住民・議会の声を聴かず、一方的に特例措置の見直し内容を決定

2021年11月26日、避難指示地域住民の医療費一部負担及び保険料の無料化措置の見直しについて政府が自治体との協議に入ったと報じられた。
【朝日新聞報道抜粋】復興庁は11月に入り、関係自治体に支援策の見直し方針案を示し、協議を開始。方針案によると、見直しの対象は、避難指示が17年4月までに解除された福島県内の11市町村。1年間の周知期間の後、減免の割合を段階的に縮小、複数年かけて最後は廃止する。

2022年3月1日、西銘復興大臣合同インタビュー
【3月2日福島民友報道抜粋】―医療費などの減免措置について、早ければ2023年度からの段階的な縮小を検討しているが、地元の理解を得られると思うか。
厚生労働省と連携して具体案を検討中だ。見直し案を作成後、市町村に再度相談する。医療や介護など住民の生活に密接に関わる措置であり、激変緩和など市町村の声も十分に踏まえ地元の理解を得られるよう引き続き丁寧に対応する」

【2022年4月8日】政府は医療費等無料化措置の見直し内容を決定し、各都道府県、関係団体等に通知
1.西銘復興大臣記者会見(4月8日9:30~9:53)  記者発表資料
発言要旨<抜粋>
 復興関連で4点あります。
<1点目省略>
 2点目、本日、原子力災害被災地域における医療・介護保険料等減免措置の見直しについて決定し、厚生労働省と連名で正式に通知を発出しましたので、御報告いたします。
 この減免措置については、令和3年3月の「復興の基本方針」においても、被保険者間の公平性等の観点から、避難指示解除の状況も踏まえ、適切な周知期間を設けつつ、激変緩和措置を講じながら、適切な見直しを行っていくと記載されており、これを踏まえて関係自治体のご意見を丁寧に伺ってきました。
 こうしたご意見を十分に踏まえ、資料のとおり、
 1、避難指示解除から10年程度で特例措置を終了する。
 2、避難指示解除の時期にきめ細かく配慮し、対象地域を4グループに分けて施行時期をずらす。
 3、急激な負担増とならないよう、保険料2分の1免除の段階を含め、複数年かけて段階的に見直す
 等の見直し内容を決定いたしました。詳細については、事務方にお問合せいただきますようお願いします。
<3点目、4点目省略>
記者会見資料には「関係市町村の主な意見」が記載されている。しかし、見直しが前提であり、最も大切な「住民からの意見聴取・質疑」は行われていない。3月15日に浪江町議会が「継続を求める意見書」を満場一致で採択したことも無視されている。
2.令和4年4月8日厚生労働省老健局長通知
 通知された文書は4月8日付けの「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う避難指示区域等における被保険者等の一部負担金、利用者負担及び保険料(税)の減免措置対する令和5年度以降の財政支援の取扱いについて」です。
 発出は復興庁と厚生労働省の担当部局で、通知先は各都道府県知事、関係市町村、関係団体です。
 通知された見直し内容・・・通知文書をもとに整理しました。
見直し手順
 ・初年度  保険料半額免除に移行
 ・次年度  保険料免除なしに移行
 ・次々年度 医療費一部負担の免除無しに移行
2022年度は周知期間
①2023年4月実施開始・・・平成26年までに避難指示区域等の指定が解除された旧避難指示区域等
 ・広野町、楢葉町の一部、南相馬市の一部(旧緊急時避難準備区域)
 ・川内村の一部、田村市(旧緊急時避難準備区域及び旧避難指示解除準備区域)
 ・特定避難勧奨地点
②2024年4月実施開始・・・平成27 年に避難指示区域等の指定が解除された旧避難指示区域等
 ・楢葉町の残り全域(旧避難指示解除準備区域)
③2025年4月実施開始・・・平成28 年に避難指示区域等の指定が解除された旧避難指示区域等
 ・葛尾村の一部、南相馬市の一部(旧避難指示解除準備区域及び旧居住制限区域)
 ・川内村の残り全域(旧居住制限区域)
④2026年4月実施開始・・・平成29 年に避難指示区域等の指定が解除された旧避難指示区域等
 ・飯舘村の一部、浪江町の一部、川俣町、富岡町の一部(旧避難指示解除準備区域及び旧居住制限区域)

見直し撤回、継続を求める動き
2022年4月10日、脱原発福島県民会議など8団体が見直し撤回、継続を求めて政府交渉

2022年10月1日、福島県双葉町で、「福島原発事故被害から健康と暮しを守る会」の結成総会が行われ、活動の1つとして運動全国署名の取り組みが決定されました。
「『医療・介護保険料及び医療費の減免措置』見直し政府方針撤回と措置継続、国の責任で全ての福島原発事故被害者に『健康手帳』(医療費無料化等)交付を求めます」
参考:避難住民の医療費減免見直しに住民が反対組織設立(朝日新聞2022年10月4日)

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