交流の輪を広げよう 核も戦争もない21世紀に!被爆57周年原水爆禁止世界大会(ひろば)
東海村と広島・長崎・原発・核燃立地点を結んで
ヒバクを許さない集い Part3(2002年8月5日) 報告、アピール

案内チラシから
 「ヒバクを許さない集いPart3」では、様々な運動団体・個人からの報告とヒバクを許さない見地からの問題提起を受け、運動の交流の輪を広げます。

 2名の命を奪い、多数の住民を被曝させた東海村JCO臨界事故から3年を向かえようとしています。事故の突きつけた問題は未だ何一つ解決していません。事故の風化を許さず、政府の責任を認めさせ、被害者の健康補償を勝ち取るために、25万人に到達している全国署名を更に拡大することなど、JCO被災者と連帯して全国的な取り組みを粘り強く継続・強化することが求められています。現地から現状と今後の取り組みの報告をうけます。被爆者援護法の適用を求める被爆二世の報告は臨界事故被災者の健康補償を求める運動に対する問題提起となるでしょう。
 原発・核燃施設を集中立地させられている青森では再処理工場の稼働中止を求める運動が正念場を迎えています。青森から現地の状況、百万人署名運動などの取り組みの報告を受けます。また、廃棄物の「スソ切り処分」を許さない運動、ITERの日本誘致反対運動、原発労働者からの報告を受けます。ヒバクをもたらすものへの怒りを共有し、ヒバクを許さない見地からこれらの運動を連帯して強めていきましょう。皆さん、「集い」に参加し、討論に加わって下さい。

概要
 参加者50名、15件の発言で議論は活発に行われた。
 JCO被災者の健康補償を要求する全国署名運動の現状と課題がヒバク反対キャンペーンから報告され、25万に達した署名をさらに拡大するための取り組みなどが提案された。
 「JCO臨界事故被害者の会」から報告があった。国と県が行っている住民健診への参加者は事故から3年目の今回も昨年と同規模で、健康不安が依然として強い。受診者へのアンケートから、健診の継続、事故との関係が明らかになる様な内容の充実などが住民の強い希望であることが明らかになった。JCOとの直接交渉は決裂し、今後、被害者の会ではこの訴訟に対して取り組むこと、全国署名運動、国の責任を追及する交渉、健診を改善するための交渉、将来の被曝影響に備えて事故当日の行動やその後の健康状態を記録していく「健康記録運動」などを柱に活動していく予定である。村田医師から、健康記録運動の意義として、、①風化させない、②被曝と健康影響の因果関係を明らかにする、③健康手帳の獲得、④被曝の過小評価を許さない健診を行わせ健康管理体制を確立する、の4点があげられた。
 被曝二世から、自らがかかえている健康問題、社会問題、人権問題等についての説明、今年から本格的に行われる放射線影響研究所の調査とそれへのかかわりについての報告があった。東海村現地から差別問題を含む被災者住民の組織化の困難性に関する訴えがなされた。これに対して、参考になればと被曝二世から体験に基づく意見が述べられた。親が手帳を取得しない例、子供のことは考えたくもないという例、運動への参加を誘って拒絶された例、などがある。健康問題について語り合うことを大切にしている。国家補償としてまどうてくれというのが運動の課題である。これを取り上げることが使命ではないか。そこを乗り越えなければならない。
 再処理工場の稼働停止を求める百万人署名の取り組み、ITERの誘致に反対すること、放射性廃棄物のスソキリの法制化を許さないことに取り組もうとの問題提起があった。教育基本法に反する原発推進教育の導入が総合的な学習の時間を通じて行われようとしているという指摘があり、広島から原爆と原発の切り離し、平和教育の弾圧などの報告があった。
 原爆のみならず、原発・核燃料サイクルでヒバクが強要されている。これに対して共に連帯して取り組むこと、次のPart4はもっと大きな規模で開催したいという決意でまとめがなされた。

