2012年1月30日の第3回交渉を踏まえた再質問と政府回答
1(1)国は行動調査の回収率が低いことを深刻に受け止め、ただちに「国策として原発を推進してきた国が責任を持って、生涯にわたり県民の健康を保障する」と県民に表明すべきです。見解を示して下さい。
回答:行動調査の回収率については、福島県がその向上に向けた対策を実施していらっしゃる一方、国としても、回収率向上に取り組んでいるところです。福島県民の皆様の健康管理は重要と考えており、引き続き、福島県とも連携し、県民健康管理調査が確実に実施されるよう努めるなど、国としても福島県民の健康管理について万全を期してまいります。
1(2)健康管理ファイルにそれを明記することを改めて求めます。下記2点を踏まえて再回答ください。
@第一義的には実施責任は国にあり、「健康管理ファイル」に国の基本姿勢が記載されることは当然、と私たちは考えます。
A今問題になっているのは、単なる調査に過ぎないのではないか、治療迄含めて国の責任で健康保障されるのかということです。行動調査の書き方が難しいことだけではありません。
回答:県民健康管理調査は、福島県が主体となって実施しているものであることから、政府として、福島県に対し、そのような記載を求めることは考えていません。
行動調査関連の追加質問
福島の参加者から「提出した行動記録が戻ってこない」との指摘がありました。行動記録は被曝線量推定の証拠としてフィードバックされるべきではないですか。
回答:福島県によれば、「行動調査票そのものをお返しすることは考えておりませんが、同調査票に基づいて行った被ばく線量の推定結果については、各個人にお知らせすることとしています。」とのことです。なお、調査票については、県立医科大学において、長期にわたって原本又は複製(未定)を保管、管理することとしていると聞いております。
1(4)国は原発推進の政策の結果事故を引き起こし住民を被曝させた責任を負うことを明記し、国の責任による健康手帳の交付、生涯にわたる健康管理、医療費の無料化、被害者の生活保障を内容とする、被曝者援護法に準じた特別立法が必要と考えます。国の見解を示して下さい。
この事項に対する回答がありませんでした。ご回答ください。
未回答
1(5)周辺県からも健康調査の要求が出ており、国の責任で実施すべきです。見解を示して下さい。
地元からの参加者から「宮城の健康調査について国が責任を持ち継続してほしい」との要請がありましたが、時間切れで、政府からのコメントはないまま終わってしまいました。県の判断任せでなく、汚染地に生活する人々が納得できる説明をして下さい。
回答:今般の原発事故で、宮城県をはじめとした福島県に隣接している県の住民の方の中に、現在及び将来の健康について大きな不安を抱いておられる方がいらっしゃることは認識しています。国としては、そうした不安を払拭するためにも、環境モニタリングデータや地元自治体のニーズ等を踏まえて、専門家によるリスクコミュニケーションなど必要な対応について、関係府省とも相談してまいります。
2.福島復興再生特措法に、国は原発推進の政策の結果事故を引き起こし住民を被曝させた責任を負うことを明記し、「国の責任による、食品を含む生活環境の除染と線量の継続したきめ細かな調査・公表、子供が安全に生活できるよう生活環境の徹底した被曝低減、生涯にわたる健康管理、医療費の無料化、被害者の生活保障、健康手帳の交付」等の措置を盛り込むことを求めます。見解を示して下さい。
再質問:「国は原発推進の政策の結果事故を引き起こし住民を被曝させた責任を負うことを明記」に関しては回答がありませんでした。回答を求めます。
未回答
追加質問:福島県復興計画(昨年12月)の基本理念で挙げられている、「脱原発」、「原子力に依存しない社会」は、福島復興再生特措法に文言として盛り込まれるのですか。
未回答
3(1)移住を希望する人に関しては国と東電の責任で支援・補償すべきです。見解を示して下さい。
回答:文部科学省が設置している原子力損害賠償紛争審査会では、原子力災害対策本部.が避難指示区域等の見直しに関する考え方を示したことを踏まえて、避難指示区域見直し後の損害賠償の考え方について検討中。
3(3)年1mSv以下を長期目標ではなく早急に達成すべきです。工程表を示して下さい。
未回答
4.流通食品に検査結果とその検出限界を表示すること
@「慎重に検討したい」との回答で、検討の観点について補足説明がありました。これについて整理してご説明ください。
A厚労省は検査結果を全て公表するとの意向でした。これとの関係を上記説明に加えて下さい。
回答:表示の偉頼性を担保するためには、個々の食品がもっている正確な数値を記載することが前提です。そのためには個々の食品の全数検査を行う必要がありますが、現状において事業者に個々の食品に対する全数検査を義務付けることは現実的ではありません。したがって、表示の義務付けも難しく、慎重な検討が必要であると考えます。
なお、追加補足事項Aについて、当該検査はモニタリング検査(抽出検査)であり、全数検査ではありません。したがって、当該検査結果は個々の食品の正確な数値と必ずしも同一ではありません。このため、当該検査結果が全て公表されるからといって、個々の食品に放射性物質の検査結果を表示することができるようになるわけではありません。
5(1)「ステップ2達成」以降、福島原発の緊急作業は「特にやむを得ない」緊急作業ではなくなっています。
平成23年4月28日付け基発0428第1号は、現在では、どのような緊急作業従事者について適用されているのですか。従事開始時期で区分されるのかなど明らかにして下さい。
回答:ご指摘の通達は、東電福島第一原発での12月16日以降の作業による被ばく線量には適用されません。
5(2)(@)健康診断に50mSvなどの閾値を設けることは、「人体が受ける線量が電離則に定める限度以下であっても、確率的影響の可能性を否定できない」とする厚労省の見解(例えば平成13年3月30日付け基発253号)にも反し、不当です。見解を求めます。
再質問:@交渉の場では、健康診断等の対象となる条件が50mSvなどと定められた根拠が伝わってきませんでした。明確な再回答をお願いします。
再質問:A「放射線による確率的影響は線量限度以下であっても可能性を否定できないからといってすなわちあらゆる健康障害が放射線による確率的影響であるとみなせる、即そうみなせるわけではございません。」と反論(?)されましたが、50mSv以下の作業者はすべて手帳交付・離職後の健康診断の対象外とされており、平成13年3月30日付け基発253号の見解は全く反映されていません。これでは「可能性を否定」してしまっており、「限度以下であっても、確率的影響の可能性を否定できない」とする厚労省の見解に反しています。見解を示して下さい。
再質問:B緊急作業者が福島第一原発以外の原発で、過去に受けた、あるいは緊急作業以後受ける線量は、手帳交付や各種健康診断対象の条件50mSv、100mSv等に含まれるのですか。
再質問:C手帳交付や各種健康診断対象の条件50mSv、100mSv等に「集合から現場への移動時及び待機時の線量」、「通勤途上の線量」、「居住地域の汚染による線量」などは含まれるのですか。
回答:指針では、50mSv以下(通常の放射線業務における線量限度内)の方に関する健康診断は、通常の放射線業務と同じとしています。その上で、緊急作業において通常の放射線業務の被ばく限度(1年50mSv)、引き上げ前の緊急作業の限度(100mSv)を超えた方を対象に追加する項目を示しています。
なお、このような考え方から、緊急作業に従事している間に受けた線量が対象であり、通常の放射線業務において過去に受けた線量、緊急作業から離れた後の線量は含まれません。
Jヴィレッジと東電福島第一原発を移動する間の線量は含まれています。