避難指示地域医療費無料措置の長期継続を求める政府交渉(2020/10/5)報告
2020年10月5日、避難指示地域等の保険料・医療費の減免措置の継続を求め、復興庁・厚労省に62団体連名の「避難指示地域医療費無料措置の長期継続」申し入れ書を提出し、交渉を行いました。
申し入れ書の提出
冒頭に62団体連名の「避難指示地域医療費無料措置の長期継続申し入れ書」を提出しました。
東電福島第一原発事故避難指示地域住民の
医療費無料化措置の長期継続を求める緊急申し入れ 2020年10月5日 内閣総理大臣 菅 義偉 様 厚生労働大臣 田村 憲久 様 復興大臣 平沢 勝栄 様 福島原発事故で政府の避難指示が出された地域の住民には、健康保険の特例措置による医療費一部負担(窓口 3 割負担)の無料化、健康保険料の免除措置が講じられています。無料化の財源は国が 100%支援しています。 この「健康保険の特例措置」は、①避難生活の支援という役割を果たしています。また、被災地では、福島原発事故がもたらした放射線被ばくを含む心身の負荷が住民の健康に悪影響を及ぼしています。9 年後の今なお増え続ける「関連死」(9 月 7 日現在福島県 2,314 名で昨年比 28 名増)は最も深刻な例です。「健康保険の特例措置」はまた、②こうした被災住民の医療機関での受診を支援する役割を果たしています。 昨年 12 月に閣議決定された「復興創生期間後の復興基本方針」において、「避難指示地域の医療費無料化措置(健康保険料の無料化と窓口 3 割負担の無料化)については見直す」とされており、大変憂慮しています。 見直しの方向としては、無料化の財源の一部を県や市町村に負担させる可能性が強いと考えられます。実際、福島県の避難指示が出された地域以外や宮城県では、国の支援 80%に縮小等により、無料化措置は、自治体により差はありますが、多くは数年で廃止され、現在は全く実施されていません。 復興期間 10 年が経過したからといって、被災住民の健康問題がなくなるわけではありません。復興創生期間終了後も「健康保険の特例措置」を継続することを強く求めます。見直しは行うべきではありません。 避難指示解除地域はいまだに医療インフラが整っていない状況で、整備拡充が急務です。 また、福島原発事故の健康影響は避難指示区域内外で線引きされるものではありません。 「健康保険の特例措置」を避難指示区域住民以外に広げるべきです。 申し入れ事項 1.復興創生期間終了後も医療費無料化措置を継続すること。 2.避難指示解除地域の医療インフラを整備拡充すること。 3.医療費無料化措置を避難指示区域住民以外に広げること。 |
質問書(2020.10.05)に対する厚生労働省、復興庁の基本回答
避難指示地域の医療費(保険料と一部負担金)無料化措置の見直しを行っていく ①無料化措置見直しの根拠である「復興再生期間後の復興の基本方針(2019年12月決定」」の問題点を指摘した「追加質問1」に対して、具体的な回答は全くなし。 ②原子力を推進した政府として原子力災害被害者の健康確保に最後まで責任を持つとの約束(2011年9月)を守れと追及したが、守るとの具体的な回答はなし。 ③上記②の回答の中で、健康の確保に関して、引き続き、地域医療再生基金を通じた地域の医療体制の整備医療の提供、検診等を行うと表明したが、医療費支援については触れず。 ④見直しのすすめかたについて。 ・犠牲者の方々の依然として厳しい生活実態があるような、医療の現状もそうですけども、承知しておりますので、今後具体的な見直しの内容、具体的な見直しの時期、自治体の意見の方々ご要望をよくお聞きしながら、また復興庁と連携しながら、議論して検討していくという様な形で進めてまいりたい。 ・自治体夫々の措置は自治体が決定する。費用の支援については厚労省と復興庁が相談して決定する。 |
厚生労働省の来年度予算概算要求
今年度と同額の医療費無料化措置支援費が計上されています。
次回交渉の課題
見直しの根拠となっている「復興再生期間後の復興の基本方針」の問題点については、具体的な回答がなかった。
次回交渉でより具体的に問題点を指摘し、追及したい。