緊急時被ばく限度引上げ 原子力規制庁が主導、厚労省でも検討中
緊急時被ばく限度の引上げ、緊急時被ばく線量と通常被ばく線量の別区分運用などが原子力規制庁の主導で進められています。
2014年3月16日の原子力規制委員会で放射線審議会委員の新委員選定が確定し、4月4日に新委員の任命、同日放射線審議会の総会開催、会長選出が行われました。
7月30日の原子力規制委員会で田中委員長は「原子力規制委員会は、現在、緊急作業時の被ばく線量限度を100 ミリシーベルトとして、規制を行っています。しかし、それを超えるような事故が起こる可能性を完全に否定することはできないというのが私どもの考え方です。」と述べ、緊急作業時の被ばく線量限度の見直しその他を提案しました。
9月4日の放射線審議会総会では、新委員に対してこれまでの放射線審議会のICRP2007年勧告の国内制度等への取り入れに関する検討と、東日本大震災後の諮問・答申の状況について説明が行われました。
11月17日の放射線審議会総会では早速、「緊急作業に従事する者の被ばく制限について」が議題とされ、日本原子力研究開発機構安全研究センターの本間俊充氏が「IAEA国際基準等における緊急作業者の防護について」をレクチャーしました。
12月10日の原子力規制委員会では、緊急作業の被ばく限度を250ミリシーベルトに引き上げる方向と、緊急時被ばくと通常被ばくの分離運用などが「実質合意」されました。
緊急時被ばくで250ミリ、通常被ばくを含めると1年間で300ミリシーベルト、2年間で350ミリシーベルトの被ばくが合法化されることになります。
厚労省でも12月26日から、「東電福島第一原発作業員の長期健康管理等に関する検討会」で検討が開始されています。
検討に当たっての論点は
1 健康診断等、離職後も含めた長期的な健康管理のあり方
2 緊急作業従事期間中の健康管理のあり方
3 緊急作業中の原子力施設内の医療体制確保のあり方
4 通常被ばく限度を超えた者に係る中長期的な線量管理のあり方
5 緊急作業従事期間中の被ばく線量管理のあり方
6 緊急作業従事者に対する特別教育のあり方
7 その他
とされています。