「18歳以下医療費無料化支援を見送った国への抗議」、「福島からの要請」への回答要請書と政府回答
1.見送りの理由は一部新聞等で報道されていますが、正確にすべて示して下さい。
回答:福島県の18歳以下の医療費無料化については、関係閣僚の間でも熟慮を重ねたが、国の医療制度全体の根幹に影響を与えるなどの課題もあり、政府としては対応が難しいとの結論に至った。政府としては放射線被曝の低減や健康管理対策を通じ、引き続き、福島の将来を担う子どもの健康管理に万全を期してまいりたい。
2.私たちは、福島事故被災者の健康保障は、線量モニタリングと被曝線量の推定、精密検査を含めて無償の健康診断、健康相談を含む治療体制の確立と医療費の無償化が必須と考えます。また、その実現・生涯にわたる実施について、国が直接責任を負っていると考えます。
(1)福島事故被災者の健康保障について国はどのような内容を考えているのですか。なお、健康管理と健康保障は区別して下さい。
(2)その実現・生涯にわたる実施に対する国の責任についてどのように考えているのですか。
回答:2月10日に今国会に提出した福島復興再生特別措置法案においては、放射線に関する健康上の不安の解消など、住民が安心して生活できる環境の実現のための施策を規定している。
具体的には、
・健康管理調査の実施に関する措置 ・農産品等の放射線濃度の測定 ・除染の迅速な実施 ・児童等の被ばく放射線量の低減のための措置 ・放射線の人体への影響等に関する調査研究の推進 ・医療及び福祉サービス確保のための施策 等の施策を盛り込んだところ。法案に盛り込んだ施策にしっかりと取り組み、放射線被ばくに対する不安解消に必要な措置を講じて参りたい。
3.私たちは、被災者の健康保障を国の責任で実現・実施するためには、放射線の影響を受けやすい子どもを対象とする「18歳以下医療費無料化」は欠かせないものであると考えます。国は「18歳以下医療費無料化」をどのように位置付けているのですか。
回答:1に同じ
4.国が政策として支援を見送るとした上で県が独自に実施することになれば、国は責任を県に負わせたことになります。必要な費用の一部に基金が充てられるとしても、それは変わりません。この指摘に対して見解を示して下さい。
回答:1に同じ
5.県外避難者の「健康保障」が切り捨てられる事について
(1)国はどのように考えますか。
(2)このような事態を避けるためには、国の責任で「18歳以下医療費無料化」を行うことが必要であると考えます。見解を示して下さい。
回答:1に同じ
6.支援見送りは、「原子力被災者の健康の確保について、最後の最後まで、国が前面に立ち責任を持って対応してまいる所存です。」との文書回答(内閣府被災者生活支援チーム、9月30日)に反するものです。これについて国の見解を示して下さい。
回答:「原子力被災者への対応に関する当面の取組方針について」(原子力災害対策本部(平成23年5月17日公表))に記載しているとおり、「復興までの道のりが仮に長いものであったとしても、最後の最後まで、国が前面に立ち責任をもって対応してまいります。」との国の基本的な方針の下、原子力被災者の健康管理などの支援を行っているところ。引き続き、原子力被災者の健康管理に万全を期すべく必要な対応をしてまいりたい。
7.「福島からの要請」(当日口頭陳述)で指摘されている事項について、
(1)「放射線管理区域相当の汚染地に生活しているなど福島県の子供の置かれている状況」について、国の見解を示して下さい。
(2)「18歳以下の医療費無料化を切に望む」という現地の住民の声に対して、国の見解を示して下さい。
回答:今般の原発事故で、子供をはじめ福島県の住民の方々の中に、現在及び将来の健康について大きな不安を抱いておられる方がいらっしゃると認識している。福島県における18歳以下の医療費無料化については、関係閣僚の間でも熟慮を重ねたが、国の医
療制度全体の根幹に影響を与えるなどの課題もあり、政府としては対応が難しいとの結論に至った。政府としては、放射線被ばくの低減や健康管理対策等を通じ、引き続き、福島の将来を担う子供の
健康管理に万全を期してまいりたい。
