イチエフ緊急時被ばく2011年3月~12月

緊急時線量限度の引き上げ
・政府は2011年3月14日に「緊急時線量限度100mSv」を250mSvに引き上げ、12月16日に100mSvに戻した。
 「緊急時線量限度100mSv」は急性障害が発生しないとされる線量。250mSvは精子減少など急性障害が発生する。
 250mSvへの引き上げは、憲法に保障された労働者の人権、労働者保護の法体系、「放射線障害防止の技術的基準に関する法律」第3条のすべてを無視・蹂躙するもの。

3月中の緊急時作業従事者
・3月中の緊急時作業に東京電力社員1696名、協力企業従業員2277名が従事し、うち474名が50mSvを超える被ばくをした。
表1 緊急時作業者の被ばく(2011年3月分)
区分 250mSv超え 100mSv超え 50mSv超え 5mSv超え 従事者総数
東電社員 6名 最大670.36mSv 87名 327名 1590名 1696名
下請企業 21名 147名 1350名 2277名

3月~12月の緊急時作業全体の従事者
・12月までの緊急時作業全体では、東電社員3282人、下請け等16308人、計19590人が作業に従事した。
緊急作業従事者約2万人のうち、約900人が単年度線量限度の50mSvを超えて被ばくし、約1万人が白血病労災認定基準の年間5mSvを超えて被ばくしている。
表3 緊急時作業者の被ばく(2011年12月まで)
区分 250mSv超え 100mSv超え 50mSv超え 5mSv超え 従事者総数
東電社員 6名 最大679mSv 150名 593名 2091名 3282名
下請企業 24名 350名 8462名 16305名
下請け等従事者が大部分を占めた(3月57.4%、4月71.7%、5月79.8%、6~12月80%台)。

事故発生当時の大量被ばくが5月、6月に判明
事故後中央制御室に常駐していた運転員など多数の作業員が大量被ばくしたが、実際には5月以降に明らかになった。
5月23日、運転員2名が日本原子力研究開発機構で体内に入り込んだ放射性物質の量を検査を受け、それぞれ甲状腺からほかの作業員の10倍を超える9760ベクレルと7690ベクレルの放射性ヨウ素が検出された.
6月10日に2名の全身被ばく量が678mSv、643mSvと判明し、その他にも高線量を被ばくした作業員が明らかになっていった。
被ばく線量が緊急時作業被ばく限度250mSvを超えた6名
職員 所属 内部被ばく 外部被ばく 実効線量
職員A 当直(3,4号) 590 88.08 678.08
職員B 当直(3,4号) 540 105.56 645.56
職員C 当直(3,4号) 241.81 110.27 352.08
職員D 計測制御(1,2号) 259.7 49.23 308.93
職員E 計測制御(1,2号) 433.1 42.4 475.5
職員F 計測制御(1,2号) 327.9 31.39 359.29

甲状腺被ばく
東電はWHOに対し、作業員のうち、全身の内部被曝線量が比較的高いと考えられ、甲状腺被曝線量検査を受けた社員や関連企業などの社員522人のデータを提供した。それを受けて、2013年、WHOは、1万mSv超え2人、2千超え~1万mSv以下10人、1千超え~2千mSv以下32人、500超え~1千mSv以下50人、200超え~500mSv以下69人、100超え~200mSv以下15人、100mSv以下344人と報告書に記載した。
その後、厚生労働省の指導により、甲状腺被ばくの評価方法の吟味・線量再評価が行われた。その結果、甲状腺等価線量が100mSvを超える緊急作業従事者は1757名(東電社員892名、協力企業社員865名)に上ることが判明した。
表4 緊急時作業者の甲状腺被ばく線量
線量区分(mSv) 東電社員 協力企業
15,000超え 0 0
10,000超え~15,000以下 2 0
2,000超え~10,000以下 15 0
1,000超え~2,000以下 44 13
500超え~1,000以下 129 67
200超え~500以下 236 305
100超え~200以下 416 480
100以下 2391 15413
合計 3283 16278

原発での作業が初めての作業者が半数
厚生労働省によると、6月末時点で502社の作業員が福島第一原発に入っているが、このうち250社以上は原発での作業が初めての業者であった。重機を使ったがれき撤去など原発の通常時にはない作業が多いことによる。
事故前は放射線管理手帳の発行数は例年1万1000冊程度であったが、事故後4月から7月で1万1442冊に達した。7月は4124冊で、前年同期の830冊に比べ約5倍が発行された。
出典:放射線管理手帳の発行激増=収束作業に新規250社超―福島第1(時事ドットコム:2011年8月12日)

毎月ごとの従事者数、被ばく線量(出典:東電報告)
期間所属人数最大(mSv)平均(mSv)線量区分(mSv)人数分布
1以下1超え5以下5超え10以下10超え20以下20超え50以下50超え75以下75超え100以下100超え150以下150超え200以下200超え250以下250超え
201103東電1696670.3631.53406623952953911977651606
協力2286238.4214.15397537399460373653417220
合計3982670.3621.55437603638989912184111821826
201104東電165759.606.6622832385718662100000
協力420449.614.3515501468625433128000000
合計586159.605.00177817911482619190100000
201105東電147733.423.144377821717314000000
協力582848.803.372221236980934980000000
合計730548.803.322658315198042294000000
201106東電135116.292.1251372385300000000
協力640289.503.082559265377235066110000
合計775389.502.913072337685738066110000
201107東電135131.131.6965362553173000000
協力652161.972.432934275958720038300000
合計3587338464021741300000
201108東電128623.331.7254366657191000000
協力623066.502.202826273148516224200000
合計3369339754218125200000
201109東電120711.351.455346333820000000
協力600033.402.012856258239914023000000
合計3390321543714223000000
201110東電117936.351.5756455245153000000
協力562323.501.84282323523371038000000
合計3387290438211811000000
201111東電118013.401.0785328037100000000
協力558023.031.4633541911228825000000
合計42072191265925000000
201112東電119223.201.1086828226133000000
協力540819.201.4333451729258760000000
合計42132011284893000000

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