イチエフ労働者が甲状腺がんで労災認定
イチエフ労働者で6例目、甲状腺がんでは2例目
2020年12月10日、東電福島第一原発事故の作業で被ばくし甲状腺がんになった50代の男性が、日立労働基準監督署(茨城)で労災認定された。
男性は2011年3月の福島第一原発事故の直後には、電源の復旧工事などにあたった。
男性は、東電の協力企業の社員で、1993年11月から2011年3月のうち約11年間、複数の原発で、放射線管理区域内での電気設備の保全業務をしていた。
男性の累積の被曝線量は約108ミリシーベルト。約100ミリシーベルトが事故後の被曝で、そのうち約37ミリシーベルトは放射性物質が体内に取り込まれて起きる内部被曝だった。
2017年6月に医療機関で甲状腺がんと診断され、日立労働基準監督署(茨城)に労災を申請していた。
白血病 |
2011年11月~2013年12月の1年半建設会社社員として玄海、福島第一で作業。19.8mSv被ばく。 そのうち2012年10月以降の1年1カ月間は、福島第一原発で作業。15.7mSv被ばく。 会社を辞めたあと、2014年1月に白血病と診断され、2014年3月に労災申請した。 10月13日の厚労省検討会を経て、2015年10月20日に富岡労働基準監督署(いわき市)が労災認定した。 |
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白血病 |
2011年4月~2015年1月の3年9カ月間、機械修理会社社員として福島第一で作業。約99mSv被ばくした。 2015年1月に健康診断で白血病と診断された。 2016年8月19日、富岡労基署が労災認定した。 |
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甲状腺がん |
1992年から2012年まで20年間、福島第一原発など複数の原発で原子炉の運転や監視業務などに従事し、累積149.6ミリシーベルト(mSv)被ばくした。 2011年3月から2012年4月まで、福島第一原発事故の緊急時作業・収束作業(水量計や圧力計などの確認、注水ポンプなどの燃料補給など)に従事。1号機と3号機の原子炉建屋の水素爆発時も敷地内で作業に当たっていた。 この期間の被ばく線量は139.12mSvで、うち約40mSvは内部被ばくであった。 東電は甲状腺等価線量と全身実効線量の換算係数として1/20を使っているので、この男性の甲状腺等価線量は800mSvとなる。 2014年4月に甲状腺がんと診断され、既に切断手術を受け職場復帰し、現在も通院を続けている。 2016年12月16日、富岡労基署で労災認定された。 |
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白血病 |
1994年~2016年2月の約19年間、東電社員として福島第一で作業。約99mSv被ばくした。 うち、約91mSvが事故発生から2011年12月までの緊急時被ばく作業による。 2016年2月に健康診断で白血病と診断された。 2017年12月13日、厚労省検討会が業務上と結論 |
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肺がん |
1980年6月~2015年9月のうち約28年3カ月間、福島第一原発を中心に複数の原発で放射線管理業務などに従事し、この間に195mSv被ばくした。 事故後の福島第一原発での業務による2015年9月までの累積被ばく線量は74mSv。 うち、約34mSvが事故発生から2011年12月までの緊急時被ばく作業による。 2016年2月に肺がんを発症し、死亡。死亡時期は遺族の意向で明らかにされていない。 2018年8月28日、厚労省検討会が業務上と結論、水戸労基署が2018年8月31日付けで労災認定した。 |
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甲状腺がん |
男性(50代)は、東電の協力企業の社員で、1993年11月から2011年3月のうち約11年間、複数の原発で、放射線管理区域内での電気設備の保全業務をしていた。 累積の被曝線量は約108ミリシーベルト。 2011年3月の福島第一原発事故の直後には、福島第一原発の電源復旧工事などにあたった。 約100ミリシーベルトが事故後の被曝で、そのうち約37ミリシーベルトは放射性物質が体内に取り込まれて起きる内部被曝だった。 2017年6月に医療機関で甲状腺がんと診断され、日立労働基準監督署(茨城)に労災を申請した。 2020年12月10日、日立労働基準監督署(茨城)で労災認定された。 |
白血病が今後更に増えると考えられる。
・業務上認定の被ばく線量の要件は、白血病の場合、相当量(5mSv×従事年数)の被ばくである。
・2016年3月までの5年間に従事した4万7千人のうち20%を超える1万人が白血病労災認定基準に近い20mSv以上を被ばくしている。
・2016年4月~2020年10月(4年7ケ月間)に従事した2万4095人のうち約10%の2350人が白血病労災認定基準に近い20mSv以上を被ばくしている。
(注:全期間では人の重複と線量の合算がある。) ・これらのことから、白血病が今後更に増えると考えられる。
甲状腺がんが今後更に増えると考えられる。
・2016年12月に甲状腺がんで労災認定された労働者の2011年3月以降の被ばくのうち、約40mSvは放射性物質を体内に取り込んで起きる内部被ばくだった。
東電は甲状腺等価線量と全身実効線量の換算係数として1/20を使っているので、この男性の甲状腺等価線量は800mSvとなる。
・2021年12月に甲状腺がんで労災認定された労働者の2011年3月以降の被ばくのうち、約37mSvは放射性物質を体内に取り込んで起きる内部被ばくだった。
東電は甲状腺等価線量と全身実効線量の換算係数として1/20を使っているので、この男性の甲状腺等価線量は740mSvとなる。
・緊急時作業従事者の甲状腺被ばくは、等価線量が1000mSvを超えた労働者が74人、500超え~1000mSvの労働者が196人、100超え~500mSvの労働者が1437人などとなっている。
・今後甲状腺がんが更に増えると考えられる。
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