8.見送り方針の撤回について、その後、国会も含めて様々な場で要請の声が高まっています。私たちは、国が「原子力被災者の健康の確保について、最後の最後まで、国が前面に立ち責任を持って対応してまいる所存です。」との文書回答(内閣府被災者生活支援チーム、9月30日)に立ち返り、「見送りの方針」を撤回することを強く求めます。現時点での見解を示して下さい。
回答:1に同じ
福島からの要請(双葉地方反原発同盟、石丸小四郎)
私、只今ご紹介をいただきました石丸と申します。第一原発と第二原発の間、10キロございますけども、ちょうど中間地点より第2原発鳥寄りに生活をしておりまして、郡山、そして秋田、そしていわき市で避難生活を送ってはや10ヶ月になっております。福島県全体が今病み苦しみ衰えているというのが現状でございます。そしてわたしどもの周りの健康でそして自立した生活をしていた高齢者の皆さんが次々と倒れ、死す人も大変多くございます。私ども富岡町では前年度比3倍というふうに言われております。そういう状況の中で先日18歳以下無償化支援を見送ったことに抗議および支援見送りの撤回要求を読ませていただきます。
一言付け加えさせていただきますと、この新聞、1月29日の新聞です。県独自に無料化、国断念受け知事が表明、これ県が独自に無料化を行うということで済まされる問題ではありません。先ほどの抗議文の中にありましたように国の基本的な姿勢がこの中に表れるわけでありますから、ここはですね、ぜひ支援の見送り撤回を改めて求めるところであります。それからこれ既に皆さんご存じと思いますが、この新聞記事を見ていただきたいと思います。これは文部科学省によるセシウム137、134の航空機モニタリング調査結果であります。これ見ていただきますと濃緑の部分ですけども、これ福島県土の3分の2が4万ベクレル1平方メートル当たり、これは原発内の放射線管理区域と同等の値を示すわけであります。福島県にはそれ以上汚染された県土になっているということは、この事実を重く重く受け止めていただきたい。
そして、この10ヶ月あまりこの汚染を裏付ける現象が続いております。県内産米から基準値を超すセシウムが検出されました事は既にご存じのことであります。それから、北海道から神奈川の沿岸海域海産物2000点からセシウムが検出されております。山に住むイノシシ、シカ、これからも高濃度のセシウムが検出されております。さらにヤマメ、イワナ、淡水魚からも検出されております。そして、浪江町の採石場から5280トンの採石に含まれる、そしてこれが1000か所に散らばっております。さらに薪からも検出されております。これを見ますと福島県がいかに汚染をされているかということが改めて論証されるわけであります。この事実も重く受け止めていただきたいと思います。
とりわけ私どもが18歳以下の医療費無料化を求めている最大の問題というのは、福島県が放射線モニタリングによって小中学校の放射線の調査をいたしました。そしたら、75.9パーセントが放射線管理区域に当たるわけです。その中で20.4パーセントが年20ミリシーベルト以上です。原発の事故前にはあの第一原発でさえ年20ミリシーベルト以上被曝した労働者は過去10年間で皆無だったんです。それが福島県の学校の20.4パーセントがそういう状況にある。皆さんこれ想像して下さい。自分の家族、自分の子ども、孫が放射線管理区域と同等、18歳未満は立ち入り禁止であり、ウンチもオシッコも、ご飯も勿論とることができません。そういうところで生活をしている。これを想像していただければ、わたしどもがこの無料化案に対するいかに切望が強いものかについてご理解をちょうだいできるんじゃないかと思っております。
そして最後に申し上げます。政府の事故調査検証委員会は12月26日に中間報告を出しました。これによって改めて申すまでもなく事業者と国の重大な瑕疵が指摘されております。従いまして、国はこの原発事故に至らしめ、県土の3分の2を放射線管理区域に、150万人の県民30万以上の子どもたちが生活している、この現状を省みて、十分に推察されて、制度の確立をぜひ切望することを申しあげまして福島からの要請にさせていただきます。