被爆56周年原水爆禁止世界大会 交流の広場(第7分科会)
東海村と広島、長崎、原発・核燃サイクル立地点をむすんで
ヒバクを許さない集い Part2(2001年8月)
集会報告
8月5日、昨年に続き「ヒバクを許さないつどいPart2」が広島で開催され、約90名が参加しました。この1年間の運動の成果として、24万名の「国はJCO事故の責任を認め、住民・労働者の健康被害を補償せよ」”全国署名”が集約されています。
「臨界事故被害者の会」の大泉さんは、被曝住民の放置、国・JCOの居直り、子供達のこれからの健康被害の不安などを語り、100万名を目指して署名と「全国行脚」を拡大しようと力強く呼びかけました。北川衆議院議員は対政府交渉を踏まえたJCO臨界事故に関する質問主意書と政府答弁書について報告し、徹底して闘う国会議員を支える国民的な層の必要性を訴えられました。
在韓被爆者郭さんは、「援護法」を適用せよとの大阪地裁判決を引き出した経過を語りながら連帯を呼びかけました。金子衆議院議員は在外被爆者に援護法適用を実現させる議員懇談会の取り組み、厚生労働省の対応など運動が直面している状況、今秋の取り組みの重要性を報告されました。広島の中谷さんは被爆二世の健康診断を行わせ援護法の適用を求める運動の報告の中で、健康診断が「安心のため」とされ単年度措置であるなど臨界事故被害者に対する政府の姿勢と同じで、原発推進のために放射線の影響が過小評価されていると指摘されました。祝島の清水さんから反対運動の報告があり、福井の石地さんから「事故は起こるが住民は放置されるという状況は問題だ」との指摘がありました。
国の控訴を撤回させ在外被爆者に「援護法」を適用させることは今秋のヒバクシャ運動の大きな課題です。集会アピール「ヒバクシャを生み出した国の責任を認めさせ、すべてのヒバクシャの連帯で国家補償を勝ち取ろう」を採択しました。
・在外被爆者5000名に被爆者援護法の適用を求める署名に取り組みましょう。
・臨界事故2周年の諸行動(署名提出:9月26日予定、全国集会:9月30日~10月1日など)に参加しましよう。各地で署名と「全国行脚」を拡大しましょう。
集会プログラム
1 基調報告 JCO被曝者の補償を勝ち取る運動の到達点と課題
2 東海村からの報告 大泉昭一 (臨界事故被害者の会)
3 原爆被爆者の闘い
1) 在外被爆者の報告 郭貴勲
(在韓被爆者)
この課題に勝利するために 金子哲夫 (衆議院議員)
2) 被爆二世の闘い 被爆二世
(中谷悦子)
4 討論
1) 問題提起 建部暹 (ヒバク反対キャンペーン)
2) 報告 北川れん子(衆議院議員)
5 特別報告
1) 上関原発立地阻止の闘い 清水敏保 (祝島)
2) 核燃サイクルに反対する韓国からのアピール セオ・ヒュンウォン(海外代表)
6 各地からのアピール
7 行動確認と集会アピールの採択
呼びかけ団体
原子力資料情報室、原発はごめんだヒロシマ市民の会、臨界事故被害者の会、反原子力茨城共同行動、ヒバク反対キャンペーン、原子力行政を問い直す宗教者の会、「チェルノブイリ被害調査・救援」女性ネットワーク、チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西、若狭連帯行動ネットワーク、長崎県被爆二世の会、長崎県被爆二世教職員の会、長崎県職被爆二世連絡協議会
集会アピール
ヒバクシャを生み出した国の責任を認めさせすべてのヒバクシャの連帯で国家補償を勝ち取ろう
昨年8月5日、臨界事故後はじめてこの広島の地で、原水爆禁止世界大会の関連企画として「東海村と広島・長崎を結んで ― ヒバクを許さない集い ― 」が開催された。臨界事故の恐怖を体験した茨城県東海村の被災者をはじめ、各地で「二度とヒバクシャを生み出さない」ための運動に取り組んでいる人々が参加し、ヒバクシャの思い、ヒバクの源泉に対する怒りを共有し、臨界事故の被曝切捨てを許さず補償を要求する運動をともに連帯して闘っていくことを確認した。参加者は、臨界事故の風化・被曝切捨てを許さず、「政府はJCO事故の責任を認め、住民・労働者の健康被害を補償せよ」の署名を全国津々浦々にくり広げようとのアピールを発した。それから1年、各地に「全国行脚」を行い、全国から24万名の署名が寄せられた。
本日ここに、「二度とヒバクシャを生み出さない」運動が直面している課題について連帯して取り組むことを確認するために、「ヒバクを許さない集いPart2」を開催した。
茨城県東海村の臨界事故により2名が急性放射線障害でその尊い命を奪われ、政府の過小評価によっても住民、JCO労働者、防災関係者あわせて664名が被曝させられた。国は、臨界事故を想定しなかった安全審査の誤りなど自らの責任を認めず、「50ミリシーベルト以下の被曝であれば影響は統計的に検出されない。」と低線量被曝の危険性を切り捨ている。健康相談・診断は「不安解消のため」とその意義を低めて年1回のみに限定している。また国は、事故で被曝させられた住民の健康被害の訴えに対しては被曝との因果関係の立証を義務付けている。我々は署名の力を背景に国に対して、事故の責任と低線量被曝の危険性を認めて住民とJCO労働者の被害を救済する立場にたつこと、救済制度を確立し「健康手帳」を交付することを要求していく。
6月1日、大阪地方裁判所は、在韓被爆者郭貴勲さんが日本政府と大阪府を相手に提訴した“健康管理手当て受給資格確認訴訟”において原告完全勝訴の判決を下した。しかし国は、6月15日控訴した。国が在外被爆者への援護法適用を拒否したことで、改めて被爆者を生み出した国家責任が表面化した。国家責任を追及し、今すぐに控訴を撤回し、外国居住の被爆者に対しても平等に“援護法”を適用せよと日本政府に迫ることがヒバクシャ運動の大きな課題となっている。
原爆被曝者は過去半世紀の闘いのなかで勝ち取ってきた「被曝者援護法」に国家責任を明記させる運動を継続している。被爆2世は国に健康調査を行わせ、補償を求める運動を行っている。これらのヒバクシャの運動と原発・核燃料サイクルに反対する運動との連帯した闘いで、JCO臨界事故被曝者への国による補償を勝ち取っていこう。
臨界事故2周年に向けて以下の行動に取り組もう。
1)24万の署名をさらに拡大しよう。署名の拡大とあわせて「全国行脚」を継続して各地で取り組み、被害者の訴えを広げよう。
2)臨界事故2周年の行動の一環として、9月26日に予定されている署名提出行動・対政府交渉に各地で2度とヒバクシャを生み出さない運動に取り組んでいる人々の結集を呼びかけよう。
3)在外被爆者郭貴勲さんに援護法を適用せよとの大阪地裁判決に対する国の控訴を撤回させよう。
ヒバクシャを生み出した国家責任を追及し、全てのヒバクシャへの補償を要求する、対政府の共同行動を行おう。
2001年8月5日 東海村と広島、長崎、原発・核燃サイクル立地点をむすんで
― ヒバクを許さない集い Part2 ― 参加者一同