2010年2月8日 第1回中央行動 質問書への回答と質疑
◆放射線管理手帳に労災関連法規を記載することについて
厚労省は、「所管ではなく、記載内容について我々の方からああしますこうしますという立場にない」としながらも、「こう云った考え方は当然のことながら我々も受け入れるべきもの」と高く評価しました。
また厚労省は、「我々としては、労災保険制度の内容、申請の方法、申し立て制度等、どういう周知の方法があるか。今後とも必要な情報の周知を考えていきたい。」と述べました。
私達の目的は、労災補償の制度、申請方法、異議申し立て方法など、原発労働者が、病気になった場合すぐに労災申請が出来るような内容にし、放射線管理手帳が、労働現場での安全・衛生管理に確実に役立たせることです。
具体化に向け、今後、所管の文科省との交渉を行います。
また、厚労省には、労基署や事業所での周知徹底を求めていきます。
参考 電離放射線障害防止規則
第一条 事業者は、労働者が電離放射線を受けることをできるだけ少なくするように努めなければならない。
第五十四条 事業者は、前条第一号の管理区域について、一月以内(放射線装置を固定して使用する場合において使用の方法及び遮へい物の位置が一定しているとき、又は三・七ギガベクレル以下の放射性物質を装備している機器を使用するときは、六月以内)ごとに一回、定期に、外部放射線による線量当量率又は線量当量を放射線測定器を用いて測定し、その都度、次の事項を記録し、これを五年間保存しなければならない。
◆労災申請、認定の状況を年度ごと、都道府県ごとに公表することについて
厚労省は、平成20年度に6労働局で7件の原発被曝労災申請があった事(北海道、兵庫、島根、長崎、宮崎各1件、福井2件)、労災認定が大阪で1件あった事を公表しました。
単年度に7件もの労災申請があるという、被曝労働の深刻な健康被害の一端が明らかになりました。
厚労省が労災申請の件数を公表したのは初めての事です。これまでは不支給決定となった事例は本省に報告されないシステムであった(2009年2月20日、厚労省)とされています。
厚労省は、疾病については「個人の特定につながる」として、公表を拒否しました。労災申請の疾病は労災対象疾病の例示の抜本的な拡大について議論するうえで大切なことです。私達は、疾病の公表を求めていきたいと考えます。
今後も申請と認定について、具体的に公表させ、被曝労働者の健康被害をより明らかにしすることが、労災対象疾病の抜本的に拡大と、政府に健康管理手帳の交付につながると考えます。
1年に7件の労災申請という公表結果から改めて、過去に喜友名さん以外にも労基署で不当な扱いをされた事例があったのではないか、それを明らかにすることについても可能性を追求したいと考えています。
◆JCO事故周辺住民健診の継続について
下記の質問に対して
国の委託で茨城県・東海村・那珂町が行う住民健康診断が、JCO臨界事故の翌年から毎年実施され、毎年300名前後の住民が受診してきました。2005年の茨城県の住民アンケートで回答の90%が継続を希望しています。原子力災害関連周辺住民健康診断は原子力安全等推進基金から3億円が充当され、事業期間はH13〜H80となっています。茨城県知事は臨界事故10年の記者会見で、「周辺住民の健康診断についてはできるだけ継続していきたいと思っております。不安を訴える人がいないという状況になれば別でありますが、当面は続けていくつもりです。」と語っています。「関係者が存命中は継続する」との担当部局の県議会答弁もあります。 |
文科省は、「県の意向を尊重するというのは当然のことでございまして、引き続きこういった診断等継続してまいりたいと考えております。」と回答しました。
事故後10年、国に継続を明確に表明させた事は大きなことです。
◆精密検査について
文科省は、がん検診の結果の精密検査は周辺住民健康診断の目的の「不安解消」の範囲外であるとして、精密検査の無料化も精密検査の結果の検討も拒否しました。私達は、例えば白血病が出たら労働者なら労災認定される被曝レベルの人もいる。全く評価をしない扱いは不当と反論しました。
◆JCO事故の被曝労働者の健康管理について
こ回答については、交渉の折衝段階で内閣府と厚労省が担当を譲り合い、この問題が忘れ去られた状態であることを露呈しました。事故から10年後、この交渉で初めて、JCO臨界事故の被曝労働者の健康管理に光が当たりました。離職者は、遠隔地在住者を含めて健康診断を受診していること、費用はJCO負担であることが明らかになりました(文書回答2月9日)。健康診断にがん検診が含まれているかなど引き続き問題にしていきます。
◆労規則35条の例示疾病の拡大について
私達は、労災認定されたものを例示に加えていくという現在のやり方ではなく、外国も含めて放射線起因性の認められている疾病をすべて例示せよと主張しました。厚生労働省は、「新しい疾病が出てくれば、その都度検討している。」と答えるのみで、議論はすれ違いに終わりました。
健康管理手帳の交付とあわせて、今後も粘り強く交渉を重ねます。
◆情報公開について
個人情報保護を理由に、原発被曝労災の申請・認定の公表については、件数以外の疾病や被曝線量については公表を拒否しました。また、業務上外に係る検討会開催要綱から疾病、施設、業務、労働局が消えたことについては、開催案内に労働局を明記するとの回答に終わりました。