核も戦争もない平和な21世紀に! 被爆60周年原水爆禁止世界大会 ひろば
     ヒバクを許さない集い Part6(2005年8月5日)
 ヒロシマ・ナガサキ被爆60年から チェルノブイリ・ヒバク20年へ
     二度とヒバクシャを生み出さないための運動を

概要
 被爆60年にあたり被爆の悲惨を語り継ぎ「二度と核戦争を、ヒバクシャを生み出してはならな い」を基調に、来年チェルノブイリ20年にあたり原爆被爆とチェルノブイリヒバクを結んで、冒頭の主催者からの提言に続き4人の報告を聞き、それを受けて会場からの討論を行いました。
 被爆者の武田靖彦さんは、原爆投下のエノラゲイの発進基地のテニアン島を訪れてから、被害者だけでなく国家や戦争を起こした責任を追及することを考えて、活動してきた。NPT再検討会議にも 参加し、アメリカの高校生に被爆体験を訴え、原爆展を行うがその規模が余りにも小さいので憤慨している、もっと原爆の実相や戦争を起こしてはならない」と訴えられました。
 被爆二世の立場からは、「被爆2世の運動と課題」として、「被爆2世は法的には存在しないとして認められていない。ここ20年の運動は進展せず、二世も高齢化が迫っている。検診が要求運動の唯一のようになっているが、日韓被爆二世シンポなどを通して運動の展開を図っている。」と現状を報告され、ヒバクシャ運動の継承をどうつくっていくのか、二世三世を含めた国家補償の改正を訴えられました。
 原発に反対し核とヒバクのない世界の実現に向けて運動している木原省治さんは、「チェルノブイリ事故10年後に訪れた様子は、広島の原爆の10年後と同じであった。事故による被曝者は145万人との報道もあり、多くのヒバクシャが存在している。国としての救援や援助を行っていく必要があり、原発を止める必要がある」と報告されました。
 東海村JCO臨界事故で被曝した父、母の健康被害裁判の事務局を担当している大泉実成さんは、「臨界事故から六年が経過し、国や自治体は健康診断をやめたいとの幕引きをはかってきている。裁判は13回をむかえているが250msv以下では急性障害は起こさないとの国の主張もあり困難を極めている。事故後1800人の健康診断をしているのでその開示をせまり、数値化し被曝の実態を明らかにしていくことをしていきたい。」と支援の要請と運動を進めていく決意を明らかにされました。
 討議では、原爆の投下責任をアメリカは取っていないこと、日本の戦争責任もあやふやになるなかできちんとした国家補償に基づく「被爆者援護法」が必要であること、様々なヒバク補償で争われている低線量被曝の危険性問題が話し合われました。原発周辺での桜の花弁の異常変形の調査で、浜岡原発では確実に放射線の影響が認められたとの報告がありました。来年20年目になるチェルノブイリ事故に関して、救援の取り組み、忘れかけられている現状、更に支援を求める意見などがありました。
 核兵器によるヒバクシャ、核の「平和利用」によるヒバクシャを結んで、「あらゆヒバクシャに補償を!ヒバクシャ手帳をあらゆるヒバクシャに!」をかかげ、内外のヒバクシャの補償を求める運動を強化し、世界の核軍縮、平和を求める人々とともにこれ以上ヒバクシャを生み出さないための具体的な課題に取り組んでいく集会アピールを採択して終えました。

プログラム
1.提言                                  ヒバク反対キャンペーン 建部 暹
2.被爆者の思い、私の活動                      原爆被爆者       武田靖彦
 武田さんは今年は、NPT(核拡散防止条約)再検討会議へ、NGOの代表、被爆者の代表として参加されました。被爆の実相を伝えるために、原爆展を行い、またアメリカの高校生に被爆体巌を語るなど、精力的にNo More War!No More Hibakusha!を訴えて来られました。被爆60年にあたり武田さんの思いを語っていただきます。
3.被爆2世の運動と課題                       広島・被爆2世
