5月24日大阪、6月5日東京での事前討論会を経て、6月12日の交渉当日は福島からの5名をはじめ47名が参加し、放射線のホント撤回署名の第2回提出と、復興庁、原子力災害対策本部、原子力規制庁、資源エネルギー庁との交渉を行いました。昨年7月、12月の交渉で拒否されたビデオ撮影を今回は認めさせました。
放射線のホント撤回署名提出、福島原発事故関連課題 6.12政府交渉 日時:6月12日(水) 会場:参議院議員会館B109 進行:12:30~12:55 打ち合わせ 13:00~13:50 第2回放射線のホント撤回署名提出と復興庁との交渉 ・「放射線のホント」の撤回 14:00~14:50 原子力災害対策本部との交渉 ・年間20mSv規準による被害者切り捨て政策の撤回 15:00~15:50 原子力規制庁との交渉 ・ALPS処理水海洋放出の撤回 ・モニタリングポスト削減の撤回 16:00~16:30 交渉まとめと意見交換 |
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呼びかけ 紹介議員 |
脱原発福島県民会議、双葉地方原発反対同盟、原水爆禁止日本国民会議、原子力資料情報室、全国被爆2世団体連絡協議会、反原子力茨城共同行動、原発はごめんだヒロシマ市民の会、チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西、ヒバク反対キャンペーン 福島みずほ参議院議員 |
これは、15万筆を超える「放射線のホント」撤回署名、滋賀県野洲市の「放射線副読本」回収・公表されていないが各地の市レベルでの「放射線副読本」留め置きなど、福島原発事故被害をなかったことにしようとする政府の「風評払拭・リスクコミニュケーション強化戦略」に対する批判が表面化し、無視できなくなったことを示しています。 しかし、復興庁は、「だからと言って、内容の撤回までは考えていない。根拠をもって書いている。」と強弁しました。 |
これに対して、福島の参加者から、「避難指示が解除されたが戻ってみると事故前と状況が一変している。居住者は高齢者中心で子どもが激減し、放射線被ばくの不安の中で暮らしている。生活環境が整っていない。「今後の癌の増加は予想されず」はとんでもない。甲状腺がんについて、子どもを給水に並ばせ被ばくさせた母親は後悔している。国は国策で原発を推進した事の上に立って見解を示せ。野菜不足と同じ土俵で語られているが直ちに影響はないという事で被ばくを強いられた。人権の問題だ。」など、批判が続きました。 |
追及の中で、例えば、子育て世代を中心に住民が戻りたくても戻れない状況、浪江町では小中合わせて事故前2000人だったが今は10人という状況について、復興庁は、人々が放射線被ばくの危険を感じていることが根底にあることには一切触れず、「避難の期間」のみ言及しました。 |
復興庁は、昨年7月5日の交渉で、「放射線防護の必要性は認めるが、放射線防護は厚労省で、復興庁はその立場ではない」と回答しています。 長期に及ぶ放射線被ばくやその被害を無視した「復興政策」は人権侵害です。 |
復興庁は、「一般公衆の被ばく線量限度の規制は設けられていない。これが政府としての見解である。」と原子力規制庁から聞いていると回答しました。 |
しかし具体的な質問に対しては、「法的なことは原子力規制庁に聞いてほしい」と逃げ続けました。 |
復興庁は「放射線のホント」で「100mSv以下で放射線被ばくの健康影響は検出困難」としています。 しかし、複数の「子どものCT検査の被ばく影響調査」で100mSv以下での健康影響が報告されています。 |
復興庁は、この報告に対する正面からの議論には応じないという、無責任な対応でした。 |
放射線被ばくを規制する現行法体系は、ICRP1990年勧告を取り入れて、2001年4月から施行されています。 この現行法体系で、公衆の被ばく線量限度は年間1mSvとして法令で守られています。 |
しかし政府は、福島原発事故で多数の住民が「公衆の被ばく限度を超える被ばくを被った」ことの追及を門前払いしてきました。私たちも、過去にも、また、前回の交渉でも、そのような対応を受けました。 |
今回、「ICRP1990年勧告の国内制度等への取入れについて意見具申(1988年6月放射線審議会)」をテコに原子力規制庁を追及しました。 原子力規制庁は次の4点を認めました。 ①放射線審議会の意見具申引用部分、②山本太郎参議院議員の「放射線被ばく環境下における居住に関する質問主意書」に対する答弁書(2013年12月)の引用部分。、③線量告示は放射線審議会の意見具申を踏まえて作成している。、④「公衆の被ばく限度年1mSv」を担保するために線量告示を定めている。 最終的に「公衆の被ばく限度年1mSvは法令で担保されている」に同意しました。 |
