要望書の賛同310個人と76団体を背景に
一歩前進した回答を引き出す!
9月12日、厚生労働省交渉報告
関西、東京、茨城から12名が交渉に参加した。冒頭、全国から寄せられた早期認定を求める要望書を提出し、「長尾さんの原発被曝労災の認定をもとめる阪神地域の集い(9月7日、尼崎)」のアピールを読み上げた。
厚生労働省に確認させたこと
1.労基署に「りん伺」(必要な調査を添えて本省にうかがいをたてること)を急がせている。りん伺の内容を検討する専門委員を選定中である。また、この専門委員会に私たち市民のグループの資料は渡すことが出来る。 2.多発性骨髄腫は白血病類縁性の疾患であると認める。 3.労働者を守る観点から認定作業を行うと、信じてもらってよい。 4.米の核施設労働者の多発性骨髄腫等への疫学調査(クリントン・ゴア調書を含む)を検討する。 5.労災認定については各地の労基署に相談に来て欲しい。いつでも懇切丁寧に対応する |
上記の回答から、長尾さんの労災認定に際しては、多発性骨髄腫が白血病類縁性の疾患という認識の上に立って、白血病の認定基準が準用されるべきである。長尾さんの被曝線量は4年3ヶ月で70ミリシーベルトであり、白血病の認定基準の3倍以上にものぼっており、当然、すぐさま、労災認定されるべきである。
交渉過程で、厚生労働省は日本のみならず、外国の最新の知見に基づいて労災認定するという基本的な姿勢を欠如させていることが露呈した。
アメリカでは2001年よりクリントン・ゴア調書に基づき、核・エネルギー産業労働者の補償が行われており、申請数は8月現在4万4千件に上る。うち8千件が認められ、6億ドルが支払われている。この補償制度では多発性骨髄腫も認定対象になっている。
ところが、厚生労働省は、すでに村田医師の意見書にもその事は掲載されており、7月の交渉の時にも直接に指摘したにもかかわらず、このクリントン・ゴアの調書を資料としてすら持っておらず、内容的な検討もしていない。補償実態も知らない。厚生労働省の基本姿勢の根幹に関わる重大な問題として強く抗議し、即刻資料を取り寄せ、検討するよう迫った。
結論として厚生労働省は検討することを確約した
。
継続して追及する他の課題
1.業務上認定対象疾病について
労働基準法施行規則第35条に例示のない疾患について、昭和53年以降新たな例示が追加されていない。最近の知見、海外の例示の実情をふまえ、速やかに検討を行い、例示させる。また、その厚生労働省の基本姿勢、実際の対応を今後とも問うていく。
2.原発被曝労働者の被害の放置について
日本の被曝労働者の総被曝線量から推定される労働者の健康被害について、厚生労働省は直接の回答をさけ(年間で被曝労働者数7万人、総被曝線量80人Sv、平均個人線量1mSvなので)、健康破壊があるとは考えていないと回答した。現実には総被曝線量は過去約30年間で2000人・Svであり、少なくとも200人のガン・白血病死すると推定される。これに正面から答えることを追及する。また、被曝労働者の労災申請件数は総数でわずか14件にすぎない。被曝労働者の多くは健康被害を訴えることもできないまま、放置されている。この現状について追及し、全国の被曝労働者の健康補償を迫っていく。
3.被曝労働者の被曝労働の実態について
@前回の交渉で病院の印鑑を親方が所持するなど診断書の偽造の疑いがあることが指摘された。これによって健康診断の結果に問題があっても親方が労働者を働かせ続けることが行われている。これについて把握しているのか。どのように対応しようとしているのかの質問については、健康診断の偽造問題は労基署の管轄問題である、と回答した。
A丸投げや人夫出しなどの労働体制についてどのように把握しているのかについては、丸投げの問題は公正取引に反する問題であり、その結果として事故に繋がる安全性が守られないことについては保安院の指導対象であると回答した。
今後も継続して取り組んでいく。