 「被爆者援護法」が国家補償として制定されず、被爆2世は「援護法」の枠外として扱われてきました。大きく運動を前進させていくためには、いま、何が求められているのか?被爆2世運動の今までの歩みをもとに、今後の被爆2,3世の補償を求める運動を担っていく抱負、当面する課題を語って頂きます。
4.ヒバクシャの苦しみを共有し、核被害者との交流・支援を  木原省治 原発はごめんだヒロシマ市民の会代表
 木原さんは核とヒバクのない世界の実現をめざして、広島現地で被爆2世として反原発の運動を担い、「核と人類は共存できない」とヒロシマの心を世界に発信し、核実験の被害者、世界のあらゆる核被害者との交流・支援を行ってこられました。ヒロシマとチェルノブイリを結んでヒバクシャの苦しみを共有し、世界の先頭に立つ救援活動を担う必要について、それらの運動との連帯の強化などについて語って頂きます。
5.臨界事故「健康被害裁判」と住民検診        大泉実成...臨界事故被害者の会事務局長
 臨界事故から6年が経過し、大泉夫妻の健康被害裁判は13回公判を数えています。健康被害を明らかにする闘いの経過、内容等を報告していただきます。また、周辺住民の健康不軍は増大こそすれ、決して減少していません。今年の健診結果を踏まえ、茨城県との交渉を通じて明らかになったこと、今後の課題、抱負についての報告をしていただきます。
総合討論
アピール採択

アピール
 ヒロシマ・ナガサキの被爆から60年、日本政府は未だに国家補償に基づく「被爆者援護法」を制定せず、被爆者に対する弔意・謝罪も行うことなく現在に至っています。アメリカ政府も原爆投下責任をとることなく、核開発政策を進めています。
 被爆60周年を迎えた被爆地広島において、本日開催された「ヒバクを許さない集い-Part6」に、被爆者、被爆二世、原発被曝者を救援する運動に取り組む人々、脱原発の運動に取り組む人々、ウラン兵器禁止の運動に取り組む人々など様々な人々が各地から結集しました。
 被爆者は自らの体験と思いを訴え、その悲惨な死、生き残った被爆者の原爆後障害、その後の生活破壊や差別、これらを招いた日本の侵略戦争の責任、アメリカの原爆投下の責任、核の開発・使用を許さないための世界に向けた取り組みを語りました。被爆二世は、被爆二,三世を被爆者として国に認めさせ国家責任により補償させる取り組み、在外被爆者との交流、その訴えを共有した運動の積極的な取り組み、今後の闘いの方向について語りました。また、核と人類は共存しないとの広島の心を世界に発し、核実験ヒバクシャ、ウラン採掘ヒバクシャ、チェルノブイリ・ヒバクシャなど、世界のヒバクシャとの交流・連帯を広げてきた取り組み、新たなヒバクシャを生み出している原発に反対する取り組みが報告されました。
 私たちは、被爆者の苦しみを繰り返させてはならないとの思いを受け止め、二度とヒバクシャを生み出さないために闘っているこれらの運動を継承し、共に担っていかねばなりません。また、在外被爆者の「被爆者はどこにいても被爆者」との主張を支持し、日本政府に加害責任を認めさせ、被爆者援護法を完全に適用させる闘いを強化していかねばなりません。
 来年は史上最大・最悪のチェルノブイリ原発事故から20年を迎えます。大量の放射能が環境に放出され、今も被災地では放射能汚染とヒバクが続いています。人々は放射線による健康障害に加え、放射能汚染と経済破綻よる地域経済の崩壊や、移住による生活環境の変化等で苦しい生活を強いられています。ヒバクシャの健康破壊、生活破壊、社会的差別などは原爆被爆者の被害と共通したものです。交流と救援の運動をさらに拡げていきましょう。また、世界のあらゆるヒバクシャに共通したこれらの被害、課題をむすんで放射能被害の過小評価と切り捨てに反対し、世界のあらゆるヒバクシャとの連帯した闘いを築くことが課題です。
