被爆71周年原水禁世界大会「ひろば」
フクシマとヒロシマ・ナガサキ・JCOを結んで ヒバクを許さない集い-Part17
フクシマ事故から5年 国の被害者切り捨てを許さない
2016年8月5日 広島 RCC文化センター7F


概要

避難指示区域・浪江町から仮設住宅への避難生活を強いられている橘柳子さんと郡山市から大阪に自主避難されている森松明希子さんが、事故当時から現在に至るまでの体験と思いを話されました。
 参加者は約80名、初参加者は約2分の1でした。


プログラム

主催者あいさつ                    木原省治(原発はごめんだヒロシマ市民の会)
講演 5年を経た避難者の現状と思い           橘 柳子「退職女性教職員の会」副会長
講演 私たちはなぜ、福島から避難したのか~放射線被ばくから免れ健康を享受する権利~
     森松 明希子 原発賠償関西訴訟原告団代表・東日本大震災避難者の会Thanks&Dream代表
報告 国の年間20mSv基準による被害者切り捨ての問題点   建部 暹(ヒバク反対キャンペーン代表)
全体討論 / アピール採択


案内ビラより

 フクシマ原発事故は広大な地域を放射能汚染し、事故から5年後の今もなお放射能の地下水、海水、大気への漏えいが続き、事故は未だ収束していません。それにもかかわらず安倍政権は国の責任による被害者の救済をおこなわず、原発再稼働、推進を進めています。政府は昨年6月、2017年3月末までに帰還困難区域以外の避難指示を解除し、精神的損害賠償を2018年3月末で打ち切ること、自主避難者への災害救助法による住宅費支援を2017年3月末で打ち切ることを決定しました。年間20ミリシーベルト以下の放射能による健康影響を認めず、まるで重大事故などなかったかの様に、一方的な帰還促進と被害者支援打ち切りを強行しようとしています。
 今年の集いでは、避難指示区域・浪江町から仮設住宅への避難生活を強いられている方と、郡山市から大阪に自主避難されている方に、それぞれ、現状や思いなどを語って頂きます。原発事故で踏みにじられている被害者の健康権・生活権などの人権の回復と補償を共に求めるために意見交換しましょう。
 さらに、これまで全国の皆さんとともに取り組んできた「甲状腺医療費無料化」を更に前進させるための今後の課題などについても討論を深めます。
 ぜひご参加ください。


フクシマ事故から5年―国の被害者切り捨てを許さないー
ヒバクを許さない集いーPart17 アピール

 フクシマ原発重大事故から5年5か月が経ちました。福島県、周辺県など広大な地域が放射能汚染され、住民は未だ放射能と向き合いながらの生活を強いられています。福島県だけでも、今なお約9万人が避難生活を余儀なくされています。事故発生当時、年間20ミリシーベルト以下の地域には避難が指示されず、また避難先も放射能汚染されているなどで、住民は放射能汚染が続く中での生活を余儀なくされ、被ばくさせられてきました。国策で進めた原発による事故で被ばくさせた全ての人々に対して、国は責任を持って健康と医療、生活の保障を行うべきです。しかし政府は子ども被災者支援法を骨抜きにするなど、被害者救済を限定し、被害者を放置してきました。政府は昨年6月、2017年3月までに帰還困難区域以外の地区の避難指示を解除することを決定しました。避難指示区域以外からの避難者への災害救助法による住宅支援が2017年3月で、指示避難者への精神的損害賠償が2018年3月で、打ち切られます。避難者は帰還か、移住先で新たな生活を始めるか、選択を迫られ苦しまされています。私たちはこの様な被害者切り捨て政策を許してはなりません。
 本日は二人の避難者に事故当時から現在までの体験や思いなどを語って頂きました。原発重大事故がひとたび起これば日本国憲法や日本が批准している国際人権諸条約で保障された健康権、生活権などの基本的人権が奪われ、慣れない環境で安心できない過酷な生活を強いられるなど避難者の方々の体験と思いと現状を私たちは共有しました。被害者が、帰還・移住のいずれの選択をしても、国は被害者の健康と生活を保障すべきです。被害者へのこれ以上の被ばくを許さないために、法令に明記されている「公衆の被ばく限度」年間追加被ばく1mSvの早急な実現を求めましょう。政府の避難指示解除基準「年間被ばく量20mSv以下」は原発推進の国際機関ICRPの2007年勧告等の基準を採用したもので、放射線管理区域指定基準の4倍、公衆の年間被ばく限度の20倍の極めて高い線量です。国際的に初めて適用されました。これを定着させてはなりません。年間被ばく20mSv以下では「健康影響なし」として、年間20mSvを「帰還の基準」に使用することを止めさせ、一方的な避難指示解除、生活の大切な基盤である住宅支援や賠償の打ち切りに反対しましょう。
 福島県の県民健康調査甲状腺検査の結果「要観察」または手術が必要となった人に対する県外移住者を含む医療費支援が、全国の運動の力で、県民健康調査の「サポート事業」として実現しています。しかし国の責任による被害住民への健康保障とはほど遠いものです。「脱原発福島県民会議」を中心に、甲状腺医療費の窓口負担の解消、生涯にわたる支給を求めて県、政府への働きかけが行われています。また、国の責任で生涯無料の甲状腺検査を受けられることを保障し、医療費支援を受ける権利を明記し、甲状腺検査結果を記録する、「甲状腺検査に係る健康手帳」の交付を求めています。私たちはこれらの要求を支持し、運動を支援し、ともに対政府交渉に取り組み、周辺県の被災地にも拡大させていきましょう。
 福島第一原発では今なお深刻な放射能汚染水の漏えいが続き、事故は未だに収束していません。政府がフクシマ事故に学ばず、原発再稼働や原発輸出など原発推進政策を進めていることに強く反対しましょう。福島第一原発では事故後5年間に約4万7000人が過酷な環境で収束作業に従事し、既に1名が白血病で労災認定されています。事故前の原子力施設被ばく労働に比べ高線量被ばくの比率が大幅に高まり、21.5%約1万人が20mSvを超える被ばくをしています。除染労働者を含めた健康管理手帳の交付と被ばく限度年間50mSvの10分の1以下への引き下げ、「緊急時作業被ばく限度を原発重大事故時に250mSvへ引き上げる省令の廃止」、被ばく労働者の生涯1000mSvの大量被ばく容認の撤回、などを求める運動を、被ばくさせられた住民への健康・生活補償を国の責任で行わせる運動および原発の再稼働中止の運動とむすび、全国に拡げていきましょう。
 ヒロシマ・ナガサキの原爆被爆者は、長年にわたって権利としての援護、「国家補償に基づく被爆者援護法」を求めて長年闘ってきました。そして、国による「健康手帳」交付、無料の健診、医療支援、諸手当の支給などの支援を定めた「被爆者援護法」を勝ち取ってきました。この運動の経験と成果を、フクシマ事故被害者の今後の支援に活かしていきましょう。
 ヒロシマ・ナガサキ・JCO・フクシマ事故被害者を結び、国に原発重大事故を起こした責任、被ばくさせた責任を認めさせ、被害者の人権を確立し、将来にわたって健康と生活を保障させましょう。そのために、国の責任で「「健康手帳」を交付させ、無料の定期健康診断と医療・生活保障などを共に求めていきましょう。

           2017年8月5日
           ヒバクを許さない集い Part17 参加者一同

Copyright(c)ヒバク反対キャンペーン.All rights reserved.