厚労省、「胃がん・食道がん・結腸がんの労災補償の考え方」を公表
労災補償の対象疾病に追加させ、認定線量基準を100ミリシーベルトから大幅に引き下げさせよう
厚労省は2012年9月28日年、労災申請のあった膀胱・喉頭・肺のガンについての業務上外の検討における医学的知見を公表し、これら三つのガンに対する「当面の労災補償の考え方」を示しました。
なお、胃がん、食道がん、結腸がんの労災申請はいずれも業務外とされました。
厚労省HP 胃がん・食道がん・結腸がんと放射線被ばくに関する医学的知見を公表します
<検討会報告書の概要>
1 被ばく線量と胃がん・食道がん・結腸がんの発症リスクとの関係 (1)胃がん・食道がん・結腸がんに関する個別の文献では、各々のがんの発症リスクは、1Sv以上の被ばく線量から確認されたと報告するものがある。 (2)より統計的に検出力の高い全固形がんに関する調査報告では、原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)は、被ばく線量が100から200mSv以上において統計的に有意なリスクの上昇が認められるとしている。また、国際放射線防護委員会(ICRP)は、がんリスクの増加について、疫学的研究方法では100mSv未満でのリスクを明らかにすることは困難であるとしている。 2 潜伏期間(放射線被ばくからがん発症までの期間) ・胃がん、食道がん、結腸がんの個別の文献での最小潜伏期間は、 (1)胃がん:10年、 (2)食道がん:5年、 (3)結腸がん:5年 とされている。 ・ICRPの勧告では、最小潜伏期間は5から10年程度。 3 放射線被ばく以外のリスクファクター 一般的に、がんの主な発症原因は生活習慣や慢性感染であり、年齢とともにリスクが高まるとされているが、各々のがんに関する代表的なリスクファクターは次のとおり。 (1)胃がん:ピロリ菌、喫煙 (2)食道がん:喫煙、飲酒 (3)結腸がん:飲酒、肥満 |
<当面の労災補償の考え方>
1 放射線業務従事者に発症した胃がん・食道がん・結腸がんの労災補償に当たっては、当面、検討会報告書に基づき、以下の3項目を総合的に判断する。 (1)被ばく線量 胃がん・食道がん・結腸がんは、被ばく線量が100mSv以上から放射線被ばくとがん発症との関連がうかがわれ、被ばく線量の増加とともに、がん発症との関連が強まること。 (2)潜伏期間 放射線被ばくからがん発症までの期間が、少なくとも5年以上であること。 (3)リスクファクター 放射線被ばく以外の要因についても考慮する必要があること。 2 判断に当たっては、上記検討会で個別事案ごとに検討する。 |
添付資料
胃がんと放射線被ばくに関する医学的知見について
食道んと放射線被ばくに関する医学的知見について
結腸んと放射線被ばくに関する医学的知見について