6例目の悪性リンパ腫労災認定で原発被曝労働者の労災認定14人に(2013/12/16)

2013年12月に兵庫西労基署で悪性リンパ腫が労災認定されました。
 経過など、詳しく新聞報道されています。
 原発労働者を労災認定 悪性リンパ腫発病の男性“福島従事者にも国は対応を”
 関西電力の原発で27年間、配管の点検などに従事し、悪性リンパ腫を発病した下請け労働者(62)が、このほど神戸西労働基準監督署で労災認定されました。申請から1年、認定を勝ち取った男性は「福島で作業している人たちにも、国は対応してほしい」と語っています。(兵庫県・秋定則之)
 神戸市北区に住む男性は、1983年から27年間、関電の3次下請けの社員として高浜、大飯、美浜などの原発で、配管のバルブの点検、保守作業に携わってきました。「高い放射線量で、15分しか作業できないこともあった」といいます。放射線と被ばく線量はきちんと管理されていると信じていました。「会社や関西電力は私を守ってくれていると思っていました。しかし、それは私の思いこみでした」
 2011年7月、健康診断で悪性リンパ腫が見つかり、ただちに手術し、抗がん剤治療をうけました。入院中に定年退職となり、会社からは何の連絡もなしに健康保険を切られ、労災の説明もありませんでした。退職金は、医療費の支払いで無くなりました。
 放射線管理手帳の記録によると、27年間に浴びた線量は168・41ミリシーベルトでした。妻が職業病を疑い、11年12月に労災申請のために訪れた兵庫労働局では、「5年間で200ミリシーベルトが基準。難しい」と門前払いされました。
 12年2月、体調も生活も大変なときに、「北生活と健康を守る会」の朝倉宏氏と出会い、生活保護を申請。藤原精吾弁護士を紹介され、12年12月に神戸西労働基準監督署に労災申請し、病気の業務起因性に関する医師の意見書も提出しました。
 国は安全・健康に責任を
 原発などの作業による被ばく限度は年間50ミリシーベルト、5年間で100ミリシーベルトが国の基準です。白血病の労災認定基準は、1年以上従事し、年間5ミリシーベルト×従事年数です。悪性リンパ腫は基準がなく、発病リスクは白血病の5分の1とされ、25ミリシーベルト×年数が目安となります。男性は個別審査の対象とされ、厚生労働省の専門家が調査し、放射線の種類や労働実態などから、1年後の13年12月に認定されました。男性は「認定を受け、本当に助かりました。福島で作業している人に何かあったら、国がすぐ対応してほしい」といいます。
 藤原弁護士は、被ばく線量をごまかすことが広くおこなわれ、放射線管理手帳に正確に反映されてないことや、原発労働者の疫学的根拠、長期的なリスクのデータが不十分なことを指摘。原爆症認定で、国が因果関係をなかなか認めない困難さを強調し、「危険な作業はわかっているのだから、厚労省は労働者の安全と健康、労災認定に前向きな対応がいる」と話しました。
 労災補償申請は2012年12月です。
 悪性リンパ腫の労災認定としては6例目で、原発被ばく労働者の放射線業務による労災は14人となりました。
疾病白血病多発性骨髄腫悪性リンパ腫
被曝線量(mSv) 40.0 72.1 50.0 129.8 74.9 5.2 70.0 65.0 99.8 78.9 175.2 138.5 105.5 173.6
認定(年) 1991 1994 1994 1999 2000 2011 2004 2010 2008 2010 2011 2012 2013 2013
労働局 福島 兵庫 静岡 茨城 福島 福岡 福島 福岡 大阪 長崎 神奈川 福島 福島 兵庫
これまでに放射線業務による労災と認定された13人の原発被曝労働者

この他に、1999年JCO臨界事故により高線量被曝した3人の急性障害が労災認定されています。
疾病急性放射線症
被曝線量(Sv)16~206.0~101.0~4.5
認定(年)1999
労働局茨城
JCO臨界事故で労災認定された3人

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