「非核・平和のひろば」政府交渉(2022/5/17)の報告

 ヒバク反対キャンペーンも参加している「非核・平和のひろば‐ノーモア・ヒバクシャ核廃絶を‐」が5月17日に「核兵器禁止条約の署名・批准、非核三原則の法制化」を政府に求める署名8062筆を提出し、それを背景に政府交渉を行いました(案内記事)。ヒバク反対キャンペーンも交渉に参加しました。
 外務省と内閣府に質問書を提出しましたが、内閣府は該当する箇所はないとして出席しませんでした。
 当日は、外務省4名と防衛相3名が出席しました。防衛相は外務省からの依頼で出席したとのことで、回答は主に外務省が担当し、防衛省は回答を絞りました。市民側の出席はコロナ禍で7名でした。
  交渉の詳細(質問、回答、議論)

核兵器禁止条約が発効し、初めての締約国会議(6月21~23日)とその前日に行われる「核兵器の非人道性に関する国際会議」への参加を強く求めました。
 6月初めに政府は、多くの市民団体や被爆者団体の要求、私たちの要請に答えて「核兵器の非人道性に関する国際会議」への参加を決定し、これは私たちの交渉にとっても、成果となりました。

ウクライナ戦争で核使用の威嚇が行われる中で、核兵器禁止条約への積極的参加や、NPT再検討会議での核軍縮提案等を、日本政府は被爆国の責任として行うよう強く迫りました。
 国際会議への出席要請と併せて、ウクライナ戦争で核兵器使用の威嚇が行われ世界は危機にあり、核抑止論は幻想であると追及し、核兵器禁止条約の署名・批准を迫りました。また、非核三原則は北東アジアを非核兵器地帯へと進めて行くために重要であり、法制化する必要があると追及しました。

外務省・防衛省の回答要旨
1.核兵器禁止条約、核軍縮について
・日本は核保有国に核軍縮を迫り将来の核廃絶を目指す立場である。
・核兵器禁止条約については核兵器廃絶の出口と位置づける。
・核保有国が参加しない状況で核軍縮を進めることが出来ない。日本は核兵器禁止条約に加入しない。
・核兵器禁止条約の第1回締約国会議は核保有国が参加せず、核軍縮を迫ることが出来ないことから、日本は参加しない。
・軍縮・不拡散イニシアティブ(NPDI)、ストックホルム・イニシャチブの2グループに参加して核軍縮を提案している
2.核抑止論、ロシアのウクライナ侵攻について
・ロシアによるウクライナ侵略後も有効で、核抑止論は無効という考え方は大勢ではないという立場である。日本は3つの核保有国に囲まれ、厳しい安全保障環境であり、しっかりと目を見開くべきである。
・ロシアのウクライナ侵攻については、①ロシアは国際法違反、戦争犯罪を行なっているとの認識で、G7と共にロシアのウクライナからの無条件撤退を求めている、制裁を求めて国際社会と結束して強化している②G7と結束して核使用、威嚇は認められない、国際的な核軍縮不拡散の維持強化を訴えた。また日本政府として唯一の戦争被爆国として様々な国際会議で核兵器の威嚇やましてや使用もあってはならないと訴えていく。
3.非核三原則の法制化について
・内外で十分に周知して頂いているので改めて法制化の必要はない。
・我が国を取り巻く安全保障環境がこれまでになく悪化している。防衛省自衛隊としては我が国の領空、領海を断固として守り抜くため南西諸島への防衛体制、部隊配置を進め、抑止体制を高めている。
・岸田首相は国会で答弁している通り核共有施策はとらず、国会でも議論はしない。憲法違反についても現時点で具体的な検討が出されていないので仮定の事になるので今のところは判断しない。
敵基地攻撃能力と専守防衛の検討文書「不存在」報道に関する追加質問への回答
・防衛省が慎重な言い回しで「攻撃能力」と「専守防衛」との関係について、「必要最小限の措置をとることは防衛上可能である(枠組み防衛)」と回答。内閣法制局に関する部分は回答せず。


 日本は核の傘の下にあり、政府はアメリカとの関係を損なわない範囲で国際的な発言・行動をしてきました。今回の外務省の回答は、岸田政権でもそれが踏襲されていることを示す内容でした。今回の交渉で主に回答した外務省の石井良実(よしざね)・軍備管理軍縮課長は、第1回核兵器禁止条約締約国会議の前日、ウイーンで日本のメディアからの「なぜ日本が締約国会議に参加しないのか」との疑問に対して、私たちとの交渉と同様の説明を繰り返しています。
 今回の締約国会議に参加したドイツなどヨーロッパの核の傘の下にある国々も核兵器禁止条約に加わらない姿勢を示しており、国際的なまた各国での粘り強い取り組みが必要です。
 併せて北東アジアを非核兵器地帯へと進めて行くために日本の非核三原則の法制化は重要です。
引き続き「日本政府に、核兵器禁止条約の署名・批准と非核三原則の法制化を求める署名」の拡大に取り組みます。

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