被爆71周年原水禁世界大会・広島 「ひろば」
ヒロシマ、ナガサキ、フクシマ、JCO、チェルノブイリを結んで ヒバクを許さない集い-Part18
核兵器禁止条約を批准・発効させよう! ヒバクシャに補償を!
2019年8月5日 広島 RCC文化センター7F
概要
今年の「ヒバクを許さない集い」は「福島の現状を学び 共に考え連帯しよう!」のタイトルで、飯舘村で酪農を営まれていた長谷川健一さんを迎え「原発事故と飯館村の展望」と題して講演して頂きました。
長谷川さんは、事故当時の無責任な国、県の被ばくの隠蔽、避難指示の大幅な遅れ、避けられたはずの無用な被ばくを強いられたことを厳しく告発されました。
事故後4か月も避難が遅れたことから福島県の中でも「断トツ」の被ばくをし、今後の健康問題を深刻に考えていること、被災地はまだまだ公衆の被ばく線量限度をはるかに超えており、避難指示が解除されても、子供たちや若者は戻るべきでないと考えている事など、現状を訴えられました。
また、「原発被害糾弾 飯舘村民救済申立団」を立ち上げ、村民の7割が結集しADR(原子力損害賠償紛争解決)センターに申し立て、闘いを継続していることを話されました。
国による「復興支援」はハコモノ行政であり、村民の健康・命、地域社会を守るものではない事、今後の事を考え、仲間と共に農作業を始めたが夢が持てないが、どうにかしたいと述べられました。
「一番いいことは原発をなくすこと」「私も声を上げていきます」と力強くしめくくられました。
若者を含む70名を超える人々が集まり、山積する福島の課題・問題点について討論しました。
最後に集い参加者一同で「福島事故被害者と連帯した運動を広げよう」のアピールを採択しました。
主催者あいさつ 木原 省治 (原発はごめんだヒロシマ市民の会)
講演 長谷川 健一
質問/論議
アピール採択
ヒバクを許さない集いーPart18 アピール
福島原発事故被害者と連帯した運動を拡げよう
本日、「原発被害糾弾 飯館村民救済申立団」団長 長谷川健一さんの講演で、私たちは東京電力福島第一原発事故により押し付けられた放射能汚染と被害の実態を知り、事故を起こし、奪われた生活、環境等の被害を補償しない東京電力と原発を推進してきた国に対して闘われている「謝れ!償え!かえせ ふるさと飯館村」との強い怒りと故郷への思いを共有します。原発重大事故を二度と起こさせないことは私たち共通の願いです。
フクシマ事故から7年目を迎えた今なお、放射能が大気、土地、河川、海水を汚染し続けています。いまだ8万人近くの人々が避難生活を余儀なくされています。被害者は生活設計の立たない中で放射能汚染と被ばくによる健康不安、避難に伴う健康悪化に加えて、家族の離散、生業の喪失、地域社会の崩壊など、被害者の人権が侵害されています。
それにもかかわらず、国と東電は事故を引き起こした責任を取ろうとしていません。
そして安倍政権は福島「復興の本格化」として、年間20ミリシーベルト基準での「避難指示解除」を進め、事故被害者に一層の被ばくを強要しています。同時に、「自主避難者」への住宅支援打ち切りを強行し、さらに「避難指示」を解除された避難者への精神的賠償と住宅支援の打ち切り等、被害者へ「自立」を求め支援を次々と切り捨てようとしています。その一方で、全国の原発の再稼働を進め、原発を推進しています。
フクシマ事故被害者への支援の切り捨てと原発再稼働を許さないために以下の課題を掲げ、フクシマ、ヒロシマ・ナガサキ、JCO事故を結び、被害者との連帯した運動を全国で拡げ強めましょう。
①フクシマ事故被害者は生活、健康、生業、安心して生活できる環境を求めています。「福島復興再生特措法」の基本理念で掲げられている「安心して暮らし、子供を産み育てることのできる」社会の実現を国に求め、生活保障、生業保証、健康保障などの具体的な施策が実現されるよう支援しましょう。
日本国憲法などに保障された生命権、生存権、健康権、人格権に基づき、事故によって侵害された権利の回復と人権侵害に伴う被害の補償をもとめ、被害者を支援し連帯しましょう。
②年間20ミリシーベルト基準による避難指示「解除」と福島事故被害者の切り捨てを許さず、政府に基準の撤回と被害者支援の施策の継続を求めて行きましょう。
一般公衆への年間1ミリシーベルト以上の被ばくの強要は法律違反です。
③無料の健診と医療、生活支援などの権利を伴う「健康手帳」を、全てのフクシマ事故被害者に交付するよう国に求めましょう。
フクシマ事故被害者は被ばくによる健康被害のリスクを負わされました。その健康被害はいつ発生するのかわかりません。生涯にわたる健康保障が必要です。
広島、長崎の原爆被爆者は、無料の健診と医療を受けることのできる「健康手帳」、諸手当の支給などの支援を定めた「被爆者援護法」を、権利として、長年の運動の中で勝ち取ってきました。この運動の経験と成果を活かしましょう。
④国の責任で甲状腺医療費を生涯無料化し、甲状腺に係る健康手帳の交付を求めましょう。
福島県の「県民健康調査・甲状腺検査」の結果、甲状腺がんやその疑いの人は増え続けています。事故がなければ症状もない30万人もの子どもたちが、受ける必要のなかった甲状腺検査によって診断された疾患は、事故の被害として原発を推進してきた国の責任で医療支援を行うべきです。「県民健康調査甲状腺検査サポート事業」は「県民健康調査の基礎資料」の収集を目的とするのではなく、あくまでも国の責任による被災者への医療支援を目的とする事業にすることを求めましょう。
⑤国の責任で被ばく労働者の安全を守り、健康・生活を保障させましょう。
福島第一原発廃炉作業、除染作業に従事する労働者への健康管理手帳の交付を求めましょう。
年間被ばく線量限度50ミリシーベルトを10分の1以下に引き下げさせましょう。
福島第一原発では毎日7000名もの労働者が動員され、過酷な労働現場で高線量被ばく労働に従事しています。作業安全の確保、被ばくの低減、健康管理・生活保障、雇用条件監視・是正指導が喫緊の課題です。
事故以降、復旧・緊急作業に従事した労働者の労災申請が10数件に及び、少なくとも2件の白血病が労災認定されました。しかしこの2人の福島事故緊急作業者は「長期健康手帳」交付対象外になっています。
すべての被ばく労働者に健康管理手帳を交付し、国の責任による生涯無料の健康診断、健康保障・生活保障を行うよう求めましょう。また、原発被ばく労働者のがん・白血病等の危険をより引き下げるために、線量限度を10分の1以下への引き下げを求めましょう。
⑥フクシマを繰り返してはなりません。
原発の再稼働を中止させ、全国の原発の停止・廃炉を求めましょう。
国は国策として原発を推進し、その結果として福島原発事故を招き、広大な地域を放射能汚染し、住民に被害をもたらし人権を侵害した重大な責任があります。そして人権を回復し被害を補償する責任があります。
未来を担う子供たちにこれ以上の放射能汚染と被ばくを押しつけないためにも原発の再稼働を止めさせ、原発の停止・廃炉を求めましょう。
国のエネルギー政策の変更をせまり、再生可能エネルギーへの転換を求めましょう。
2018年8月5日
ヒバクを許さない集い Part18 参加者一同