プログラム
基調報告
・JCO被災者の健康補償要求全国署名の成果を更に拡大させよう 建部暹 ヒバク反対キャンペーン
報告と問題提起
・東海村現地の状況と被害者の運動           大泉実成  臨界事故被害者の会事務局長
・二世被爆者への援護法適用を求めて        角田拓   広島被爆2世団体協議会事務局長
・青森から、再処理工場稼働中止を求める百万人署名運動         浅石紘彌  弁護士
・放射性廃棄物の「スソ切り処分」にストップを      小坂勝弥  核のゴミキャンペーン関西
・ITER(国際熱核融合実験炉)の日本誘致にストップを 討論
集会アピール、呼びかけなど

アピール
 東海村JCO臨界事故から3年が経とうとしている。2人の尊い命を奪い、政府の過小評価によっても666名もの多数の住民・労働者を被曝させたこの事故がつきつけたものはまだ何一つ解決していない。国は臨界事故を想定しなかった安全審査の誤りなど自らの責任を認めず、「事故は起こり得る」と居直って原子力を推進している。「50ミリシーベルト以下の被曝であれば影響は認められない。」とする国の見解によって被災住民の健康補償要求は阻まれている。被災住民は今も皮膚炎、のどの痛み、風邪をひきやすいなどの病気、症状に苦しみ、将来の健康への不安を抱えている。
 臨界事故を風化させてはならない。現地では健康補償と健康手帳の交付をめざして、健康診断の継続、「健康記録運動」等が取り組まれている。これに連帯して、25万の全国署名をさらに拡大し、その力を背景に被害者救済制度の確立・「健康手帳」の交付を国に対して粘り強く要求していかなければならない。
 原爆被爆者は過去半世紀の闘いのなかで勝ち取ってきた「被爆者援護法」に国家責任を明記させる運動を継続している。被爆二世、在外被爆者は「被爆者援護法」の適用を求めて運動を強めている。被爆二世は国に健康調査を行わせる運動を行っている。「二度と再びヒバクシャを生み出さない」という被爆者の願いを踏みにじった「非核3原則の見直し」発言は許すことができない。改めて国家責任の問題が浮き彫りとなっている。
 原発で被曝させられ、健康を破壊され、使い捨てられる被曝労働者の実態の一部が、労災申請という形で徐々に明るみに出ている。しかし国は被曝労働者への健康管理手帳の交付を拒否し続けている。
 六ヶ所再処理施設が放射能汚染される前に再処理工場の稼働を中止させることが緊急の課題となっている。大量の放射能と超猛毒のプルトニウムを扱う再処理工場は特に重大事故の危険性が極めて高く、ヒバクを許さない観点からこの課題は重要である。下北への国際熱核融合実験炉(ITER)誘致は下北に一層の核の集中立地をもたらし、トリチウムを撒き散らす重大事故や大量の放射性廃棄物の発生を通じて人々に被曝をもたらす。再処理、ITERは核武装につながることからも止めさせなければならない。
 東海原発1号炉の解体が始まるなど、原発の廃炉が日程に上り始めている。解体により労働者が被曝し、膨大な放射性廃棄物が大量に発生する。政府はクリアランスレベル以下なら放射性廃棄物であっても普通の産業廃棄物としての処分やリサイクルが可能とする「放射性廃棄物のすそ切り処分」の法制化を行なおうとしている。また、「免除」基準の導入も進められている。集団線量を用いないなど、新たなICRPの被曝基準体系を作ろうとする国際的な動きが原子力産業の後押しで進んでいる。「クリアランスレベル」や「免除」基準の導入はその先兵となる。
 これらのヒバクシャの運動と原発・核燃料サイクルに反対する運動とが連帯してそれぞれの闘いを強めていこう。
1.臨界事故を風化させるな
  健康被害の補償・健康手帳の交付を勝ち取るために全国署名を拡大しよう。
2.在外被爆者、被爆二世への被爆者援護法適用を勝ち取ろう。
3.原発被曝労働者への健康管理手帳制度を勝ち取ろう。
4.放射能で汚染される前に下北再処理工場の稼働を中止させよう。
  下北再処理工場の稼働中止を要求する百万人署名を成功させよう。
5.下北へのITER誘致を断念させよう。
6.廃棄物の「スソきり処分」に反対し、法制化をストップさせよう。
7.ヒバクを強要する原子力政策の根本的転換を勝ち取ろう。
2002年8月5日
核も戦争もない平和な21世紀に!被爆57周年原水爆禁止世界大会「広場」

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