住民の健康と安全を守り、生じた健康被害は補償することを求める要請書
私たちヒバク反対キャンペーンは、2011年5月2日に、双葉地方原発反対同盟、原水禁、原発はごめんだヒロシマ市民の会、反原子力茨城共同行動、原子力資料情報室と共同で、政府に「住民の健康と安全を守り、生じた健康被害は補償することを求める要請書」を提出しました。
要請書では、政府に①国の責任による県民の健康保証と健康手帳の交付、②住民に被曝を強要する被曝基準の撤回と除染等の住民の被曝低減措置、③緊急作業の被曝限度の引き下げと全従事者への健康管理手帳の交付を求めています。
要請書に対する88団体と2912個人の賛同を背景に政府交渉を行いました。
政府交渉と政府回答(2011年9月30日)
私たちは、福島の県民健康管理は、国策として原発を推進し事故を招き人々を被曝させた国の責任を明らかにして、国が責任をもって行う生涯にわたる健康保証として取り組まれるべきものだと主張しました。内閣府原子力被災者支援チームは「原子力事故被災者の健康確保について、最後の最後まで、国が前面に立ち責任を持って対応してまいる所存です」と文書回答しました(2011年9月30日)。これは原子力事故対策本部の「原子力被災者への対応に関する当面の取り組み方針(5月17日)」に沿ったものです。
そこには、「・・・今回の原子力事故による被災者の皆さんは、いわば国策による被害者です。復興までの道のりが仮に長いものであったとしても、最後の最後まで、国が前面に立ち責任を持って対応してまいります。」と明記されています。
脱原発福島県民会議が呼びかけ(責任)団体に加盟
2012年10月の第5回政府交渉から、それまでも交渉に参加していた脱原発福島県民会議(構成団体:県平和フォーラム、プルサーマルに反対する双葉住民の会、社民党県連合)が呼びかけ団体に加盟し、運動は広がりを見せています。
浪江町と双葉町が2012年6月に「法的根拠のある健康手帳交付、医療費無料化、手当支給など被爆者なみの法整備」を国に求めました。2013年1月15日に双葉地方町村会が国に提出した要望書に「生涯にわたる法的措置をとること」が盛り込まれています。健康手帳の交付・医療と生活の保障を求める声は双葉郡全体に広がっています。
その後、全国被爆2世団体連絡協議会、チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西が加盟され、呼びかけ(責任)団体は9団体となっています。
脱原発と結んで新政権に国の責任で被災者への健康手帳交付と健康・生活保障を行わせよう。
新政権は前政権の脱原発を否定し、原発延命に舵を切っています。原子力規制員会の「住民の健康管理に関する検討チーム」の「議論の整理案(2012年12月28日)」には、
①事故による住民の被ばくについて、「他の要因による発がんの影響を超えて、放射線による発がんリスクの明らかな増加を証明するほどの被ばく線量は確認されていない。」
②県民健康管理調査については放射線被曝後の健康管理として適切なものである。」
と、福島事故の影響を過小評価し被災者の求めている支援施策を認めない方向が示されています。
木田委員(福島県医師副会長)が国の事業化などを提起したが整理案に反映されていないことを指摘し、検討会は継続となっています。
「脱原発」と結んで事故被災者支援に対して国の責任を全うさせねばなりません。
「国の責任で、すべての福島事故被災者と被曝労働者に健康手帳の交付と健康・生活保障を」を全体課題として、具体的な課題に取り組んでいきましょう。
○国の責任で、周辺県も含め、被災者に健康手帳を交付させること。
○被災者の医療費を無料化させること(18歳以下の医療費無料化は福島県の事業に押し込められている)
○県民健康管理調査の国事業化を国の責任による健康保障と結んで行わせること。
○周辺県においても国の責任で被災者の生涯にわたる健康調査を行わせること。
