福島原発事故の被害はなかったことにする安全宣伝、復興宣伝は許されません。
「風評払拭・リスクコミニュケーション強化戦略」に基づく「放射線のホント」

復興庁の「風評払拭・リスクコミニュケーション強化戦略」に基づくパンフレット
 2018年3月に復興庁が「風評払拭・リスクコミニュケーション強化戦略」に基づき、関係行政機関における情報発信等のモデルとして、作成したものです。
 「原子力災害に起因する科学的根拠に基づかない風評やいわれのない偏見・差別が今なお残っている主な要因は、放射線に関する正しい知識や福島県における食品中の放射性物質に関する検査結果、福島の復興の現状等の周知不足と考えられます。」という認識に立っています。 「放射線のホント」(PDF)

「放射線のホント」の撤回を求める全国署名にご協力を
2万1234筆(2018/12/20)12万9676筆(2019/6/12) 累計15万910筆提出

 2018年7月5日、脱原発福島県民会議をはじめ9団体は国際放射線防護委員会(ICRP)の2007年勧告国内取入れ反対と福島原発事故関連要求の対政府交渉を行い、その中で「放射線のホント」の内容を批判し撤回を求めました。
 参加者から「不当な被ばくと記載せよ」、「事実を伝えていない」、「福島県民、国民を愚弄するものだ」、と怒りの声が相次ぎました。しかし復興庁は撤回を拒否しました。 ⇒ 交渉報告
 

 全国各地の多数の声を背景に復興庁に撤回を迫るために、28団体(2019年10月現在)の呼びかけで、「放射線のホント」の撤回を求める署名に取り組んでいます。全国津々浦々に署名を広げましょう。
 署名用紙  リーフレット
 署名にご協力下さる賛同団体を募っています。賛同団体要請書でご連絡下さい。

「放射線のホント」は、問題のすり替え、ウソ、被害実態の隠蔽に満ちています。

詳しくは署名拡大リーフレットをご覧ください。
復興庁「放射線のホント」それは違います!
放射線は自然や医療など身の回りにあり、ゼロにできません国の原発推進政策がもたらした東電福島第一原発事故によって強いられた「不当な被ばく」が問題なのです。
国の責任としてなすべき、不当な被ばくに対する謝罪、完全賠償の指導、人権回復、生涯健康保障など基本的なことは一切書かれていません。
自然の放射線はゼロにできませんが、不当な被ばくはゼロにできます。原発再稼働は再び重大事故による不当な被ばくを招く危険性があります。
放射線被ばくの健康影響は「量の問題」

100ミリシーベルト以下では「検出困難」
100ミリシーベルト以下でも健康影響が出ます。法令でも公衆の被ばく限度は年1ミリシーベルトと定められています。
7月5日の政府交渉で、「放射線防護は厚労省の立場で、復興庁はその立場に立たない」と明言しました。復興のためには100ミリシーベルト以下なら放射線被ばくと健康被害を無視する、これが政府の本音です。
ふるさとに帰った人たちにも日常の暮らしが戻りつつある福島県では未だに5万人近い住民が避難生活を余儀なくされています。やむなく移住した人も多数います。区域外避難者は統計から除外されています。半減期30年のセシウム137からの放射線を主とする長期被ばくの不安の中で帰還した人々の多くは高齢者で、家族離散の状況にあり、事故前と同じ生業は営めず、医療・介護設備も整わず、「日常の暮らしが戻りつつある」状況からはほど遠い生活を強いられています。

風評払拭・リスクコミニュケーション強化戦略

「風評払拭・リスクコミニュケーション強化戦略」は、2017年122月に、復興大臣が主催する「原子力災害による風評被害を含む影響への対策タスクフォース」」で決定(復興大臣決定)されました。
「タスクフォース」には10省庁が参加しています。
<経過>
2013年3月21日  第1回「原子力災害による風評被害を含む影響への対策タスクフォース」開催
2014年6月23日  第3回タスクフォースで「風評対策強化指針」を決定(3つの強化指針)
        ・風評の源を取り除く
        ・正確で分かりやすい情報提供を進め、風評を防ぐ
         この中に、「放射線リスクに関する基礎的情報」の活用拡大
              学校、病院、公共施設を通じて、住民・保険医師等に幅広く発信
         とされている。
        ・風評被害を受けた産業を支援する
2017年2月21日  第7回タスクフォースで「風評対策強化指針」の追補改定
2017年7月21日  第8回タスクフォースで復興大臣から
         「風評払拭のためのリスクコミュニケーション戦略の策定等」の指示
2017年12月12日 第9回タスクフォースで「強化戦略」決定

