公衆の被ばく線量限度年間1ミリシーベルトは法令で守られている

放射線被ばくを規制する現行法体系は、ICRP1990年勧告を取り入れて、2001年4月から施行されています。
この現行法体系で、公衆の被ばく線量限度は年間1ミリシーベルトとして、原子炉等規制法および放射線障害防止法に基づく法令で守られています。

この問題に関して政府は、山本太郎参議院議員の「放射線被曝防護に関する」質問主意書に対する答弁書(2013年10月29日)において、
「一般公衆の被ばく線量限度の規制は設けられていない。国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告等を参考に、原子炉等規制法や放射線障害防止法等において、内部被ばく及び外部被ばくを考慮して、原子炉施設の周辺監視区域外等における線量限度を年間一ミリシーベルトと規定している。」
との見解を示しています。

環境省の「放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料」にも同様の記載があります。
「線量限度の規定はない(事業所境界の線量限度、排気排水の基準は1mSv/年を基に設定している)」

答弁書に記載された政府の見解は間違っています。

誤りの要点は、現行法体系の仕組みと切り離して、機械的に「一般公衆の被ばく線量限度の規制は設けられていない。」としている点です。

これは、現行法のもととなっている放射線審議会の「ICRP1990年勧告(Pub.60)の国内制度等への取入れについて(意見具申)」(1988年6月)を見れば明らかになります。

ICRP1990年勧告の取り入れに際して放射線審議会が1998年6月に提出した意見具申には、公衆被ばくに対する線量限度について、「取入れに当たっての基本的考え方」が次のように記載されています。
Ⅴ.公衆被ばくに対する線量限度
1.1990年勧告の基本的考え方(省略)
2.現 行
(1)


1985年のパリ声明で示された公衆の構成員に関する主たる実効線量当量限度の値である年1mSvを取り入れ、これを規制体系の中で担保することとしている。なお、病室や特に認められた場合には年5mSvとすることも許されている。
(2)及び(3)は省略
3.取入れに当たっての基本的考え方
(1)


公衆の被ばくに関する限度は、実効線量については年1mSv、組織に対する線量限度については、眼の水晶体に対する線量限度を年15mSv、皮膚に対する線量限度を年50mSvとし、これを規制体系の中で担保することが適当である。
    このためには、施設周辺の線量、排気・排水の濃度等のうちから、適切な種類の量を規制することにより、当該線量限度が担保できるようにすべきである。

2019年6月12日の政府交渉で、原子力規制庁は、公衆の被ばく限度年1ミリシーベルトが法令で守られていることについて、公衆の被ばく線量限度を担保するために線量告示が定められていると認めました。
(1)確認したこと
①放射線審議会の意見具申の内容:取り入れに当たっての基本的考え方(1)
 公衆の被ばくに関する限度は、実効線量については年1mSv、組織に対する線量限度については、眼の水晶体に対する線量限度を年15mSv、皮膚に対する線量限度を年50mSvとし、これを規制体系の中で担保することが適当である。
 このためには、施設周辺の線量、排気・排水の濃度等のうちから、適切な種類の量を規制することにより、当該線量限度が担保できるようにすべきである。

②山本太郎参議院議員の「放射線被ばく環境下における居住に関する質問主意書」に対する政府答弁書
・線量告示についての記載の確認
 (核原料物質又は核燃料物質の製錬の事業に関する規則等の規定に基づく線量限度等を定める告示)
原子炉施設の周辺監視区域外における一般公衆の被ばく線量が年間一ミリシーベルト以下となるように放射能濃度等の限度を定めているものであり

・放射線審議会の意見具申との関係について、
 「線量告示は放射線審議会の意見具申を踏まえて作成している」と回答。
司会:

「これは①の取入れに当たっての基本的考え方に一致しています。」というのは私たちの理解なんですけども、これはどうでしょうか。
規制庁:


②番の四角かこみの中にある部分は、そもそも線量告示というものはですね、書かれていること、これが、その放射線審議会から頂いた意見具申というものを踏まえて作成をしているというところは、その通りでございます。

(2)公衆の被ばく限度が法令で守られている(担保されている)ことについての質疑
・原子力規制庁は、「公衆の被ばく限度(年1mSv)は法令で担保されている」に同意しました。
司会:




あなたの見解、おかしいんですよ。私が聞いているのは最終的に法規制体系の中で担保すべきであるという意見具申が出て、それに従って取り入れた法体系がね、ICRP90年勧告を取り入れた法体系が、実際に公衆の被ばく限度を担保していないとしたら、これおかしなことですよ。立法府として無茶苦茶なことをしているんじゃないですか。そんなことありえないことでしょう。
参加者: 意見具申は守らないのですか。
規制庁:


申し訳ございません、同じ回答になってしまいますけれども、それを担保するために原子炉等規制法に基づいて線量告示を定めておりまして、その中では原子力施設から放出される放射性物質について周辺監視区域外で、あくまでも原子力施設から放出される・・・
  <途中省略>
司会:


公衆の被ばく限度は、だから、法令で守られているということになりますね。担保するために作ってあるんだから。要するに法令で守られていると。担保ということは日本の法律で守るということでしょう。具体的には線量告示を出して守っているわけでしょう。
規制庁: あのたぶんいいんですけども、あくまで原子力施設から放出される・・・
・担当者は、あくまで原子炉施設から放出される放射性物質に限りとこだわり、それ以上広げた確認は無理と判断。