すべての被曝労働者への健康管理手帳交付と労災補償の拡大を実現しよう!
福島第一原発の緊急時作業従事者、白血病労災認定
2017年12月13日、福島原発の緊急時作業に従事した男性の白血病が労災認定されました。
報道によると、この男性は、1994年から2016年2月まで19年あまり福島第一原発で東電社員として放射線業務に従事しました。
2011年3月の事故発生時には津波の被害の確認や電源喪失で冷却ができなくなった1号機や3号機に注水する作業にも関わりました。
積算被ばく線量は約99mSvのうち、約91mSvが事故発生から2011年12月までの緊急時被ばく作業における被ばくでした。
2017年12月13日に開催された厚生労働省の検討会が「業務上」との結論を出しました。
事故後の福島第一原発で作業に従事した労働者の白血病労災認定としては3例目です。
1例目 |
2011年11月〜2013年12月の1年半建設会社社員として玄海、福島第一で作業。19.8mSv被ばく。 そのうち2012年10月以降の1年1カ月間は、福島第一原発で作業。15.7mSv被ばく。 会社を辞めたあと、2014年1月に白血病と診断される。2015年10月20日に労災認定。 |
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2例目 |
2011年4月〜2015年1月の3年9カ月間機械修理会社社員として福島第一で作業。約99mSv被ばく 2015年1月に健康診断で白血病と診断され、2016年8月19日富岡労基署が労災認定 |
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3例目 |
1994年〜2016年2月の約19年間、東電社員として福島第一で作業。約99mSv被ばく。 うち、約91mSvが事故発生から2011年12月までの緊急時被ばく作業による。 2016年2月に健康診断で白血病と診断され、2017年12月13日、厚労省検討会が業務上と結論 |
原発被ばく労働者の白血病では9例目、全疾病では17人目の労災認定。
これまでに白血病で労災認定された8人の原発被ばく労働者
疾病 | 白血病 | ||||||||
被曝線量(mSv) | 40.0 | 72.1 | 50.0 | 129.8 | 74.9 | 5.2 | 19.8 | 54.4 | 99 |
認定(年) | 1991 | 1994 | 1994 | 1999 | 2000 | 2011 | 2015 | 2016 | 2017 |
労働局 | 福島 | 兵庫 | 静岡 | 茨城 | 福島 | 福岡 | 福島 | 福島 | 福島 |
これまでに多発性骨髄腫、悪性リンパ腫、甲状腺がんで労災認定された8人の原発被曝労働者
疾病 | 多発性骨髄腫 | 悪性リンパ腫 | 甲状腺がん | |||||
被曝線量(mSv) | 70.0 | 65.0 | 99.8 | 78.9 | 175.2 | 138.5 | 173.6 | 149.6 |
認定(年) | 2004 | 2010 | 2008 | 2010 | 2011 | 2013 | 2013 | 2016 |
労働局 | 福島 | 福岡 | 大阪 | 長崎 | 神奈川 | 福島 | 兵庫 | 福島 |
2016年の甲状腺がん労災認定は、1F労働者です。
2016年12月16日、福島第一原発の緊急時作業に従事した男性の甲状腺がんが富岡労基署で労災認定された。 この男性は、1992年から2012年まで20年間、福島第一原発など複数の原発で原子炉の運転や監視業務などに従事し、累積149.6ミリシーベルト(mSv)被ばくした。 2011年3月から2012年4月まで、福島第一原発事故の緊急時作業・収束作業(水量計や圧力計などの確認、注水ポンプなどの燃料補給など)に携わった。1号機と3号機の原子炉建屋の水素爆発時も敷地内で作業に当たっていた。 この期間の被ばく線量は139.12mSvで、うち約40mSvは内部被ばくであった。 東電は甲状腺等価線量と全身実効線量の換算係数として1/20を使っているので、この男性の甲状腺等価線量は800mSvとなる。 2014年4月に甲状腺がんと診断され、既に切断手術を受け職場復帰し、現在も通院を続けている。 |
この他に、1999年JCO臨界事故により高線量被曝した3人の急性障害が労災認定されています。
JCO臨界事故で労災認定された3人
疾病 | 急性放射線症 | ||
被曝線量(Sv) | 16〜20 | 6.0〜10 | 1.0〜4.5 |
認定(年) | 1999 | ||
労働局 | 茨城 |
事故後の福島第一原発作業者から16件の労災申請
今回認定された件を含め、事故後の福島第一原発の作業従事者から16件の労災が申請されています。
労災認定4件(白血病3件、甲状腺がん1件)、不認定5件、調査中5件、取り下げ2件となっています。
50mSv超え緊急時作業従事者に限定した「手帳交付」の問題点が浮き彫りに
福島第一原発の緊急時作業従に約2万人が従事しました。政府は50mSvを超えた約900人に限定して労働安全衛生法66条に基づく健康管理の「手帳」を交付しています。人数で4.5%、集団線量で30%にすぎません。
今回白血病 労災認定された方は「手帳」交付の対象外です(厚労省に確認済み)。一人も残さず健康管理し、早期発見するために、国は福島第一原発の緊急時作業従事者全員に「手帳」を交付すべきです。
2016年4月から7か月で52人が20mSvを超える被ばく
放射線管理期間が切り替わった2016年4月から7か月で、福島第一原発では、早くも52人が(5年100mSvの限度相当の)20mSvを超える被ばくをしています。
この52人は全員が下請け労働者です。
区分(mSv) | H28.4月〜H28.10月 | ||
東電社員 | 協力企業 | 計 | |
100超え | 0 | 0 | 0 |
75超え〜100以下 | 0 | 0 | 0 |
50超え〜75以下 | 0 | 0 | 0 |
20超え〜50以下 | 0 | 52 | 52 |
10超え〜20以下 | 2 | 368 | 370 |
5超え〜10以下 | 25 | 804 | 829 |
1超え〜5以下 | 286 | 3701 | 3987 |
1以下 | 1254 | 7334 | 8588 |
計 | 1567 | 12259 | 13826 |
最大(mSv) | 11.03 | 36.21 | 36.21 |
平均(mSv) | 0.74 | 1.82 | 1.69 |