2022年11月29日、避難指示地域の医療費等減免措置の継続、補償法制定の政府交渉報告
「避難指示地域の保険料・医療費等減免措置の見直し方針」決定の経過
政府は2021年3月に「復興の基本方針」を閣議決定し、「被保険者間の公平性等の観点から、避難指示解除の状況も踏まえ、適切な周知期間を設けつつ、激変緩和措置を講じながら、適切に見直しを行う」との方針を打ち出しました。
2022年4月には、「原子力災害被災地域における医療・介護保険料及び医療費の減免措置見直し」の具体策として、避難指示解除時期の順に減免措置の対象地域を4グループに分け、初年度は保険料半額負担、次年度は保険料全額負担、次々年度は窓口(利用者負担分)全額負担を順次強要するという方針を、対象地域の首長の了解だけを取り付けて発表しました。
直後の4月19日政府交渉で、国の責任を果たせ、住民の声を聴かない決定は民主主義に反する、決定を撤回せよ」と厳しく追及しました。
しかしその後、2023年度から見直しを実施すべく、第1グループの自治体(2014年までに避難指示が解除された広野町、南相馬市・川内村・田村市・楢葉町の一部)では既に、、住民への周知が始められています(但し、来年度見直しの対象者数が限定的な楢葉町では、住民負担を町が補填する方針)。
そして、これに抗議すべき立場の福島県は、政府への2022年6月要請書で、「基本方針で見直しの方針が示されたが、住民が安心して暮らせるよう無料化措置の継続を求める」との前年の要請が無視されたことに対する抗議もなく、前年まであった避難指示区域等への「医療費等、減免措置」の継続要求そのものを引っ込め、政府に住民に対する「周知」を要求しています。
2022年10月1日に、このような政府の一方的な原発事故被害者支援の切り捨て方針を撤回させ、「医療費等、減免措置」の継続・拡大を求めようと、福島県の浜通りの被害者を中心に、「福島原発事故被害から健康と暮しを守る会」が結成されました。
同会では、併せて、全ての原発事故被害者への国の責任による「健康手帳」交付、及び完全賠償を求めています。
また10月3日、南相馬市議会では、「医療費等、減免措置」の「期限延長」と「被災者に対する各種支援について、その適用範囲を全市一律に拡大すること」を求める意見書が全会一致で採択されています。(2022.11.29交渉資料5,6頁参照)
2022年11月29日政府交渉の概要報告
2022年4月19日に続き、「福島原発事故被害者の医療・介護保険等の保険料/窓口負担の減免措置の見直し」撤回を目指して、政府交渉を行いました。
今回の交渉は4月19日の「政府交渉」に続くものです。今回から新たに「福島原発事故被害から健康と暮しを守る会」と「フクシマ原発労働者相談センター」が参加し、10団体による呼びかけとなりました。
会 場 参議院議員会館・B108会議室
9時15分 1階ロビーに集合(通行証配布)
9時30分~10時 打ち合わせ
10時~11時半 厚労省、復興庁との交渉
11時半~12時 参加者の意見交換
紹介議員 福島みずほ参議院議員
大震災と津波に遭い、そして福島第一原発事故が起こったが、国からも東電からも連絡がなく、浪江町としては、テレビのニュースを見て全町民避難を決断した。国と東電から放射能放出についての情報提供もない中で、線量の高い地域に子どもを含めて2万人を超える町民が避難して被ばくした。被害者の健康と暮しを守ってきた医療費無料化を、避難指示解除から10年で打ち切るようなことは、首長だけの判断で決められる問題ではない。原発事故による被害は、自然災害とは違う。未だに避難生活が続いており、原発事故は終わっていない。なぜ国は勝手に支援を打ち切るのか! |
また、「低線量被ばくの健康リスクを示す最近の疫学調査を踏まえた国の施策についての質問」に回答するということで出席した環境省は、「被ばくした人々の不安に対する対策の重要性」を述べただけでした。 そして、「原爆被爆者援護の経験を福島原発事故被害者の支援に活かし、国の責任で生涯にわたる健康保障を行うべき」という私たちの要求につながる質問に対しては、回答するはずの厚労省の担当者(健康局)が欠席し、厚労省の責任者が何度呼び出しても、最後まで出てきませんでした。
質疑の詳細は「2022年11月29日交渉報告」をご覧ください。
質問書 質問書資料 議事録 交渉報告