放置されている原発被曝労働者の健康被害

がん死４１０人～１５００人など、集団線量から推定される被曝労働者の健康被害
１９７０年度から２０１８年度までの原発被曝労働者の集団線量は、4087人・シーベルトです。（事故後の福島第一で740人・Sv、その他で3347人・Sv）　　→　詳細資料
広島・長崎の原爆被爆者の疫学調査から、がん・白血病死亡だけでも４１０人の犠牲が原発被曝労働者に生じると推定されます。１０人・Svあたり３．７人のがん死とする１９９０年のゴフマンの評価によれば１５００人規模となります。
がん・白血病以外の健康被害も生じます。
労災申請・認定は、まだ氷山の一角
白血病と白血病類縁疾病による労災申請は2011年までに３０件（白血病１０、悪性リンパ腫8、多発性骨髄腫２、皮膚炎1、再生不良貧血1、肺がん１、心筋梗塞１、結腸がん１、胃がん１、食道がん１、ＪＣＯ臨界事故の放射線急性障害３）です。白血病と悪性リンパ腫はそれぞれ不認定となった詳細不明の１件を含んでいます。

最新の「原子力発電施設等放射線業務従事者に係わる疫学調査」によると、1986年～2010年12月末の白血病類縁疾患による死亡は白血病２０７名、悪性リンパ腫１７６名、多発性骨髄腫６０名と報告されています。

この資料は、中央登録センターに1999年3月未までに登録された者（累計約，34万3千人）のうち、日本国籍を有しない者および放射線業務に従事しなかった者を除外した２７７１２８人のうち、生死情報が得られたなど統計に必要な条件を満たす男性２０４１０３人から得られたものです。
①実被曝労働者から生死情報のない労働者が抜けています。
②潜伏期間調整により従事開始から白血病で2年内、その他で10年内の死亡例が除かれていると思われます。
これらも考え合わせると、１７件の労災申請、１０件の労災認定は、まだ、氷山の一角であることがわかります。