福島原発事故の被ばくは「公衆の被ばく限度年1mSvの法令」違反で人権侵害、年20mSv基準の撤回、などを認めさせるまでには至りませんでしたが、その突破口を開くことができました。 直面しているALPS汚染水の海洋放出問題で、線量告示違反・公衆の被ばく限度法令違反と追及し、海洋放出の撤回を目指します。 さらに、福島原発事故で「公衆の被ばく限度年1mSvの法令」違反の被ばくをさせられたこと、それは人権侵害であること、被害者の権利として国に補償させる要求などを広め、それを実現する運動を作り上げることが今後の課題です。 |
公衆の被ばくに関する限度は、実効線量については年1mSv、組織に対する線量限度については、眼の水晶体に対する線量限度を年15mSv、皮膚に対する線量限度を年50mSvとし、これを規制体系の中で担保することが適当である。 このためには、施設周辺の線量、排気・排水の濃度等のうちから、適切な種類の量を規制することにより、当該線量限度が担保できるようにすべきである。 |
原子炉施設から放出される放射性物質に関しては、原子炉施設の周辺監視区域外における一般公衆の被ばく線量が年間1mSv以下となるよう告示濃度限度を定めている。 |
原子力災害対策本部の対応者として出席した被災者生活支援チームは、20mSv基準は法令になく、放射線審議会にも諮っていないと認めました。年間20mSv 基準の危険性を示すCT検査の健康影響調査に対して、存在は認めましたが、「ICRP、UNSCEAR、WHO等の国際合意されたものを採用している。」と内容の論議に応じませんでした。「長期的に年1mSvを目指す」の長期が何年規模かは決まっていないと答えました。
(1)事故でまき散らされたセシウムから現在も被ばくしており、それを含めれば年1mSvを超える。海洋放出はできないと追及
原子力規制庁は、福島第一原発の敷地境界では現在、汚染水タンクからの放射線などによる追加線量が年間0.9mSvなので、0.1mSv相当の汚染水放出ができるとの見解を示しました。事故でまき散らされたセシウムによる被ばくについては、それを計算に含めることは最後まで認めず、海洋放出できるとの見解を変えませんでした。
(2)資源エネルギー庁に対し、全県的な要求のALPS処理水長期保管の結論を早急に出せと追及
資源エネルギー庁は小委員会で社会的影響を含めたALPS処理水の取り扱いを検討していますが、小委員会は昨年12月開催以降半年も開催されていません。資源エネルギー庁は「予断を持たず検討したい。」と回答しました。これに対して福島の参加者から、「公聴会を開催した責任を持って長期保管の結論を出せ。」、「第2次公聴会を開け」などの要求が出ました。
(3)更田委員長が事あるごとに海洋放出を誘導する発言を繰り返していることに対する追及
福島の参加者を先頭に会場から、「やっとここまで来たという漁民の思いを逆なでする発言だ。わかっているのか。」、「薄めて放出することを含め、海洋放出は認められない。」、「誘導発言をするなと委員長に伝えよ」と、抗議の声があがりました。
原子力規制庁に「公衆の被ばく限度年1mSvは線量告示で担保されている」と認めさせたことをテコに、セシウムによる被ばくを含めれば海洋放出はできないと追及を強めましょう。更田委員長の発言批判を強めましょう。
5月29日、原子力規制委員会は、「モニタリングポストの撤去方針に対して反対の声が多数寄せられたので、当面継続する。」との方針を決定しました。
これは、福島の全県的な反対運動の成果です。9団体も政府交渉等を通じてその一端を担いました。
(1)撤去方針の白紙撤回を迫りました。
福島の参加者を中心に、モニタリングポストの必要性を主張し、撤去方針の白紙撤回、避難指示解除地域に新たに増設、を求めました。
避難指示解除区域にモニタリングポストを新規増設させましょう。きめ細かな汚染調査、再除染、子どもの保養支援などの課題と結んで実現させましょう。
(2)復興期間終了後の維持費確保の回答
原子力規制庁は、「現在は復興特別会計から出ており、復興期間終了後にどのような形になるかはわからないが、維持費を確保する。」と回答しました。
「放射線のホント」撤回の取り組み
「放射線のホント」撤回署名
「放射線のホント」撤回署名ニュース
関連資料