イチエフ被ばく労働
高い線量レベル、危険で過酷なイチエフ労働現場
イチエフの労働現場はこれまでの原発被ばく労働に比べ線量レベルが桁違いに高く、短時間で被ばく線量が増加する。
原子炉建屋周辺は特に線量が高く、事故直後は毎時10Sv(シーベルト)の超高レベルスポットがあり、配管やがれきなど至る所が毎時100mSv(ミリシーベルト)を超える高レベルであった。
初期の事故対応、汚染水対策はそうした高線量環境下で行われた。
特に、大量のヨウ素が放出された初期の事故対応で、作業員は大量の甲状腺内部被ばくを被った。
その後、がれき撤去、循環原子炉冷却システムの建設・運転、汚染水貯蔵タンクの組み立て・解体、汚染水漏れ対応、凍土遮水壁建設などの汚染水対策に、土木・建築関連作業を中心に、最盛期で1日7500人の労働者が作業した。
原子炉建屋内の被ばく労働は1日1mSv超の計画線量
5月に原子炉建屋内での作業が開始され、排気ダクト設置、線量調査、写真撮影、水位調査、調査のための穿孔、除染、、1~3号機の循環型冷却システムの設置などが行われた。
その後、4号機燃料貯蔵プールの使用済み燃料取り出しに向けた準備作業と取り出し作業、1~3号機では放射能汚染微粒子の飛散を防止する建屋カバーの設置、使用済み燃料プールの燃料取り出しに向けた建屋カバーの撤去・がれき撤去・取り出し設備の設置などの作業が行われている。
また、1~3号機のデブリ調査に向けて、線量調査、除染、ロボット投入穴あけ作業などの準備作業、ロボット調査などが行われている。
高線量率の建屋内の被ばく労働では、計画線量が1日1mSvを超える作業が強行されている。
2017年3月末現在、計画線量が1mSv以上の作業は公表されているだけでも72件にのぼり、2011年に10件、21012年に19件、2013年に23件、2014年に1件、2015年に1件、2016年に10件、2017年に8件が行われている。
そのうち計画線量が5mSv以上の作業は、2011年に2件、21012年に14件、2013年に2件、2014年に1件が強行されている。
2012年の14件は、15mSv1件(4分間で最高8mSv被ばく)、10mSv8件(最高5.29mSv被ばく)、9mSv1件(最高6.49mSv被ばく)、8mSv1件、7mSv1件、5mSv2件であった。
2016年度に実施された1号機と2号機の原子炉格納容器の内部調査は、計画線量1号機2.5mSv、2号機3mSvで実施され、延べ506名(1日従事者数の合計)が従事した。
詳細は、原子炉建屋内作業リストを参照。
「緊急時作業で大量被ばくした労働者の生涯被ばく線量を1000mSvまで容認」を撤回せよ
緊急時作業で大量被ばくした労働者の通常被ばくについて、厚生労働省の検討会報告書では、合計して生涯1000mSv を超えないよう被ばく管理を行うとしています。
原子力規制庁は「(運用上の措置として)緊急作業時と通常作業の被ばく線量の扱いは、緊急作業後の処理作業や他の原子力施設での作業等に影響を与えることなく一定の放射線業務を実施できるように区別して管理する。但し、生涯被ばく線量は両実効線量を合算して 1000mSv を超えない。」としています。
15か国原子力施設被ばく労働者の調査結果をもとに評価すれば、1000mSv も被ばくすれば、がん白血病のリスクは通常の 2 倍に高まります。
また、1000mSv も被ばくすると、がん白血病に加えて、心臓・循環器系の疾患のリスクも増大し、その健康被害は甚大なものとなります。このように甚大な健康被害をもたらすレベルの被ばくを労働者に課しても良いとする倫理的・法的根拠はありません。
緊急時作業被ばく限度引上げ法令を撤回せよ
法令で緊急時の被ばく限度は100mSvとなっていて、福島原発事故後も適用されている。
2015年8月、原発重大事故の際にこれを250mSvに引上げる法改悪が、多くの市民、労働者の反対を押し切って、強行されました。
重大事故が起きないとは言えないが原発を再稼働するために、強行されたのです。
原発被ばく労働者は、同意は必要ですが、「被ばく要員」とされ、訓練等が行われます。
原発被ばく労働者の命と健康を犠牲にする重大な人権問題です。人権を踏みにじり、福島原発事故によってもなお原発運転を強行する政策は絶対に認められません。
あくまで法令を撤回することを求めます。