国の責任による福島原発事故被害住民と被ばく労働者の健康・生活保障、
原発再稼働中止、を求める要請書提出と政府交渉(2016/8/23)
要請書に団体賛同を! 政府交渉に参加を! 案内チラシ・要請書 質問書 要請の根拠
フクシマ原発重大事故は東北・関東の広大な地域(2011年8月で約400万人以上居住)を放射線管理区域相当の高濃度に放射能汚染し、事故から5年後の今もなお破壊された炉心から大量の放射能が地下水、海水、大気へ漏れ続け、事故は未だ収束していません。
安倍政権は福島原発重大事故の国の責任を認めず、事故被害者の救済を行おうとせず、逆に20mSv基準による一方的な避難指示解除と住宅支援・賠償打ち切りなど被害者の切り捨てを進めています。
政府は再稼働反対の国民の声を無視し、原発再稼働・原発推進政策を進めています。福島第一原発では危険で劣悪な環境下の作業に多数の労働者が低賃金で動員され、労働者の被ばくが増大し続けています。
8月23日、私たち9団体は国に対し、福島と近隣県の事故被害者の生存権・健康権・生活権など憲法や日本も批准をしている国際人権諸条約に保障された人権が著しく侵害されていることに抗議し、「国の責任による福島原発事故被害者と被ばく労働者の健康・生活保障と原発再稼働中止を求める要請書」を提出し、政府交渉を行います。
要請事項骨子
1.国の責任により甲状腺医療費を生涯無料化し、甲状腺に係る健康手帳を交付せよ
2.国の責任により福島県民健康診断の拡充と医療費の無料化を行え
3.20mSv基準による一方的な避難指示解除と住宅費支援打ち切り・賠償打ち切りを撤回せよ
4.国の責任で、近隣県の汚染地域住民の健康診断・医療保障を行え
5.国の責任による福島原発被害者への健康手帳交付など被爆者援護法に準じた法整備を行え
6.福島原発事故汚染土の8000Bq/kg(=クリアランスレベルの80倍)以下の公共事業再利用を撤回せよ
7.緊急時作業被ばく限度の250mSv引き上げ省令を廃止せよ。原発再稼働を中止せよ
8月23日 会場:参議院議員会館B107 午前10時集合(ロビーにて通行証配布)
午前の部(質問事項6、7)
10:10〜10:25参加者交流・打ち合わせ 10:30〜12:00厚労省、経産省、環境省、原子力規制庁との交渉
午後の部(質問事項1〜5)
13:00〜13:25参加者交流・打ち合わせ 13:30〜15:00環境省、復興庁との交渉
15:20〜16:00交渉まとめと意見交換
呼びかけ:脱原発福島県民会議、双葉地方原発反対同盟、原水爆禁止日本国民会議、原子力資料情報室、全国被爆2世団体連絡協議会、反原子力茨城共同行動、原発はごめんだヒロシマ市民の会、チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西、ヒバク反対キャンペーン
紹介議員:福島みずほ参議院議員
経過
国には、国策として原子力を推進し、福島原発事故を招き、広大な地域を放射汚染し、住民に被害をもたらした重大な責任があります。しかし、国はそれを明確には認めず、国の責任による原発事故被害者の救済は行われていません。
事故発生当時、政府は年間20ミリシーベルト(mSv)以下では避難の必要がないとし、事故発生から今日まで多数の住民が放射能汚染の環境下での生活を強いられてきました。政府の20mSv基準で避難指示となった地域と放置された地域での賠償額の違い、避難指示区域外から自主避難した人と留まった人の違い等で被害者に分断が持ち込まれ、被害者は苦しめられてきました。
2012年6月に成立した「子ども・被災者支援法」は、2013年10月の基本方針において「法第8条に基づく支援対象地域」を浜通りと中通りの33市町村に限定するなど、被災者や自治体の要求が反映されず、「骨抜き」されました。
その後、「法第13条による近隣県を含めた健康診断や医療費減免」についても、国連科学委員会(UNSCEAR)の2013年報告書を基礎とする2014年12月の「環境省における当面の施策の方向性」には現行の「福島県の県民健康調査の『甲状腺検査』の充実」以外に健康診断などの健康管理や医療費減免の具体的支援施策はなく、一層「骨抜き」されました。
私たち9団体は、2011年5月の「住民と労働者の安全と健康を守り、生じた被害の補償を求める要請書」を軸に、国の責任で福島原発被害者に健康手帳を交付し健康診断・健康保障・生活保障を行うこと、被爆者援護法に準じた国の責任による福島原発被害者救済の法整備を行うことを一貫して要求してきました。
運動の中で2011年9月に引き出した、内閣府被災者生活支援チームの文書回答「原発事故の原子力事故被災者の健康確保について、最後の最後まで、国が前面に立ち責任を持って対応してまいる所存です」はその後反故にされてきました。
福島県の甲状腺検査の結果「要経過観察」や「手術」などで通常診療に移行した人のうち、19歳以上の人は県の医療費支援の対象外となり、多くの人が医療費負担に苦しむ事態となりました。私たちは2014年から2015年にかけて甲状腺医療費無料化を求める全国署名運動に取り組み、無料化を勝ち取りました。現在福島県の「県民健康調査甲状腺検査サポート事業」として実施されています。私たちはこれにとどまらない、国の責任による窓口負担のない生涯にわたる無料化を求めていきます。国の責任で生涯無料の甲状腺検査を受けられることを保障し、医療費支援を受ける権利を明記し、甲状腺検査結果を記録する、「甲状腺検査に係る健康手帳」の交付を求めていきます。
更に、近隣県で自治体や民間団体が独自に行っている甲状腺検査を含む健康診断に対する国の支援と拡大などを国の責任で行わせることが課題です。
政府は、重大事故が起こりうることを前提にした原発再稼働・原発維持の一環として、「原発重大事故時に緊急時作業被ばく限度を250mSvに引き上げる」省令改悪を強行し、2016年4月1日施行しました。私たちは2015年から2016年にかけて、原発再稼働反対と結んで、22団体の呼びかけで、全国署名運動に取り組み、労働者を中心とする17万余筆の反対の声を政府に集中しました。250mSvは広島原爆の爆心から1.7km遮蔽なし被ばくに相当します。労働者の人権を踏みにじる改悪省令の廃止を目指し、今後も取り組んでいきます。
政府は昨年から20mSv基準による避難指示解除を加速しています。昨年6月、帰還困難区域以外の地域の避難指示を2017年3月までにすべて解除するとの方針が示され、これらの地域住民の精神的損害賠償は2018年3月で打ち切られ、自主避難者に対する災害救助法によるみなし仮設住宅の支援が2017年3月で打ち切られます。
福島原発事故の被害者切り捨てを許してはなりません。
私たちは、国が「福島原発事故の国の責任」を認めず、被害者の救済を行わず、福島と近隣県の事故被害者の生存権・健康権・生活権など憲法や日本も批准をしている国際人権諸条約に保障された人権が著しく侵害されていることに強く抗議し、国の責任により福島原発事故被害者と被ばく労働者の健康・生活保障を行うこと、原発再稼働を中止すること、を求めます。
これまでの取り組みを引き継ぎ、福島をはじめ全国の皆さんと連帯して対政府の運動を強めていきます。