厚労省、「甲状腺がん 当面の労災補償の考え方」を公表
厚労省は2016年12月16日、労災申請のあった膵がんについての業務上外の検討会で参考にされた「膵がんと放射線被ばくに関する医学的知見」を公表し、肝がんに対する「当面の労災補償の考え方」を示しました。
なお、膵がんの労災申請については業務外とされました。
厚労省HP 膵がんと放射線被ばくに関する医学的知見を公表します
<検討会報告書の概要>
原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)が医学文献の部位別のレビューをまとめた「2006 年報告書」と、2006 年以降の医学文献を中心にレビューを行った。 1 被ばく線量について (1) 膵がんに関する個別文献では、膵がんの発生が統計的に有意に増加する最小被ばく線量ついて記載された文献はなかった。 (2) 膵がんを含む全固形がん※を対象とした UNSCEAR などの知見では、被ばく線量が 100 から 200mSv以上において統計的に有意なリスクの上昇が認められ、がんリスクの推定に用いる疫学的研究方法はおよそ 100mSv までの線量範囲でのがんのリスクを直接明らかにする力を持たないとされている。 ※ 胃がん、大腸がんなどのように、塊を作るがんの総称。固形がんではないものとして、白血病などの血液のがんがある。 2 潜伏期間について (1) 膵がんに関する個別文献では、膵がんの最小潜伏期間について記載されたものはなかった。 (2) UNSCEAR などの知見では、全固形がん(※)の最小潜伏期間について、5年から 10 年としている。 3 放射線被ばく以外のリスク要因 膵がんには、喫煙、肥満がリスク要因として知られている。 |
<当面の労災補償の考え方>
1 当面の労災補償の考え方 放射線業務従事者に発症した膵がんの労災補償に当たっては、当面、検討会報告書に基づき、以下の3項目を総合的に判断する。 (1) 被ばく線量 被ばく線量が 100mSv 以上から放射線被ばくとがん発症との関連がうかがわれ、被ばく線量の増加とともに、がん発症との関連が強まること。 (2) 潜伏期間 放射線被ばくからがん発症までの期間が5年以上であること。 (3) 放射線被ばく以外のリスク要因 放射線被ばく以外の要因についても考慮する必要があること。 2 その他具体的検討 個別事案の具体的な検討に当たっては、厚生労働省における「電離放射線障害の業務上外に関する検討会」において引き続き検討する。 ※ 上記1の(1)及び(2)については、これまでの肝がん等の固形がんに係る当面の労災補償の考え方と同一である。 |
添付資料
膵がんと放射線被ばくに関する医学的知見について