 昨年1月、長尾さんは原発被曝労働による「多発性骨髄腫」として労災認定されました。原発被曝労働から約20年を経て発症し、白血病以外の疾患で初めて労災認定されました。この認定は、「ヒバクを許さない集い」に結集した人達をはじめ、長尾さんを支援する反核・反原発の運動が勝ち取った成果です。この成果をすべての原発被曝労働者に拡大させましょう。政府に放射線作業を有害業務と認めさせ、全ての被曝労働者への「健康管理手帳」の交付と健康管理を要求する運動が求められています。原子力損害賠償法による補償を求める長尾裁判には被告の東電を勝たせるために政府が介入してきました。裁判の支援を拡げましょう。日本の原発史上はじめて急性死者を出し多数の労働者・住民を被曝させたJCO事故でも大泉夫妻の健康被害裁判が争われています。また周辺住民の「健診運動」も取り組まれています。これらの運動を前進させましょう。
 今年5月にはNPT(核拡散防止条約)の再検討会議が開かれ、イラク戦争反対と核軍縮をかかげた大規模な行動が取り組まれました。しかし、アメリカは2000年合意の核兵器廃絶の明確な約束、CTBT(包括的核実験禁止条約)の発効などを拒否し、核軍縮を求める非同盟諸国と激しく対立し、一切の核軍縮の課題を前進させることなく閉会させました。
 日本政府は六ヶ所再処理工場を稼動させるために、IAEA(国際原子力機関)の再処理・ウラン濃縮の5年間の凍結などの提案にも反対しました。ヒバクの悲惨、危険性を強くアピールすることを求められている被爆国・日本の政府に対して、私たちはより鋭く、核軍縮の先頭に立つことを迫っていかなければなりません。
 私たちは、核兵器によるヒバクシャ、核の「平和利用」によるヒバクシャを結んで、内外のヒバクシャの補償を求める運動を強化し、世界の核軍縮、平和を求める人々とともに、「これ以上ヒバクシャを生み出さないために」次の課題と運動について討論しました。
 あらゆるヒバクシャに補償を! ヒバクシャ手帳をあらゆるヒバクシャに!を掲げ以下の課題の実現に向け、具体的な運動に取り組んで行きましょう。
・原爆投下を招いた日本の侵略戦争の責任を問い、国家補償に基づく被爆者援護法を求める運動を強化しよう。 アメリカに原爆投下の責任を認めさせよう。
・被爆2、3世を被爆者として認め、被爆2,3世対策を追加した国家補償に基づく被爆者援護法に改正させよう。
 被爆2世健診の法制化を求め、健診に「ガン検診」を追加させよう。「被爆2世手帳」を交付させよう。
・在外被爆者に被爆者援護法を完全に適用させよう。世界各地の支援運動を強化しよう。
・すべての原発被曝労働者に「健康管理手帳」を交付させ、健康管理・健康補償を行わせよう!
 被曝労働による健康破壊の原子力損害賠償を求める長尾裁判を勝利させよう!
・住民の健康被害補償を求めるJCO臨界事故「健康被害裁判」を支援しよう。周辺住民の健診を継続・充実させる運動を支援しよう!
・来年はチェルノブイリ事故20年を迎える。チェルノブイリ・ヒバクシャのヒバクの過小評価、補償の切り捨てに反対し、救援活動を拡げていこう。
 世界規模でヒバクの被害を及ぼした原発事故の教訓に学び、脱原発を求める運動を強化しよう。
・NPT会議での2000年合意(核兵器廃絶の明確な約束等)の実現をはばむ核保有国に核軍縮の義務を果たし、合意を即刻実現することを迫ろう。アメリカにCTBTの即時批准、核の先制不使用の約束を迫ろう。
・国際的な反核・平和運動と連帯し、ウラン兵器の禁止を実現しよう。
・世界のあらゆるヒバクシャと連帯し、核も戦争もない世界をめざす運動を強化しよう。
                           2005年8月5日
            核も戦争もない世界を 被爆60周年原水爆禁止世界大会ひろば
                     ヒバクを許さない集い-Part6
                            参加者一同
       代表連絡先 ヒバク反対キャンペーン 〒591-8691 堺市金岡郵便局私書箱17号
                E-mail:hibaku-hantai@nyc.odn.ne.jp

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