風評払拭・リスクコミニュケーション強化戦略
平成29年12月12日
I.はじめに
 東京電力福島第一原子力発電所の事故(以下「事故」という。)から6年9か月 が経過した。帰還困難区域を除くほとんどの地域で避難指示が解除され、福島県の復興・再生に向けた動きが本格的に始まっている。
 風評の払拭については、これまでの取組により一定の成果を上げているものの、福島県産農林水産物の全国平均価格との乖離や教育旅行をはじめとした観光業の不振など、今もなお風評被害が根強く残っている。また、学校における避難児童生徒へのいじめなど、原子力災害に起因するいわれのない偏見や差別が発生している。
 このような科学的根拠に基づかない風評や偏見・差別は、福島県の現状についての認識が不足してきていることに加え、放射線に関する正しい知識や福島県における食品中の放射性物質に関する検査結果等が十分に周知されていないことに主たる原因があると考えられる。このことを国は真摯に反省し、関係府省庁が連携して統一的に周知する必要がある。その際 、被災者とのリスクコミュニケーションに加え、この経験を活かしながら、国民一般を対象としたリスクコミュニケーションにも重点を置くこととする。国は被災者の思いや置かれた状況を忘れず、「知ってもらい」、「食べてもらい」、「来てもらう」ことによって、国民一人ひとりにその思いを共感してもらうべく、全力を尽くすことが必要である。
 この際、健康影響への評価については、①放射線はその有無ではなく、量的に考える必要があること、②現在、福島県 では放射線の安全性が確保されていること、③世界で最も厳しい水準の放射性物質に関する基準の設定や検査の徹底により、福島県産食品及び飲料水の安全は確保されていること等を発信し、個々人の安心感の醸成にしっかりとつなげていくことに留意する必要がある。また、我が国の食品等に対して輸入規制を課している国・地域 へも これらの情報を発信していく必要がある。  このような問題意識を踏まえ、復興大臣のリーダーシップの下、「原子力災害による風評被害を含む影響への対策タスクフォース」が設置した「風評払拭・リスコミ強化戦略策定プロジェクトチーム」を構成する関係府省庁が、これまでのリスクコミュニケーション対策の総点検を行った上で、有識者の意見を聴取し、専門家の間で共通している最新の科学的知見等を踏まえ、「風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略」を以下のとおりとりまとめた。  関係府省庁においては、本戦略に基づき、産業・生業の再生の大前提であり、 被災者が安心して生活を送るために も必要な風評払拭に全力で取り組むこととする。なお、その際、福島県以外の被災地への風評にも配慮しつつ取り組む必要がある。
 また、取り組んだ内容については、的確 なフォローアップを行い、より効果的な施策の実施につなげることとする。

Ⅱ.強化内容<抜粋>
1.知ってもらう(放射線に関する正しい知識の理解と誤解の払拭)
(1)伝えるべき対象
①児童生徒及び教師等教育関係者 ②妊産婦並びに乳幼児及び児童生徒の保護者 ③広く国民一般
(2)伝えるべき内容
①放射線の基本的事項及び健康影響
(a)人の身の回りには日常的に放射線が存在し、日常生活において放射線被ばくをゼロにすることはできない。
(b)放射線はうつらない。
(c)放射線被ばくをした場合、子供への遺伝性影響が出ることはない。
(d)放射線による健康影響は、放射線の「有無」ではなく「量」が問題となる。
(e)放射線による発がんリスクの増加は、100~200 ミリシーベルトの被ばくをした場合であっても、野菜不足や高塩分食品摂取による発がんリスクの増加に相当する程度である。
(f)事故による放射線被ばくの健康影響は証明されていない。
(g)事故とチェルノブイリ原子力発電所事故とは異なる。
(h)福島県内の空間線量率は事故後6年で大幅に低下しており、全国や海外主要都市とほぼ同水準となっている。
②食品及び飲料水の安全を守る仕組みと放射性物質の基準
(a)福島県産の食品及び飲料水は、放射性物質に関する検査の徹底により、安全が確保されている。
(b)日本の食品及び飲料水の放射性物質の基準は、世界で最も厳しい水準となっている。
(c)福島県において、現在、基準値を超える食品及び飲料水はほとんどない。
特に、福島県産米については、平成 27 年産米以降、基準値を超過したものはなく、畜産物は平成 24 年 12 月以降、海産魚介類は平成 27 年4月以降、基準値以内である。
なお、検査により基準値超過が確認された場合は、市場に流通しないよう必要な措置がとられている。
③復興が進展している被災地の姿
復興に向けて前向きな取組を行う人々の姿や実際に被災地においてのハード・ソフト面の復興が進んでいる状況を、風評払拭につながる形で発信する。
④東京電力福島第一原子力発電所等に関する情報
東京電力福島第一原子力発電所の現状について正確な情報が伝わっていないことによって、福島県の現状等に対する不安が拭えない場合もある。
そのため、廃炉・汚染水対策については、世界の叡智・技術を結集しつつ、国が前面に立って安全かつ着実に進めていることについて、関係府省庁における発信媒体の性質などを踏まえ、必要に応じて簡潔に分かりやすい情報発信を行う。
 

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