健康保険法等の保険料や医療費一部負担に関する特例措置の概要と経過

1.事故発生と同時に、健康保険法等の保険料や医療費負担に関する特例措置
東電福島第一原発事故発生に対して、直ちに、健康保険法の保険料や医療費に関する特例措置等が福島県全域と宮城県、岩手県の津波被災地域に適用されました。
宮城県、岩手県の津波被災地域住民に対しては家屋の損壊状況などが無料化措置の適用条件とされました。
福島県の場合は住民の被災状況は適用条件とせず避難者を含む全住民に無料化措置が適用されました。
無料化措置の財源は国費で全額支援されました。
無料化の対象
(1)国民健康保険:保険料、医療費の一部負担金(窓口負担金)
(2)被用者保険:窓口負担金
(3)後期高齢者医療:保険料、医療費の一部負担金(窓口負担金)
(4)介護保険:保険料、利用者負担金
(5)障碍者福祉サービス:利用者負担金

2.特例措置適用範囲を避難指示地域等のみに縮小
2011年9月、国の全額支援は避難指示地域等のみ、それ以外の地域では国の支援が8割となりました。
結果として、避難指示地域以外の減免措置が廃止されました。

3.国の責任による健康手帳交付と被爆者援護法に準ずる法整備の要求
2012年6月、浪江町と双葉町が「法的根拠のある健康手帳交付、医療費無料化、手当支給など被爆者なみの法整備」を国に求めました。
2013年1月15日、双葉地方町村会が国に提出した要望書に「生涯にわたる法的措置をとること」が盛り込まれました。

4.特例措置の見直し(廃止)に向けた動き
 2019年12月20日、「『復興・創生期間』後における東日本大震災からの復興の基本方針」がけっていされました。
 そこには、避難指示地域住民の保険料・医療費一部負担の無料化措置の「適切な見直しを行う」と明記されました。
   2019年12月20日閣議決定の復興の基本方針【26ページ抜粋】
医療・介護保険等の保険料・窓口負担(利用者負担)の減免措置については、東日本大震災発災後、平成24年9月未までは地震・津波被災地域を含む被災地全域で減免措置を実施していたが、それ以降は避難指示区域等に居住していた住民に限って、国による特別な減免措置を継続してきた。これらの措置については、避難指示区域等の地方公共団体において住民税減免等の見直しが行われてきていることや、被災地方公共団体の保険財政の状況等も勘案しながら、被保険者間の公平性等の観点から、適切な見直しを行う。

 2021年3月9日、「『復興・創生期間』後における東日本大震災からの復興の基本方針」が決定されました。
 そこには、前回2019年の基本方針より踏み込んで、「避難指示地域住民の医療費一部負担と保険料の無料化措置については、「適切な周知期間を設けつつ、激変緩和措置を講じながら、適切な見直しを行う。」と、更に具体的に記載されました。
医療・介護保険等の保険料・窓口負担(利用者負担)の減免措置については、東日本大震災発災後、平成 24 年9月末までは地震・津波被災地域を含む被災地全域で減免措置を実施していたが、それ以降は避難指示区域等に居住していた住民に限って、国による特別な減免措置を継続してきた。これらの措置については、避難指示区域等の地方公共団体において住民税減免等の見直しが行われてきていることや、被災地方公共団体の保険財政の状況等も勘案しながら、被保険者間の公平性等の観点から、避難指示解除の状況も踏まえ、適切な周知期間を設けつつ、激変緩和措置を講じながら、適切な見直しを行う。

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