○上記の実現を双葉地方町村会が国に要望している「法的根拠のある健康手帳交付、医療費無料化、手当支給など被爆者なみの法整備」の実現と結んで取り組む。
○国の責任で、全ての緊急作業従事者への「手帳」交付、生涯にわたる健康管理、被害補償を行わせること
<国の責任で全ての被災者に健康手帳を、生涯にわたる健康保障を>
現在県が実施主体となって進められている県民健康管理の取り組みは、「安心のため」を最大の目的とし、調査しようとするもので、将来にわたる健康保障からは程遠いものです。行動調査の回収率23%、線量通知が6%、避難地域住民の健康診断受診率が13.8%など被災県が負うには重すぎる実態が浮き彫りになっています。調査を目的とし治療は行わない原爆被爆者に対する「ABCC調査」は広島・長崎の被爆者から「モルモット扱いだ」と怒りを買いました。福島で同じようなことを繰り返させてはなりません。
被災者の切実な要求である、「国が責任をもって行う健康保障の実現、すなわち、長期間継続する被曝を含めた被曝線量の評価、生涯にわたる健康管理・診断、発症した場合の治療や生活の保障、そのための特別法の制定、健康保障を受けられることを明記した健康手帳の交付」の実現を目指して取り組みの輪を広めましょう。
<住民に被曝を強要する被曝基準の撤回と除染等の住民の被曝低減措置>
政府は事故発生当時、避難指示区域を年20ミリシーベルト以上の地域に限定し、広大な汚染地域の住民はほとんど放置されました。
その後政府は、公衆の被ばく線量を年1~20ミリシーベルトの範囲で許容し、長期的には1ミリを目指すとし、放射線の危険が高い妊婦や乳児をはじめ住民に引き続き被曝を半永久的に強要しています。
避難指示区域に対しては、居住制限区域と避難指示解除準備区域の避難指示を2017年3月までに解除する政策が進められています。
土壌除染について国は当初年5ミリシーベルト以上のみ責任を持つとしていましたが、被災地の人々の力で年1ミリシーベルト以上の地域土壌が「放射性物質汚染対処特措法」の除染対象となりました。被曝を強要する基準に反対し、除染等の被曝低減を早急に徹底して実施させましょう。
全ての緊急作業者に長期健康管理のための「手帳」交付、在職中からの健康診断を含む生涯にわたる健康管理、被害補償を求めましょう。
緊急作業労働者のうち50ミリシーベルト以上の人に限定して、在職中から「手帳」が交付されます。在職中の健康診断は目の検査(50ミリシーベルト以上の人)と甲状腺検査及びがん検診(100ミリシーベルト以上の人)以外は職場での通常の検診とし、離職後も無償で継続されます。被曝が50ミリシーベルト以下の人は健康相談を受けられるだけです。
全ての従事者に健康管理手帳を交付し離職後も国の責任で生涯にわたり健康管理を行うこと、がん検診をごく一部の労働者に限定することの撤回、などを求めていきましょう。
○第7回(2013/6/24) 報告 要請書 質問 回答
○第6回(2013/1/22) 報告 要請書 質問 回答
○第5回(2012/10/9) 報告 質問 当日配布資料
第5回から脱原発福島県民会議が呼びかけ団体に加盟(構成団体:県平和フォーラム、プルサーマル反対双葉住民の会、社民党県連)
○第4回(2012/3/23) 報告 質問
○第3回(2012/1/30) 報告 質問と回答 再質問と回答
18才以下医療費無料化見送りに対する抗議・撤回要求 福島からの訴え 回答
○「徹底した被曝低減と、健康手帳の交付を求める 政府交渉に向けた討論集会(12/1/15)
案内 報告
○「現地福島と関西を結んで、フクシマ事故から脱原発へ」集会 (11/9/10)
報告 案内チラシ
○第2回(2011/8/23)
報告 質問・回答・議論 第2回交渉を踏まえた質問・要請書 政府の回答
○第1回(2011/6/21)
報告 質問書 再質問書 政府交渉・院内集会の案内チラシ
労働者と住民の健康と安全を守り、生じた健康被害を補償することを求める「要請書」 賛同 個人2912、団体88 要請書 リーフレット