議定書の附属書Uにおいて、
一般規定 1 一定の状況の下で投棄を認めることは、投棄の必要性を低減するための更なる試みを行うこの附属書に基づく義務を免除するものではない。 廃棄物管理の方法についての検討 5 廃棄物その他の物の投棄の申請においては、廃棄物管理の方法に関する次の序列(環境に与える影響が次第に増大する順序を意味する。)について適切な検討が行われたことを証明する。 5.1〜5.4 <省略> 5.5 陸上での処分、大気への処分及び水中への処分 6 許可を与える当局は、人の健康若しくは環境に対する不当な危険又は均衡を失する費用を伴わずに廃棄物を再使用し、再生利用し、又は処理するための適当な機会が存在すると判断する場合には、廃棄物その他の物の投棄の許可を拒否するものとする。投棄及びその代替手段の双方に関する危険性の比較評価に照らし、他の処分方法の実際の利用可能性を検討すべきである。 |
(1)「東電福島第一原発トリチウム汚染水海洋放出」はこれらの項目に抵触すると私たちは考えますがどうですか。
(2) 2019年10月に開催されたロンドン条約/ロンドン議定書締約国会議では、すでに憂慮を表明していた韓国に加え、中国、チリも憂慮を表明しています。
(@)1993年3月30日に閣議決定された平成5年度原子力開発利用基本計画でも「海洋処分については、関係国の懸念を無視して行わないとの考え方の下に、その実施については慎重に対処する」とし、これを受けて、原子力委員会も1993年11月2日決定の「低レベル放射性廃棄物処分の今後の考え方について(第16回ロンドン条約締約国協議会議に向けて)」で「我が国としては、今後、低レベル放射性廃棄物の処分の方針として、海洋投棄は選択肢としないものとする。」と断言しています。外務省もこれらの政府方針に従うべきだと私たちは考えますが、いかがですか。
(A) 憂慮を表明する国が増えたことを外務省はどのように受け止め、どのような姿勢で臨んでいますか、また今後どのような姿勢で臨もうとしていますか。
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